タクティクスオウガ①ジュヌーンの話

 ふと思いついて急に書きたくなった。 ジュヌーンに出会うルートでは、デニムは必然的に虐殺に加担している。自分たちとウォルスタ民族の存亡をかけて人々の説得に赴き、ところが収容所でデニムは大反対に遭う。収容所の生活は最悪ではない、むしろ平和に暮らせるのだと人々は言う。  ②その人々をデニムは率先して虐殺することを決意する。ここの人々を虐殺し、その罪をガルガスタンになすりつける。ここが…

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タクティクスオウガ②『計略』

 非干渉条約を結ぶために、フィダック城へとレオナールとともに向かうことになる下り。 ロンウェー公爵によれば、「非干渉条約は「バクラムとではない、暗黒騎士団とだ」(ローディス教国からきた)暗黒騎士団ロスローリアンと戦わないことを誓うものであるのだと。  これによって、ウォルスタとしては  ①ガルガスタンに戦力を傾注できる  ②暗黒騎士団がバクラムを牽制しているがために背後から襲われる心…

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タクティクスオウガ③密約

 暗黒騎士バールゼフォンは開口一番、「公爵殿の提案は実に興味深いものであった」とレオナールに告げる。  この一言がもうすべてを告げてると言っても過言ではないインパクトを持つわけである。  ①え?戦力が乏しいウォルスタが、戦力差のあり過ぎるガルガスタンと戦おうといっているのに非干渉っておかしくない?  普通、一緒に戦ってくださいと言いそうなもんでしょ?同盟とか共同戦線とか助力を乞うと…

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タクティクスオウガ④虐殺

  デニム一行はバルマムッサ収容所へと赴くことになる。そこはガルガスタン占領下にあり、同胞であるウォルスタ人が5000人収容されている。この5000人を蜂起させ、自軍の味方につける、というのがデニムらに与えられた任務であるのだが。  収容所の人々はそれを断る。  ①争いは憎しみしか生みださない  ②ここにいれば戦渦に巻き込まれることもなく、食いっぱぐれることもない  ③「解放軍」(デニム…

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タクティクスオウガ⑤作戦立案 セリエの場合

 ヴァレリア解放戦線とリーダーであるセリエと、ウォルスタ解放軍のリーダーロンウェー公爵、ヴァイスの三者の作戦立案能力を比較したい。  ひとまずセリエから。  セリエ  ・パレード襲撃事件  この物語でセリエが一番最初に計画したのはパレード襲撃事件である。バクラム=ヴァレリア国建国二年の祭典であるパレードが王都で開かれることになった。そこでセリエは襲撃計画を立てる。君主であるブランタ司…

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タクティクスオウガ⑥作戦立案能力 ヴァイスの場合その1

 前回はセリエの作戦立案能力を検証してみたが、決していいとは言えないことがわかった。とにかく失敗に次ぐ失敗で、部下からも心が離れている。やっぱり失敗かと思われるような計画性と具体性のなさ、そして繋がらない成果とだから焦って行うことによる手段を選ばない実態。そして人々の心は離れていき、組織が縮小していく悪循環に陥っていることがわかった。  では次にヴァイスはどうだろうか。第一章は陰に隠れておりあ…

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タクティクスオウガ⑦ 作戦立案 ヴァイスの場合その2

 前回、ヴァイスの能力はバルマムッサの虐殺後の艱難辛苦を経て大きく磨かれることになったと書いたところで終わった。  ではその後のヴァイスの作戦はどのようなものがあるかといえば、大きく分けて二つある。      一つ目はガルガスタンの根拠地コリタニ城をどう攻めるかという状況で、海路ガルガスタンの背後に回ってマデュラ氷原へ、そこからブリガンテス城を落とし、そこからコリタニ城を攻略する作戦…

