戦国策79、陳軫が懐王を思いとどまらせる話

 ということで今回から戦国策も3、弁説編に入りました。  100話で終わる予定ですが、最後の2話が異常に長いようなので、さてどうしたもんかと今から悩んでいます(笑)  楚王は張儀を魏から追い出そうとした。  陳軫(ちんしん)はこれを聞いて  「王はどうして張子を追い出されるのですか」  と聞いた。  楚王  「臣下でありながら不忠であり、不信であるためだ…

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戦国策80、衛の霊公を引き合いに出して、魏王を諫める魏の公子牟……の話

 これは魏の公子である牟(ぼう)が魏王に言った話である。  「衛(えい)の国の霊公(れいこう)は、雍疽と弥子瑕(ようしょ、びしか)の二人を近づけておりましたが、この二人は君主の威光をかさに着て、側近の人々を覆い隠してしまいました。  そこで復塗偵(ふくとてい)は君主に申しました。  『先日私は我が君の夢をみました』  衛君  「それはどんな夢だったのだ」…

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戦国策81、魏の太子の「孝」を恵公が止める話

 魏の恵王が亡くなった。埋葬の日取りも決まっていた。  ところが雪が降り積もり、その高さといえば牛の目の高さほどもあった。  そこで太子は城郭を取り壊した上に懸け橋を渡して、予定通りに葬儀を行おうとした。  これを諫める群臣たちは多く、  「雪がこんなにひどいのに棺を送るということになりましては、人民はたいそう苦しみましょうし、なによりも出費が膨大になるかと思われ…

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戦国策82、周訢が魏王に反論する話

 秦が魏を華(か)の地で破った。  魏王は秦に臣従しようとしたが、周訢(しゅうきん)は王に言った。  「宋の人で、学問をしに出掛けていた人がいました。  三年が経ち戻ってきましたところ、母を名で呼びました。  『おまえは三年も学問をして、帰ってくると私を名で呼ぶというのはどうしたことかね』  これに子は答えました。  『私が思いますところ、堯・舜(ぎょう、…

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戦国策83、孫臣が魏王を説得して交渉をやめさせる話 改

 華の戦いで、魏は秦に勝てなかった。  翌年、段干崇(だんかんすう)を秦にやって土地を割譲して秦と講和することになった。  孫臣(そんしん)は魏王に言った。  「魏が敗けながらも土地を割譲しなかったのは、うまく対処できたと言えましょう。  また秦が勝っておきながら土地を割譲させなかったということは、せっかくの戦勝の機会を利用できなかったと言えるでしょう。  …

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戦国策84、季梁が魏王を説いて侵攻を止める話

 魏王は趙の邯鄲(かんたん)を攻めようとした。  季梁(きりょう)これを聞くと中途で引き返してきた。服はよれよれで旅塵(りょじん)の付いた髪もそのままに、王に謁見した。  「先ほどこちらへ参ります折に太行山(たいこうざん)のところである人を見かけました。  北へ向かい馬の手綱を取り  『楚へと向かうところです』  と言っているのです。  この臣が  …

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戦国策85、蘇代の説く漁夫の利の話

 趙が燕を討とうとしていた。  蘇代(そだい)は燕のために、趙の恵王に言った。  「今日この臣がこちらに参ります途上で易水のところを通りかかりました。  そこで蛤(はまぐり)がちょうど水から出て日に当たっておりました。  そこへ鷸(しぎ)が通りかかり、蛤を見つけてついばみました。  蛤の方では貝を閉ざしてくちばしをはさみました。  鷸は言いました。  『この…

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戦国策86、范雎が平原君をくそみそに言う話

 応侯(范雎)は言った。  「鄭(てい)の人はまだ磨きあげられていない玉のことを璞(はく)と呼ぶのですが。一方周の人は、まだ乾ききっていないネズミの干物のことを朴(はく)と呼びます。  ある時に周の人がこの朴を懐に入れて鄭の商人のところへ売りに行きました。  『ハクを買いたくないですか』  と聞いたところ、商人は  『ぜひとも買いたいです』  と答えま…

