新戦国策秦上1-1、孝公、孝公が衛鞅(えいおう)をいかに厚遇したかという話

 ということで今日から秦です。西周東周とやってきましたが、まあ周っていうのは昔の王朝でしかなく、権威はあっても実力はないと。それに比べれば秦は野蛮扱いされていましたが途中から実力に関しては他国を圧倒するほどになっています。一番早く中華統一を果たすのも秦です。いろいろと興味深い内容なのではと思います。  衛鞅(えいおう、商鞅、しょうおうの方が有名か)が魏を亡命して秦に入っ…

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新戦国策2-1、惠文君、蘇秦がやってきたが、惠文君が話を断る話

 ということで前回は衛鞅(えいおう、商鞅)と孝公の話でした。一話しかないので前回で孝公はおしまいです。 今回非常に長そうです。 あまりにも長いので6つに分けました。 先に結論を書いておきますと、蘇秦は熱弁を振るったんですが、秦の王には用いられなかったということです。  ①蘇秦は最初連衡策(れんこうさく、秦を中心として六国を同盟し従わせようとするもの)を用いようとし、秦の…

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新戦国策2-2、蘇秦が秦から出て趙にいき武安君となる話

 ということで前回は蘇秦が秦にやってきましたが、秦の方では口のうまいやつに懲りていて蘇秦は何を言ってもダメだったというお話でした。あまりにも長すぎて集中力が途切れてましたんで(笑)、また近いうちに見直そうかと思います。 今回はその話の続きのようですね。 また今回も長そうです。 長いんですけど、なんか蘇秦の伝記って感じですね。戦国策にしてはこういうのは珍しいのではないかと思いま…

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新戦国策2-3、寒泉子(かんせんし)が秦の惠王に感情に引きずられないように説く話

 ということで前回は蘇秦が秦で断られて趙に行き、趙では厚遇されて武安君となったという話でした。貧しかった個人がこうして成功したということを書くスタイルというのは戦国策では非常に珍しいなと思います。  秦の惠王が寒泉子(かんせんし、注によると策士ではあるが、秦の処士(在野の士)であるという)に言った。 「蘇秦は私のことを欺いた、一人の知恵で山東の君主らをそそのかし合従を作…

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新戦国策2-4、管淺(かんせん)が約束を破った魏に土地を割譲させる話

 ということで前回は、秦の惠王が蘇秦が裏切りやがったと自分が意見を採用しなかったことを考慮せず逆恨みしていたわけですが、こうなったら白起を送って(白起は時代がずれている気もしますが)脅かしてやろうかなと思っていたら、寒泉子(かんせんし)に注意を受けて意外と素直に謝ると。どうやら感情につっぱしるのが良くないという自覚があったらしい、という話でした。  楚と魏が魏の陘山(け…

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新戦国策2-5、楚の景鯉(けいり)が秦王と周最によって一命を救われる話

 ということで前回は魏が土地をくれないという状況だったわけですが、管淺(かんせん)が楚に働きかけては、と言って解決してしまうという話でした。魏としては楚と秦とが関係を持っては困るということだったのに、よく秦に土地を与える約束を破る気になったなと(笑)  楚の使者である景鯉(けいり)は秦にいて、秦王に従い、国境で魏王と会った。楚王はこれに激怒した(注によると、勝手に他国の…

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新戦国策2-6、張儀が魏に味方して土地を貰おうという話

 ということで前回は楚の景鯉(けいり)が秦王と周最(しゅうしゅ)によって助けられると。個人がこうして助けられるというのはレアだなという話でした。  楚は魏を攻めた。 張儀は秦王に言った。 「魏に味方して魏を強くするに越したことはありません。秦が戦いに勝てば、魏は前のように指図を聞くことになるでしょうし、西河以西の土地を贈らざるを得なくなるでしょう。勝てなければ、魏は微力…

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新戦国策2-7、田辛子(でんしんし)が秦王に予め張儀を入れないよう釘を刺しておく話

