差別について2






 ということで続きだが、「差別ダメ絶対」で差別というものに全く向き合ってこない習慣のあった我々が陥ったのは、実質的に学歴差別という普遍的でその構成員全員に当てはまるべき事態だったというのが実情ではないかということだ。自分より下となれば安心感を得、逆にこいつ自分より上かよとなれば急に被害をくらったかのような不快な気分になり、不快であるからこそこいつをどうにかしてやっつけてやらなければ気が済まないとなる。
 差別したらし返す、されたらよりキツい差別をし返す、差別感情を向けられたとなれば加害してもいい権利を得たかのようになる、みなす。そういう不毛な状態を迎えたのではないかということである。


 その結果、上に見られたいし他者を見下したいが、かといって下に見られれば誰もが不快になるという状態だった。中卒は誰もが言わないが「中卒かよ……」という実質的で明らかにストレートな差別状態だったし、かといって院卒は「おいおい30にもなって働いた経験ないのかよ……」という意味で、学歴の高位でありながらも逆に差別されるという逆差別状態だった。じゃあその結果誰が残るのかって話だが、高卒と大卒の間で亀裂と争いが生じた結果、「大卒は使えない」「東大卒はお勉強はできたかもしれないけど……(仕事はねえ)」というような言説が広まっていった結果、恐らく高卒が(多数派なので)僅差で勝利しているような状態になっているのではないだろうか。その結果として、日本製の電化製品、特にスマホやテレビなんかを中心として日本製品が全駆逐される結果を招いたと。


 そして凋落する日本の象徴であるように、今や世界の東大でもアジアの東大でもない(30位くらい)のだが日本内では相変わらずトップではあっても世界ではもはや通用しないので、今や東大を避けて海外を受験するようになっている始末である。あまりの円安にもはや移民すら寄り付かないのだが、「移民なら受け入れてやらんこともない」と思ってはいるもののもはや犬も食わない日本となり果てた。


 じゃあこの結果として一体誰が得をしたのかといって誰一人得をしていない、それどころか主力製品を失った日本が凋落し、買われるべきものもなくなった日本が円安で苦しみあえいでいるのが現状だが、何がそれをもたらしたのかって実は差別なんじゃないかというのがここでの主張である。「差別ダメ絶対」で差別と向き合ってこなかった、向き合い方もわからなかった日本人が陥ったのは結果的に全差別状態であり、みんながみんなをいかにして殺すべきか、どのようにして生き残るべきかという展開になった。この流れを最もストレートに受けたのが院卒であり、院卒が見事に滅んだこと、その専門性をもって日本に関わるべき院卒が滅んだ、大きく減ったということが日本の凋落に深くかかわっているのではないかということが一つある。これが院卒をストレートに毀損したが、これが日本の価値の毀損にも直接繋がっているのではないかということである。

 そしてもう一つは、自分と違う学歴をきちんと認めろということでもある。それぞれ学歴は違ってみんなそれぞれの強みがあるはずなのにみんな違うという結果がいったい誰にどこで負かされるか足を掬われるかわかったもんじゃないという不安感に繋がっている、だからこそ差別によってどうにかして上回ることを意図しないわけにはいかなかったわけだが、これが非常に不毛な結果を生んだ。こいつオレより上かとなったら被害を受けたかのように加害し返す(し返してもいい)、という流れへとつながった。こういう流れが院卒という未経験で下っ端になるのだが、しかし学歴は上という非常に厄介な存在になりかねないのが嫌われた流れは少なくないだろう。下っ端のくせに学歴や年齢は上というのが嫌われる流れはどこにもある。


 しかし本来は学歴が違うということは多様性を増しいろいろな武器をその職場や社会において持てる要素ではあっても、みんながみんなを差別し返すという流れをもたらすものでは本来はなかったはずである。いわゆる「みんな違ってみんないい」というやつだろうか。中卒なら「みんな高校進学を安易に選ぶ中、働こうと決めてその結果社会に出て生き残ってきた百戦錬磨の人」だし、院卒なら「専門性のあることを大学院まで行って極めようとした人、もしかしたら日本にとてつもない寄与をできる可能性のある人」なのでそれぞれが得手もあれば不得手もあるということはもっと認められていいことであるはずだと思う(それが同じ内容であってもやれ中卒は学力が足りないとか、やれ院卒は社会人経験が足りないという見方をされているところに問題がある)。


 ・まあ一番言いたいことは、結果としてみんな仲良くこの60年間問題は解決できないし(少子高齢化)、凋落の一途をたどるし(電化製品駆逐)、とうとう生活が困窮するレベルにまで追い込まれた日本(円安)というものをこうして作ってきたわけなので、みんな同じで実際には大したことはなかったんだねと笑って始めるにはいい機会なのかなと思うので、この機にとりあえず学歴問題は憎むべき敵ではなく味方という方向性を打ち出しておきたいと思ったので書いてみた。





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