バカとクズについて






 最近これについてよく考えるようになった。あまりいい言葉ではないんだけど、かといってスルーしていたら何も考えることにはならないし、そうして導き出されるものに触れることもないので、まあそういう時期があってもいいのかなあと。


 ・法学について大学でやったことは全くないので少年法とか全然詳しくないが、ちょくちょく騒がれるのが「少年法は本当に妥当なものなのか」論争であって、全然詳しくなくてもまあそうだよなあと思いつつ聞いている。
 しかし少年法って少年についてのものなんだから、恐らく前提としては未熟な未成年者を保護するってのが目的にくるはず。つまり未成年者ってのは社会に出ていない、右も左もわからない人間なんだからミスるようなやつがたまにいてもおかしくない、そういうやつを保護しようというのがあるんだろうなと。調べてないのではっきりしたことは言えないけど。つまり前提として「バカだ」というのがあるし、そしてそのバカさについてはある程度認められて許容されているということになる。右か左かわからないで、右行ってバカなことしたやつも左へ導こうと。まあ若いうちはそういうこともあるわな、というわけだ。そして成年になり社会に出るまでにはきちんとした方向性をもって、そしてそこでがんばれるようにしようと。まあ成年がみんな素晴らしいなんてことは全くないんだが、前提が必要でありそういう神話が必要とされた事情ってのはあるんだろうなと考えることができるだろう。


 ・ところが時々「これは少年法で保護されるべきものなのか?」というような事件が起きたりする。つまり「若いからバカだからなあ」では済まされないような事件が起き、いやそれ以上にバカの盾に隠れてはいるもののこれはもう人間のクズだろうという事件が起こる。そしておきまりのようにそういう場合少年法の盾に隠れて減刑されている。これは一体何なのかと思うに、日本ではそこまで大っぴらになったりはしないが、バカとクズというものを比較した場合にクズというものの方が影響が大きく問題視される傾向があるということ。バカは許容される、そして普通にいると考えられる。「おバカ」なんて言葉もあれば、「バカになれ」なんていう使い方もされたりするが、頭が悪いから猪突猛進ってんのはよくわかるしそういうのが突破口になるっていうのもわかる。そしてそういうものを愛する文脈もあり、つまりは「愛すべきバカ」というものが日本の文化には備わっていると。そしてそういうバカの猪突猛進が事態を開ける突破口となることもあっただろう、そうなると決してバカは悪いものではなかったのだ。IQなんて最近では持て囃されているが、まああれも一つの見方でしかない。そしてそれが高いから持て囃されるということもないし、低いから見下されるということもない。そういう見方を積極的に取り入れる人もいるにはいるが、基本的に日本の文化はバカに対して許容がある。そういう意味ではむしろオレはIQが高いからというヤツの方がよっぽど鼻につくし、これに関しては一切許容される余地なく排除されるだろう。オレはバカは許容されても、オレは頭がいいはあまり好ましくない評価を受けるのだ。


 しかしクズに関してはそういうことはない。そうなったらおしまいだというもので語られるし、IQだ頭がいいだ悪いだの一切の議論の余地がなく、愛される要素として語られることはない。そしてだからこそ、「バカかクズか?」となった時に、人はその狭間でバカ側に入りたいと思うが、クズ側でありたいとは思わない。クズを許容する文化はないし、「バカ」というまだ愛されるラインを下回ってしまったらもう救いようがなくなる。そういう微妙にして熾烈なせめぎ合いというのはある。で、先の話だと少年法の盾に露骨に隠れようとするようなよくモノを知ったようなやつであり、立ち居振る舞いを知っているようなヤツが果たして単なる「バカ」なのか?という疑問は当然挟まれていいし、まあ実際その方向性は正しいんじゃないかと。右も左も熟知しているからこそ自分に有利なように動いているし、それによって露骨に恩恵を得ている、あるいはそのように周りからは見えることがある。それは不快なんだが、かといってそういう風に決まっているのでどうしようもないわけだが。


 ・ではクズとバカとは何が違うのかと考えるに、この2つってのはそもそも前提として成り立っている基盤が異なることが挙げられる。「バカ」ってのはあくまで頭の良し悪しの文脈での話だし、バカだから「=クズだ」とはならない。じゃあ「クズ」とは何かって、性格の問題であり、素行の問題であり、その結果他人に迷惑をかけるか否かの問題であって、したがってバカとクズとは似て非なるものであり、全く違う前提のもとに展開されるべき話だと言えるだろう。
 しかしだからこそかぶる点も出てくることになるともいえる。つまりは2つはまったく別個の問題だともいえるんだけど、同時に「被る点」があってもおかしくないということもできるだろう。つまり「バカかつクズ」は成り立つし、「頭がいいかつクズ」も成り立つのだ。


 ・「人は反省出来ない」というのが最近ツイッターで話題になっていたが、かつて刑務所に入っていた人が言っていたのは、誰でも後悔はするが反省はしないと。つまり被害者のことなんて考えているヤツは一人もいなかったということを言っていたのが非常に印象的だった。これは考えてみると、そういうバカなことをやらかすヤツは想像力がないから刑務所に入ったりする。で想像力がないもんだから被害者のことがわからないし、考える力がそもそもない。あるいはクズだからと考えると、クズが相手のことなんか考えるわけがないのでそりゃ刑務所に入るようなことやらかしても全く不思議がない。またはその両方が当てはまると。



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