 ということで前回は、張儀が魏の味方をして勝っても負けても土地が手に入るという計算をするという話でした。  田辛子(でんしんし、策士として有名)が陳軫(ちんしん)のために秦の恵王に言った。  「この臣は、王が郭君(かくくん、郭という国の君主。正確には「虢」のかくではないかと思われる)のようになることを恐れております。  晋の獻公(けんこう、獻は献の旧字)は郭を討とう…

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新戦国策2-8、陳軫(ちんしん)が自分をはめにかかる張儀に対し、うまく乗り切る話

 ということで前回は田辛子(でんしんし)が陳軫(ちんしん)のために、張儀がやってきたら真っ先に陳軫の悪口を言うだろうなと見越して、秦王に言っておくという話でした。ワクチン接種みたいなもので、秦王は張儀が悪口を言い始めたらそらきたと不機嫌になったと。 今回もその話の続きのようです。  張儀は秦王に対して、また陳軫を悪しざまに言った。 「陳軫は秦と楚の間で親善に努めています…

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新戦国策2-9、楚からやってきた陳軫がまた楚へ帰る話

 ということで、前回は陳軫(ちんしん)が自分をはめにかかる張儀に対してうまくかわして逃れる話でした。 今回もそれに続いて陳軫の話ですが、今回長いですね。  陳軫は楚を去って秦に行った。 張儀は秦王に言った。 「陳軫は王の臣となりましたが、常にこの国の国情を楚に教えております。この張儀は彼と共に国事に尽くすことはできません。できることであれば、王に彼を追放していただきたい…

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新戦国策2-9、公孫衍(こうそんえん)が義渠(ぎきょ)の君主に入れ知恵して秦を襲撃させる話

 ということで前回は陳軫が楚から来て、また秦に帰っていくという話でした。  義渠(ぎきょ、長安の北方。秦と魏とが良く争っていた)の国の君主が魏に行った。 公孫衍(こうそんえん、就いている官位から犀首(さいしゅ)とも呼ばれる)は義渠の君主に言った。 「道が遠いために、再度お目にかかることができませんでした。できれば昨今の事情を申し上げたいのですが」  義渠の君主は言った。…

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新戦国策2-10、司馬錯(しばさく)が張儀に対抗して惠王に意見をする話

 ということで前回は公孫衍(こうそんえん)が義渠(ぎきょ)というオルドス地方の君主に話しかけて、秦軍に一泡吹かせてやるというお話でした。秦は弱ったら贈り物を送ってくるぞと言っておく。そうしたら贈り物が届いた。なので攻撃した。 贈り物を送ったら攻撃されるとかたまらんだろという感じですね(笑) 今回も長いですね。 長いので3つに分けました。 張儀、司馬錯、まとめの順です。 …

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新戦国策2-11前編、張儀が楚の懐王を徹底的に騙す話

 ということで前回は司馬錯(しばさく)が張儀の意見を遮って意見し、それが通って秦は蜀の征伐に乗り出し、それが成功して国力を増すことに成功すると。そういう話でした。 今回ものすごく長いので、前編後編に分けることで二回に分けてやることにします。  斉が楚を助けて秦を攻め、曲沃(きょくよく)の地を奪った。その後、秦は斉を討とうと思った。しかし斉と楚の関係は良好である。…

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新戦国策2-11後編、楚の懐王が秦を攻めて滅亡寸前まで追い詰められる話

 ということで前回の話の続きです。 張儀の話を受けた楚の懐王は「広大な土地を手に入れたぞ!」と朝廷で宣言し、そこに陳軫(ちんしん)が遅れて参内します。それを見かけた楚王がこいつ叱責しようかなと話しかけたところでした。 みんなオレを祝っているぞ、なのになぜおまえは祝わんのだと。  陳軫(ちんしん)はこれに答えて言った。 「商・於(しょうお)の土地は得ることは出来ないでしょ…

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新戦国策2-12、陳軫(ちんしん)が秦王に、斉を助けて楚を襲えという話

