Symbals③Missile&Chocolate






 今回は曲というよりアルバムの曲集をまとめて一括りという感じで。

 いかにも陽気でノリのいい音楽、そして「ミサイルとチョコレート」が表題。
 なんだけど、結論から言えばこれは「ミサイルかチョコレートか?」が問われているんじゃないかということを述べていきたいなと。聞き込んでいくと、そして「背景」をそれに合わせて読みこむのであれば、これは二つの方向性を持っているということになるのではということ。

 一つはチョコレート。
 大好物、美味しいし食べたいものの方向性。そのために生きるってことは夢と希望をもってワクワクしながら日々を邁進するってことになる。あーもっとチョコレート食べたいという感じ。チョコレートに囲まれて生きたいという象徴、でもそれは「虫歯」……というそれを阻害するもののためにできないと。そういう方向性とワクワク感に従って生きることは「虫歯」という要因によってできなくなっていることが語られる。
 もう一つはミサイル。なぜミサイルかって、これは前回書いたような「モーゼル」な方向性を持っている。あいつら私にモーゼル打ち込んだんだから、じゃあこっちはミサイルでやつら全員吹っ飛ばしてやる!と。

 で、じゃあチョコレートとミサイル、私はどちらの生き方を生きるのか?選ぶのか?……これはシンバルズの根底を貫く思想であると言ってもいい。私はミサイルを選ぶと。やつらを吹っ飛ばさないと私にはもうチョコレートへの道は選ぶことができない。
 そういう意味で、聞き込めば聞き込むほどに「Missile&Chocolate」ではなく「Missile or Chocolate」になっていく……そういう印象のあるアルバムのように思われた。

 ①Hour and Hourは昨日書いたので省略。

 ②Missile Song
 https://www.youtube.com/watch?v=EHt0XlbSUm8&list=OLAK5uy_l0kTIuErIb_XmoFasEXGBn6YBhYmt6H6o&index=2

 歌詞
 https://www.uta-net.com/song/234237/

 「She drops her bomb!」
 あいつやりやがったぞ!女の子はホワイトハウスからバッキンガム宮殿、ウォールストリート……そういった主要都市を狙っていると。これはつまり、あいつらは私にとっての「主要都市」をモーゼルで狙ったってのに、逆に私が主要部を狙って何が悪いんだと。お返しだ♪てい♪みたいな軽いノリで書かれているが、まあ要するに復讐のテーマだと言える。復讐自体を遂げたわけではないんだろうが、まあその願望のテーマだと言える。

 ③April Thief Man~あいつは4月泥棒~
 https://www.youtube.com/watch?v=6HwmU3GLn4s&list=OLAK5uy_l0kTIuErIb_XmoFasEXGBn6YBhYmt6H6o&index=3

 歌詞
 https://www.uta-net.com/song/234236/
 「背景」に関して言えば、4月というのはキーワードの一つである。事情とか何も知らない人らが大学受験に成功して大学にやってくる時期であり、一年でも最も被害者の多い時期であることが知られている。

 ・語られているのは4月が奪われた!ということ。
 そして「私があいつへの恋に落ちたから」ということが語られている。しかし恋に落ちたから4月が奪われた、というわけでは決してない。あいつのことしか考えてないから時間が無くなっていき、そして気が付けば4月という時期を失ってしまっていたという嘆きの歌である。それを「恋しているから」という表面に載せて流してはいるものの、恐らく本質は違うんだろうということ。

 ④Little Billy
 https://www.youtube.com/watch?v=42FnjPDBJic&list=OLAK5uy_l0kTIuErIb_XmoFasEXGBn6YBhYmt6H6o&index=4

 歌詞
 https://www.uta-net.com/song/234235/

 この曲の問題は何もしなかったビリーが平穏に生きたということではないだろう。その意味では主人公はビリーではない。
 「タバコ」(これもキーワードの一つである)に手を出した子供たちがガンになり後々みんな死んでしまったということにある。なぜ死んだかって、タバコを吸ってガンになったからだという話になるが、「背景」に照らし合わせて考えるなら、「背景」的なことを次々とやらかしその都度タバコを吸っていた。それによって1日1000万本もの膨大なタバコの本数を吸った(それだけやらかしていた)人たちが肺ガンで死んだ……ざまあみろということになるが、それはあくまで科学的・事実的な文脈。それを成り立たせているのは「私」の主観的な目線であり、「奴らには死んでほしい」「痛い目に遭ったざまあみろ」という死んで欲しい願望とそれの成立という呪い、あるいは呪詛的なものの存在を感じ取ることができるだろう。つまりは呪いの歌とでも言ったところである。