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戦国策87、昭奚恤は虎の威を借る狐なんだと江一が王に説く話

 ということでまたとりあえずは戦国策に戻りたいわけですが。  この戦国策は100で終わる予定なんですが、実はなんと「486章」あるんだと。でこの本はそのうちの100個しか乗せてない(笑)それで残り386個どうしようかなと思ったんですが、最近戦国策を手に入れたのでそのうちやろうかなと思ってます。戦国策2かなんかでやろうかと思いつつ、でも始めたら二年くらい経過しそうだなと思えば…

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コロナと経済活動と対立

 今日も心血管合併症の話題を見つけることができました(4/20)  https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30937-5/fulltext  「多系統臓器不全」とか  「単核細胞の蓄積が肺で発​​見され、ほとんどの小さな肺血管がうっ血していた」という記述がみられます。  昨日の…

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戦国策88、昭奚恤を江乙が徹底的にそしる話

 江乙(こういつ、江一とも)が昭奚恤(しょうけいじゅつ)をそしって楚王に言った。  「あるところに自分の飼っている犬が番犬として役に立つと言って可愛がっている者がおりました。  ある時、その犬が井戸に小便をしました。  それを見ていた隣の家の者がそれを見て、飼い主の家に入って告げようとしましたが、犬はこれを憎みまして門前に立ちはだかり噛みつこうとします。  結局隣…

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戦国策89、江乙に手玉に取られる楚王の話

 江乙(こういつ)が昭奚恤(しょうけいじゅつ)をそしろうとして、楚王に言った。  「『臣下が徒党をなしてまとまった時に君主は危険であり、臣下が好き勝手に争う時には君主は安泰である』  と申します。  王に置かれましてはこれを忘れられませんよう。  ところで、王は人の善なるところを言い立てることを好む者がおりましたら、どのように思われますか」  楚王  「それはまさ…

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戦国策90、楚王の蘇秦への対応が少し礼を欠いている話

 蘇秦は楚に行ったが、三月ほど経ってからようやく王への謁見が叶うことになった。  話が終わり、楚を去るあいさつをした。  そこで楚王は言った。  「私はかねてから先生のお話を耳にしては、まるでいにしえの賢者であるかのように思えてならなかったものです。  その先生が今、千里の道を遠いものともせずに来られて、私の目の前におられる。  それなのになぜとどまろうとなさらない…

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戦国策91、中射の士がとんちで楚王からうまく逃れる話

 不死の薬を荊王に献じた者がいた。  取次の役人が手に持って入ってきた。中射の士(ちゅうしゃのし、宮中での護衛をする兵士)が尋ねた。  「食べられますか」  役人は「はい」と言った。なので忠射の士はこれをひったくって食べてしまった。  これを聞いた王は怒って、この中射の士を殺そうとした。  そこで中射の士は人を介して王に説いた。  「臣が取次役の者に尋ねま…

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戦国策92、蘇秦が李兌に説く累卵の話

 蘇秦は李兌(りたい)に献策しようとして言った。  「私は雒陽(らくよう)の蘇秦と申します。  家は貧しく親は老い、車はおろか車輪もありません。  足に脚絆を巻いては書物を背負い、ほこりにまみれて朝露をかぶり、歩き回るうちに足にもまめができました。  今御門の外に到着し、御前に置いて天下のことを言上できれば、と願っております」  李兌は言った。  「先生が霊魂…

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戦国策93、孟嘗君(もうしょうくん)が趙王に借りた土地をなるべくそのままにしようとする話