 ということで前回前々回で張儀が楚王を騙して秦を攻めさせて楚を壊滅させるという話でした。 今回もその関連の話です。  楚は斉との国交を絶ち、斉では兵を出して楚を討った。 陳軫(ちんしん)は楚王に言った。 「王は土地をやって斉と和解し、西の秦とは講和するに越したことはありません」 楚王は陳軫を秦に行かせた。 秦王は陳軫に言った。 「そなたは秦の人である。私はそなたとは縁故…

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新戦国策2-13、惠王が死に公孫衍(こうそんえん)と李讎(りしゅう)が張儀を追い出そうとする話

 ということで前回は陳軫(ちんしん)が秦王に、斉を助けて楚を襲えという話でした。何かそこに起死回生の手があったのでしょうか。陳軫の思惑がよくわかりませんでしたが。  秦の惠王が死んだ。 そこで公孫衍(こうそんえん)は張儀を排斥して困らせようとした。李讎(りしゅう)は公孫衍に言った。 「甘茂(かんも、かんぼうとも)を魏より招いて公孫顯(こうそんけん、顯は日糸糸頁)を韓より…

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新戦国策秦3-1、武王、左成(させい)が甘茂(かんも)に張儀に兵を与えた方がいいと助言する話

 ということで前回で惠王は死に、ここからは次の武王となります。 前回は王が死んで、張儀を排斥しようという運動が起きたところで終わりました。  張儀は秦の兵を借りて、魏を救おうとした。 左成(させい)は甘茂(かんも、かんぼうとも)に言った。 「これは兵を与えた方が良い。 魏が秦の兵を返さなければ、それすなわち張儀は秦には戻らんということだ(失敗して兵を失っているから死が待…

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新戦国策秦3-2、張儀が厚く用いることによって樗里疾(ちょりしつ)を追い出す話

 ということで前回は張儀が魏を助けに行くというので、左成(させい)と甘茂(かんも)が相談してこりゃ行かせた方がいいぞということでまとまるという話でした。  張儀が樗里疾(ちょりしつ)を損なおうと考えた。殊更に重く扱うことで楚へ行かせて、楚王に秦の宰相とされてはどうかと秦に言わせようとした。 張儀が秦王に言った。 「樗里疾を重んじて使者として扱うということは、これによって…

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新戦国策秦3-3、楚に土地をあげようとする張儀と、それを何としても食い止めようとする甘茂(かんも)の話

 ということで前回は張儀が樗里疾(ちょりしつ)を秦から追放させるというお話でした。こんなんやっててよく秦は強くなれたなというお話ですね。  張儀は漢中(かんちゅう、地名)を楚に与えようとした。 秦王に言った。 「漢中を保とうとするのは、木の虫みたいなものであります(中から食い荒らす虫。ここでは国害と言いたい)。 木を植えても場所が悪ければ人はこれを切ることとなりますし、…

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新戦国策秦3-4、ある人が魏冄(ぎぜん)に孟嘗君(もうしょうくん)と仲良くして張儀に対抗しなさいという話

 ということで前回は土地を楚にあげようとする張儀と、それをなんとしても止めようとする甘茂(かんも)の話でした。まあ張儀にも何らかの思惑はあったのかもしれませんが。  ある人が魏のために、秦の宰相である魏冄(ぎぜん)に言った。 「あなたは東方(山東の諸侯)の話を聞きましたか」 「いえ、聞いていません」 「秦の人である辛張・陽母澤(しんちょう、ようぼたく)という二人が魏王・…

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「なぜバカなのか」

 「なぜバカなのか」 この問いを問いかけられたが(別にオレに対して言われているわけじゃないぞ笑)、確かにこれというのは不思議なことだ。もっと合理的、もっと打算的、もっと得をするように……いろいろ考えられることはあるのになぜかそれらの選択肢が選ばれることは一切ない。なぜかほどほど、なあなあ……いやそれどころではない、もっとも最低だと思える選択肢すら人は選び取る。ここで「バカとはなん…

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新戦国策秦3-5、扁鵲(へんじゃく)が武王に痛烈な指摘をする話