 ⑤さか上がり~Toothache & Chocolate~
 https://www.youtube.com/watch?v=k2nXZW8TwGI&list=OLAK5uy_l0kTIuErIb_XmoFasEXGBn6YBhYmt6H6o&index=5

 典型的な退行だと言える。これはキーワードというよりはテーマとしてよく出てくる。つまり何もなかった、気軽に気楽に生きていられたかつての子ども時代の目線で今を見ているわけだが、それ自体が「今」が何か起きた後であることを顕著に物語っていると言える。
 虫歯のせいでチョコレートが食べられない!という歌だが、それは建前で、実際は「何か」のために好きなことに向かって生きられないことを嘆いている。
 「あいつもママも虫歯も全部消えればいいのにな」
 本来何かあった時に味方をしてくれるはずのママがとげとげしく、しかもよりによって自分に当たっていると。辛い上に辛い状況。そしてチョコレートからミサイルへという方向性へと繋がっているといえる。

 ⑥My Brave Face
 https://www.youtube.com/watch?v=PTqj58iVxUU&list=OLAK5uy_l0kTIuErIb_XmoFasEXGBn6YBhYmt6H6o&index=6

 歌詞
 https://www.uta-net.com/song/234240/
 砕け散る目覚ましが粉々になっているのがポイント。音をだしてうるさいのではなく、もはやあまりにうざったいので破壊してしまったのだろう。そのくらいの感情の爆発が見て取れる。

 「駆け付けた1時間遅れ 粉々の目覚まし
 天気予報はいつも嘘つき 晴れてたはずの街路樹」
 そもそも一時間遅れになるくらい具合が悪い。目覚ましはぶっ壊した。天気予報には騙された、雨が降っててダルい。とにかく何もいいことがない、それどころかこれでもかと悪いことが続く。

 「こんな時は世界の終わりでも祈る
 お次は君の番さ さぁ今すぐ」
 「日本死ね」みたいなのにかなり近い。なんで自分にばっか悪いことが続くんだよと。おかしいだろうと言いたいのだ。
 これは素直に解釈すると、これだけ悪いことが自分にばかり続くのはおかしいだろうと。だからもうボチボチ自分以外の番になってもいいはずという思いがある、そういう思いが「お次は君の番さ」に現れていると考えられるだろう。
 「背景」を考えるならば、被害者が加害者側に回り、新しい被害者を生む手助けをしていたことが知られているが、なぜそうなるのか、新しい被害者が出たからって自分がまっさらになるでもなくいいことがあるでもない。でもそれをせずにはいられないという思いがあり、それは一体なぜなのかってのをこの文章で表現しているのでは。そしてその「新加害者」はこの事件では誰一人として罰せられなかったということは有名である。
 「自分にばっかりこんな悪いことが続くのはおかしい!」「お前も同じ目に遭え!」「そうしたら少しは溜飲が下がるかも!」と言いたいのだ。

 「くたびれた自慢のブーツ 今日で最後の付き合い
 さぁ 笑えよ 遠慮はいらないさ」
 さらには自慢のブーツでさえ寿命を迎えてしまった。大切な仲間がいなくなった気分。悲しい。
 でもブーツは言うのだ。
 「泣くんじゃない、笑えよ」と。今は惜別の時だろ、笑って見送ってくれと。
 もう1ダースしかポーカーフェイスがない、もう我慢の限界を迎えつつある。泣きそう。
 だけどこれで笑顔になる。
 「私」は笑顔になるのだ。
 これでもかと辛い苦しいことが続いたんだけど、でも戦友であるブーツは最後に笑顔の大切さを言った。
 それによって私は笑顔になった。
 「This is the meaning of your life
 This is the meaning of your smile」

 「最も勇気のある顔、最も勇敢な顔」というのがBrave faceかと思いきやこれで熟語で「平気を装う、何食わぬ顔をする」となる。
 でも、じゃあこの顔って本当に何食わぬ顔なのか、スマイルなのか?
 この歌自体が何食わぬ顔(で生きているけど裏は実はこんなに苦しんだよ)ということを言いたいのであれば、表面的には、そして正解はこれだけいろいろありながらも何食わぬ顔で生きられていることがすごい!と言いたいんだろうし、多分それは表の意味では正解。