 趙王は孟嘗君(もうしょうくん)を武城に封じた。 孟嘗君は自らの食客の中から役人を選んだのだが、彼らを送るに際して言った。  「ことわざに、 『人の車を借りた者はむやみと走らせる。  人の着物を借りた者はやたらに着る』 と言ってはいないか」  と聞くと誰もが 「そのように申します」 と答えた。  孟嘗君 「私はそれに賛成できないのです。 車を借りる相手などというもの…

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戦国策94、虞卿が趙王に合従に加わるべきだという話

 魏は使者を送り、平原君を介して趙に合従するように勧めてきた。  そして平原君は何度も進言したのだが、趙王はこれを聞き入れなかった。  平原君は退出してきた時に虞卿(ぐけい)に出会ったので  「参内された折には、ぜひとも合従するようにと王に勧めてもらいたい」  と言った。  そして虞卿は参内した。  趙王は言った。 「先ほど平原君が魏のために合従をするよ…

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戦国策95、恵子の警告する「十人で楊を植え、一人がこれを引き抜く」という話

 田需(でんじゅ)は魏王につかえており、高位に就いていた。  恵子(けいし)は言った。  「あなたは王の側近とできる限り仲良くしなさい。  例えばあの楊樹(ようじゅ、やなぎのこと)は横に植えても成長しますし、逆さに植えても成長します。  折って植えてもそこそこ成長します。  しかし仮に10人がかりで楊(やなぎ)を植えたとしても、一人がそれを引き抜けば、それでも成長で…

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戦国策96、龐葱が魏王に釘をさしておきながら、結局ダメだったという話

 龐葱(ほうそう)は、魏の太子と共に趙の都である邯鄲(かんたん)へ人質として行くこととなった。  龐葱は魏王に言った。  「今、もし一人の者が『市場に虎が出たぞ』と言ったとしまして、王はこれを信じられますか」  王「いや」  龐葱「では二人の者が言いましたら」  王「あるいは出たかも知れぬと思うだろう」  龐葱「では三人が言いましたら」  王「信じるだろう」 …

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戦国策97、白珪が自分をチクるやつのことはなんともできませんわーという話

 白珪(はくけい)は新城君(しんじょうくん)に言った。  「夜道を行く人は盗むなど働かないようにはできますが、犬を自分に吠えさせないようにすることはできません。  この臣は、我が君のことを王の前でとやかく言わないことはできます。  しかし他人がこの臣のことを我が君の前でとやかく言うのを止めることなどはできません」  ・凄まじく短い話ですが。  ここ最近チ…

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戦国策98、段干越人が新城君に手綱の長さについて言いに来る話

 段干越人(だんかんえつじん)が新城君(しんじょうくん)に言った。  「馬を御する名人である王良(おうりょう)の弟子が、馬を車に付けたのですが  『これは一日に千里を行く名馬だ』  と言っておりました。  そこへ馬を御する名人である造父(ぞうほ)の弟子がやってきて言いました。  『残念だが、これでは千里は走らんな』  王良の弟子が言いました。  『この馬は千里の…

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戦国策99、武霊王が胡服騎射を導入する前の話

 ※今回、次回と異常に長いです。  長いので①~④と分けますが、要するに武霊王という趙王が4人の人と対話をしたということですっ飛ばしてもらってもいいかなと。  あの野蛮なヤツらの胡服を真似て着る、ということに対していかに当時の人々の強い反発があったかということだけ押さえてあればいいような気がします。 ①趙の武霊王(ぶれいおう)はある平穏な日、静かに座っていた。 …

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戦国策100、趙王が虞卿と楼緩二人の話を聞いて逡巡している話

 ・ということで今回も長文です。  今回で戦国策はとりあえず最終回と致します。  秦は長平の戦いで趙を大いに討ち破り、帰国した。  秦は使者を出して、6つの城を引き渡すことで講和しようと言ったのだが、趙の方ではなかなかまとまらなかった。  そこへ、楼緩(ろうかん)が秦からやって来たので趙王はこの楼緩と共に今後の方針を練ろうと思った。  「秦に城を与えるのは、与え…

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