 ということで前回は魏冄(ぎぜん)がある人に斉や韓、魏と仲良くしなさいと言われるというものでした。しかし魏冄はそうはせず、真逆で各国を攻め始めるようなこととなり、「秦に王はいない」とさえ言われるような状態になったのが皮肉だという話でした。  医者である扁鵲(へんじゃく)が秦の武王にまみえた。 武王はこれに自らの病気を示した。扁鵲は私がこれを取り除きましょうと言った。 左…

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新戦国策秦3-6、甘茂と武王の息壌の誓い(そくじょうのちかい)の話

 ということで前回は医者の扁鵲(へんじゃく)が秦の武王の死を見透かしたような言葉を言うという話でした。扁鵲は武王の陥っている状況が深刻であることを一目で見透かしたようです。 今回の話結構長いので番号を①~④と振ります。  ①秦の武王が甘茂(かんも)に言った。 「私は車を三川から(三方に渡って)走らせ、周の王室を窺おうと考えている。これが成れば私が死んだとしても名は朽…

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過去と未来

 人は何に向けて生きるかといえば未来に向けて生きる、あるいは生きている、とこうなる。ところが実際にはどうなのかといえば、それはどうも怪しいなとふと思った。大体の場合、実際には人が生きているのは過去に向けてである。未来に向けて生きながら過去に向けて生きている、という表現が非常に難しいのだがこれはどういうことなのか、といえばつまり人は思ったよりも概念的に、つまりは頭でっかちに、い…

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新戦国策秦3-7、馮章(ふうしょう)が楚に土地を上げるよと言いつついなくなり、結局土地をあげない話

 ということで前回の話は甘茂と武王による息壌の誓いという話でした。これだけ念押しされても人は忘れるんだねという話ですね(笑)  宜陽の役について、馮章(ふうしょう)が秦王に言った。 「宜陽を落とすことがなければ、韓・楚は秦の状況に乗じて攻めてくることとなり、国は必ずや危うくなりましょう。 楚に漢中をあげて喜ばせておくに越したことはありません。楚がこれに喜んで侵攻してこな…

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新戦国策秦3-8、左成(させい)が宜陽を攻めている甘茂に一言言う話

 ということで前回は馮章(ふうしょう)が楚に土地をあげるよといいつつ、いなくなって「土地をやるなんてことはあいつが勝手に言ってたことだ」ということで結局上げないで済んだという話です。歴史上、詐欺のハシリみたいな話ですが(笑)しばらく宜陽を落とす関係の話が続いていますが、まだ当分宜陽関係で話が続きそうです。  宜陽は今だ落とせず、秦では死傷者が多数いた。 甘茂(かんも…

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新戦国策秦3-9、甘茂が楚と韓との同盟を分析してみせる話

 ということで前回は宜陽を攻めている最中の甘茂に、左成が一言言うという話でした。 しかしその話の前後で出て来た話が繰り返されており、改めて見るべきところはあまりないような気がしました。  宜陽の役で、楚は秦に背いて韓と同盟した。 秦王はこれを恐れた。 甘茂は言った。 「楚が韓に合流したとはいえ、韓のために楚は戦わないでしょう。韓の方では、秦と戦っている最中に楚が心変わり…

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差別の時代

 前々から思っていたことではあるが、この時代は差別の時代だと言えるしはっきりとそういう時代に入ってしまっていることを感じる。ヘイトスピーチ解消法というのができてから四年らしいが、これはそもそもそういうことを言わなければならない状況になっているという事態の方を表しているものであり、これができたからじゃあ全部一気に帳消しになる、負債は全部消えるという意味の徳政令を示すものではない…

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新戦国策秦3-10、味方であるはずのある人が、なんとしても甘茂の宜陽攻略を失敗させようと画策する話

 ということで前回は楚と韓とが同盟して恐れる王に、甘茂が説明してみせるという話でした。  宜陽の役で、ある人が楊達・公孫顯(ようだつ・こうそんけん。二人とも秦の人。顯は顕の旧字体)に言った。 「貴公のために五万の兵で西周を攻めてみせましょう。これによって九鼎(きゅうてい、当時の玉璽のようなものだが、規模は巨大)を手に入れれば甘茂の功績を抑えることができるでしょう。もしこ…

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