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タクティクスオウガ⑧ 作戦立案ヴァイスの場合その3

 今回もまたヴァイスの話になる。ただし、今回はCルートのヴァイスになる。  Cルートの場合、ヴァイスで特筆すべき出来事は、デニム包囲網、デニムとの一騎打ち、ブランタへの取り入りの基本的には三つだろう。以下でそれを分析していく。  ①デニム包囲網  ヴァイスはデニムをおびき出すため偽情報を流す。タインマウスの丘に聖騎士ランスロットが来るらしいとの噂である。それにつられてデニムたち…

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タクティクスオウガ⑨ プロローグとその周辺について

タクティクスオウガ(SFC) オープニング  オープニングの動画を挙げてみた。  この時点でデニムの父でありカチュアの義父であるプランシー神父は暗黒騎士団によって連れ去られているのがわかる。そしてバルマムッサの虐殺や古都ライムでのバクラム侵攻と同様、ここでも虐殺に近いことがどうも行われていたようである。その規模や被害者数はよくわからない。    作中の話と照らし合わせると、まずド…

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タクティクスオウガ⑩ 一緒に攻めるか否か

 ヴァイスは「オレたちだけではムリ」と言い、カチュアは「騎士様が協力してくれてもムリ」と言う。ランスロットに意見を求められ、二つの選択肢が出る。 「1我々だけではムリです、ぜひとも力をお貸しください」 「2我々だけで大丈夫です、あなた方の力は必要ありません」  この二つである。どちらを選んでも大差はないのだが、この二つの選択肢の意味するところは全く異なる、それを以下に見ていきたい。 …

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タクティクスオウガ⑪ ハボリムを覚えているか

・非干渉条約からゴリアテ襲撃へと話は移り、会談後には「ハボリム」の話に移る。この場面はその意味では三段階に渡って話が推移している。 「あれは確か…」 「反乱分子が潜んでいるという情報で攻めましたが…」 「ニセ情報だったというあれか…」  という会話が咄嗟にできるほど、ランスロット=タルタロスとバールゼフォンとはツーカーの仲である。この話はウソであり、実際には最初からプ…

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タクティクスオウガ⑫ 「第二次パレード襲撃」として

 理想と現実との対立については少なくとも1章では大きく分けて七つが明らかにされているといえる。     ①ウォルスタだけで独立という理想⇔ゼノビアの後ろ盾で、今後影響を及ぼされかねないがそれも致し方ないという現実  ②ニバスを追って一矢報いたい、敵の数も勢いのあるうちに減らしておきたいという理想⇔しかしアルモリカ城を攻撃されては元も子もないという現実  ③ウォルスタだけで戦い…

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タクティクスオウガ⑬ ウォーレンレポートから読み解く1章

 ここでの狙いは、ウォーレンレポートを中心としてこの物語を見てみようというものである。  ①  この記事は、ゴリアテでのランスロットらとの会話からアルモリカ城攻略までの極めて短い期間にしか見ることのできないある意味貴重なものであると言えるだろう。  ランスロットらとの会話でも デニム「…アルモリカ城に囚われたロンウェー公爵を助けなければ…」ヴァイス「処刑が近い…

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タクティクスオウガ⑭ ウォーレンレポートから読み解く1章その2

 どっかではセリエについて書くとか書いてましたが、まだまだ1章から出られそうにありません笑  平にご容赦ということで、昨日の続編です。    ③昨日からの流れだが、ゴリアテからアルモリカ城までの期間にこの記事も見ることが可能である。  これが意味しているのは、ゼノビアからきた外国人が港町ゴリアテを訪れたインパクトはとてつもなく大きかったということである。珍しい…

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タクティクスオウガ⑮ ヴァレリア解放戦線とセリエの思想

 ヴァレリア解放戦線が1章で行った行動は主にパレード襲撃事件と、古都ライムでの補給物資強奪事件である。パレード襲撃事件については暗黒騎士団に被害がない上に市民を巻き添えにしている時点で悪評を広め、大失敗だったというのは先に述べた。また、システィーナ主導での古都ライムでの物資強奪も「あのザマです」とシスティーナが言っているように、作戦失敗だった。  この次の行動は、仲間に「無謀…