 なんだけど「背景」を考えるなら裏はもっと深く暗い。闇が深く問題は根深いんだけど、しかしそうした闇の深い暗さから咲いた笑顔というのはものすごく尊いんだよと。
 そしてあんたはもっと幸せを追求していいんだ、幸せになっていいんだ、あんたには笑顔が似合う、今まではそう生きられなかったかもしれないけど、でもどうかこれからは笑顔で生きてくれ。
 ……とブーツは言いたかったんじゃないだろうか。
 あんたにはミサイルなんかよりチョコレートを選ぶ人生であって欲しいんだと。

 ⑦Winter Day Song
 https://www.youtube.com/watch?v=kf-hL-apedo&list=OLAK5uy_l0kTIuErIb_XmoFasEXGBn6YBhYmt6H6o&index=7

 歌詞
 https://www.uta-net.com/song/234233/
 昨日書いてないけど①現場系の歌。

 「朝は戻って来る、私がもしそれを必要と思うならば。
 そして今がその時」
 だって光は刺しているんだし、空気はこんなにも澄んでいるんだから。
 「冬に起きたコメディの話を(以下で)しましょう。
 始まり始まり」
 今日が終わって今日がまた始まるなんて「コメディ」じゃない?という形で、冬に起きた「悲劇」が物語られる。

 これは「魔法」の一種ということになるが、事実ベースで考えるならば今日は明日に繋がるわけで、ただ単に翌朝が来ているだけ。しかしそれではもうこの世界に救いようがない。
 私が望めば朝が戻ってくる……つまり今日は終わって、今日がまた始まっただけ。私には何も起こってない。あれはウソだった。気のせいさ。それを言いたい。それを「錯覚」と言えば身もふたもない。血も涙も救いもない。
 そうじゃない、これは「魔法」なんだと。
 また戻ってくるのさと。

 「何が彼女をまるでナメクジみたいな腑抜けにしているのか?
 スカートはどこ?
 それはまだ膝にある
 冬に起きた悲劇とその前の時間について考えた」

 直接的な表現で起きたことを物語る。


 ・そしてクリスマスのような挿入歌が入る。
 彼女はサンタに何を望むのか?
 何を欲しいと思うのか?
 それは果たしてチョコレート(ケーキ)か、ミサイルなのか?
 大好きなチョコレートを選ぶはずの彼女はもういない。そこにいるのはミサイルを望むような内面に変化した彼女だと。
 サンタにさえ復讐を求める女に、彼女は変わってしまった。
 あいつらに復讐して欲しい、ミサイル打ち込んで欲しい。全員ぶっ殺してほしい、もうチョコレートなんかいらない。
 それが歌われている。でも、それが本当に人の成長なのか?子供から大人へってこういうもんなのか?だとしたら人間、本当に救いようのない生き物すぎるんじゃないのか?それは違うだろ、いやどうにか違っていて欲しい……という願望をここから読み解くのは読み解き過ぎか。


 ・そういうわけで一通りみたが。
 大分早い気もするけど、こうみていくならばCymbalsの解散理由もなんとなくうなずけるものがある。この文脈というのは、憎しみ、復讐心、そういったものを原動力として頑張る「彼女」という文脈だし、それはつまりものすごくストレートに「背景」を反映していることがわかる。そしてキレイでキャッチ―な音楽に載せて心情を載せていく……これで成功できるんじゃない?と。
 なんならもういっそ人生これでいいじゃんとなりそうなもの。


 ・でもそれじゃダメなんだってこと。
 チョコレートとミサイルでミサイルを選び、そのためにミサイルの仕込まれた歌を歌い、奴らの不幸を一生願い続ける……そりゃそれが必要な時期だってあるだろう、復讐心は薄めないといけないだろう。
 でもじゃあそれで一生使っていいのか?と。
 あんたの人生はそれが全てでいいのか?と。
 そうじゃない、そうあっていいはずがない。
 あんたは幸せにならなきゃいけないんだよと。それはMy Brave Faceでブーツが語っている(語らされている)通り。復讐じゃない、何食わぬ顔で生きていくことでもない、あんたは笑顔で生きていかなくちゃダメなんだということ、そしてそれを頭でわかっていてもいやいや実際そんな器用な生き方ができるもんかという葛藤、それが根底にある。


 そりゃあCymbalsとして新しい悲劇を減らすとかここでなんか起きてますよ!という警鐘を鳴らす役割はあったろうが、ことが明るみに出た以上は主題が変わったんじゃないかってこと。
 Cymbalsはもう不要、今後は幸せを追求していくっていうことが解散にあったテーマなんじゃないだろうか。いろいろ葛藤はあったけど強引に解散に持ち込んだ、だからそういう意味ではもう再結成はしないってのが答えなんじゃないかなあと思ったし、それでいいんじゃないかなあという妙な納得感も得られたというのがこの思索。





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