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タクティクスオウガ⑯-1 「どうして、てめぇがリーダーなんだッ!」

 「どうして、てめぇがリーダーなんだッ!」とヴァイスは言う。それずっと気にしていたのかという事に気付かされてはっとする瞬間である。 しかしヴァイスのいう事も最もである。なぜデニムがリーダーなのか。なぜヴァイスではないのか。物語の主人公だからと言ってしまえばまあそれまでではあるが(この話はここで終わるしかない……笑)、それではちょっとヴァイスが可哀想な気もする。そういうわけでなぜデニムがリ…

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タクティクスオウガ⑰ Nルート(ニバスルート)

 バルマムッサで虐殺に反対したデニムは、紆余曲折を経た後、バクラムの古都ライム侵攻とレオナールの説得から解放軍に戻ることを決意する。「本当の敵はバクラムなんだ……」というデニムは、自分にとっての真の敵の存在を改めて感じるのである。  しかし、それはあくまでデニム個人にとってのものでしかなく、その他の人間にとってはそうであるとは限らない。例えばアロセールなどはバルマムッサの真…

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N(ニバス)ルートについて膨らましてみる

 ここではタクティクスオウガから少し離れて考えてみようかなと。  前回、ニバスルートではデニムも人々の生き方の「無化」を行っていると書いた。人々がその理想、思想、生き方とは全く別に配置されること、そしてそうしたもの一切が剥奪されること。ただ優秀な兵士として戦うこと。そうした流れに逆らったのがギルダスであると。ギルダスは死ぬ間際に記憶を取り戻し、デニムの安否を確認し、無事…

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タクティクスオウガ⑱ Nルートを進んだデニム

 Nルートにおいては、デニムはザエボスと戦っても特になにも言われたりはしない。LやCで散々言われたのがウソのように、ザエボスは「無念だ……」とだけ呟き死んでいく。  その代わり、デニムは解放軍の中では仲間内で散々に言われている。ヴァイス捜索に出かけたと思えばゲリラ救出に参加し、暗黒騎士団の一人を殺害する。一章で非干渉条約締結のための会談に参加しておきながら、そのうち…

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タクティクスオウガ⑲ (N)デニムは問題を考えた

 ハボリムは尋ねる。 「きみは暗黒騎士団と戦ったそうだね。  きみにとって真の敵はやつらなのかな?」 これはボード砦でデニムがセリエを助けるために、オズと戦って殺害したことを指している。  親の仇だとばかり思っていたが、プランシー神父はまだ生きていることが判明した。そして解放軍の意図、すなわち暗黒騎士団と交渉を始めようという意図とは反対に戦ってしまったこと、そしてその騎士のひとりを…

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タクティクスオウガ⑳ オリアスの話

 ハボリムの選択肢で真の敵は「暗黒騎士団だけ」と答えた場合、思想云々は抜いて敵を単純に規定する者は三人になる。ハボリムはただバールゼフォンに対する復讐、デニムもバクラムと暗黒騎士団は悪いと言うし、その後登場するオリアスも悪いのは父である、ニバスであると見做すことになる。ハボリムには他にもいろいろ考えていることはあるにせよ、基本的には悪いやつが悪いという極めて簡単な図式ばかりが見て取れるこ…

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タクティクスオウガ㉑ Nルート考察

 虐殺反対ルートにおいて、デニムは生きるか死ぬかのギリギリに追い込まれることになる。このギリギリの淵において、デニムはその意志と思想がどこまでのものであるかを試されることになる。  そもそもが虐殺の犯人の嫌疑をかけられており、そのために懸賞金をかけられて毎日の生活にも怯えなくてはならない。 その状況でタインマウスの丘に助けを求めにいけばヴァイスの策略にはまってしまう。は…

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タクティクスオウガ㉒ バルマムッサの論理とニバスの論理

 ここで考えていきたいのは、まずバルマムッサの虐殺を肯定する論理というのはニバスの行いを肯定する論理とかなり近いものではないかということだ。後はそこからの発展についていろいろ書いていくことにする。  ①5000人の同胞を殺害する。この収容所を全滅させることは、粛清をたびたび実施しているガルガスタンの行いと違和感がない。またウォルスタとガルガスタンの民族対立を踏まえれ…

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タクティクスオウガ㉓ フォルカスの理屈を分析する

 デニム一行はアシュトンからタインマウスまで出てくる。しかしそれはヴァイスの策略であり、デニムはタインマウスを中心としたウォルスタ包囲網の中に陥れられることになる。  アシュトンまでの退路を断たれ、アルモリカへは当然行けない。そうなると必然的に高い確率でクリザローの方面に出てくるというヴァイスの計算が的中したことが、ガナッシュのセリフから読み解くことができる。  …

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タクティクスオウガ㉔ 虐殺の妥当性と正当性の検証

 バルマムッサの虐殺の選択肢、どちらを選んだかをいろいろな人に聞くと、最初は虐殺に反対したと答える人が大半だった。少なくとも私の身近では全員が最初反対していたし、私も反対の立場をとっていた。そこには特に考える要素がないわけではないが、いや虐殺なんてダメでしょう、そんな卑怯な行いをしちゃいけないでしょう、こういう場合は反対した方が普通正解でしょうという脊髄反射的なものが多くある、という…

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タクティクスオウガ㉕虐殺の妥当性と正当性の検証 その2

 前回の内容は、Lルートは生存という最初の段階をなんでもいいから確保したい、そのためなら多少の犠牲はやむを得ないこと、そして最終的に「理想」を現実のものにできればいいという方向性だった。そしてCルートはそうした方向性ではなく、生存云々以前に理想を持って来ていること。 その結果としてCルートは最初から最後まで徹頭徹尾潔白でなくてはならないという一貫性と、そうして失われた現実感覚が浮き彫…

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タクティクスオウガ㉖プランシーの最期

 プランシーが今際の際にデニムに語るのは三つである。 ・カチュアの出生の話 ・兄ブランタの話 ・人生の話、選択肢の話  特にここで注目したいのは三つ目の人生の話である。  プランシーはカチュアの母親がマナフロア、父親がドルガルア王であることを告げる。正妻ではないマナフロアとの間にカチュアができちゃうわけで、ドルガルア王の出来心、これけっこうヤバいやつだよ…

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オウガバトル①カノープス

 主人公たちがカノープスと初めて会った時の会話。  そうしてカノープスは主人公たちが名誉、自由、正義を理由として帝国と戦っているのかを問う。  しかし考えてみればこの三つの選択肢というのは非常に奇妙である。  なぜ名誉と自由と正義以外の選択肢がないのか。いかにもそれっぽい選択肢だが、しかし非常に恣意的な選択肢だといえる。この中から…

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タクティクスオウガ㉗バルマムッサの考察、卑怯ゆえの美しさ

 ・だからそれ風に言い表すとすれば、タクティクスオウガのLとCの違いというのは卑怯ゆえの美しさと美しさゆえの卑怯ということになるんじゃないかと、  人間というのは本当に醜い、自分が生きるためならば平気で人を犠牲にする。  でもそれは「悪」なのかといえば必ずしもそうは言えない。だってそれしかないんだから。人である以上そうするしかない、つまりそこにあるのは人であるということ…

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タクティクスオウガ㉘自殺としてのドルガルア戦(その後のデニム)

   カチュアを失った後のデニムの姿というのは痛ましいものがある。とても正気を保っていられないようであるし、そもそも正気を保つだけの動機を失ったかのようにすら思える。17歳前後にしてはしっかりしており大人びたものを感じさせるが、デニムのとてつもなく強い責任感などカチュアの死の前には大したものではなかったかのようである。  強い意志も、強い責…

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