わさび作り





 手がけてきたこと集。
 ふとそういうものでも書いてみるのもおもろいなと思いつく。
 たくさんいろいろ手がけてきたことだけは自信があるので(99%以上は失敗しているのだが)、じゃあそういうことから何を学んだか、どう思ったか、そもそもどうでしたかというのをそこそこまとめておくとなかなかおもしろいモノができそうだなと。多分この10年で山ほど失敗してきたけど、といってもチャレンジしてきたのは多分最初の3年ほどで残りは体調崩したりでろくにやってないってのもあるのだが、多分1000個くらいはやってきたと思う。

 ただ1000個もあると思い出すのも一苦労なので、まあ気が向いて思い出せたら書く程度である。


 その初期も初期の期間中にやっていたのがわさび作りだった。まあこれがもう地獄の作業だった。
 何が地獄ってわさびは天敵や障害がものすごく多い。

 ①イノシシの大好物なので食われる
 もうイノシシはこれを見つけたら真っ先に襲って食べにくるくらい大好きで、これでけっこうな回数やられた。根こそぎ食べて行くので、もはや何一つ残らない。見ればわかるのでショックが大きい。

 ②カニに食われる
 意外なことにカニ(沢蟹)というやつはわさびが大好物のようである。イノシシに食べられずにすくすくと育っていたやつも、カニの襲撃を受けるとひとたまりもない。いつもカニは腹を空かしているためであろう、そんなに数を増やすことはなかったのだが、わさびを植え始めるとものすごい勢いで増える。食うから増えるし、増えるから食うのである。今までは食べるモノが満足になかったから増えることができなかっただけなのだ。で、これが細かいところから砂の中まで入ってわさびを食らってスカスカにするので本当にたちが悪かった。見つけたら殺す……というのは可哀想なので遠くへ持ってって捨てていたのだが、それがじゃんじゃん増えてもとに戻り始める様というのは冷や汗をかくほどであった。これはけっこう相当ダメージが大きかった。いっそ開き直って沢蟹(のから揚げ)をたくさん食べたいなって考えたら、わさびを植えてみるといいかもしれない(笑)
 余談だが沢蟹は強烈な寄生虫がいるので生食は厳禁である。

 ③暑さに弱い
 わさびは暑さに弱い。それもものすごく弱い。ある日なんて植えようと思って午前に届いていたわさびを水に浸けておいたら日が強く差してきていて気温・水温が上がっていた。それに気づかなかったところ午後には腐っていた。あれはショックだった。油断だといっていい。何もしてないのに負けるってのは最悪だ。

 ④水流に弱い
 一体どこにどのように植えるのかというのがかなり難しい問題ではあるんだけど、特に最初は水の本流に近いところに植えようとするものだ。なんたって水流が強いので、カニとか邪魔なものや汚れを全て洗い流してくれるってのがいい。これはいいぞと本流のど真ん中に植えていたこともある。
 が、これはまあ水かさが増えた時に真っ先に直撃を受けることになる。つまり激流に飲み込まれることになるのでこれはいけない。大体雨なんかしょっちゅう降るわけだし、そのたびに結構な量の水かさの増減はあるものだ。それを思うと本流のど真ん中に植えるってのがいかに狂気の沙汰かなんだが、まあ素人はこりゃあいいぞと植えたりするもんだ(笑)しかもこれで台風シーズンなんか迎えた日には目も当てられない。


 ・一応問題の規模を比較しておくとカニ50%くらい、水流問題49%くらい、イノシシなんてかなり被害は出たけど1%程度。そういう感じです。


 じゃあ本流を避けて支流にという方向性になる。支流というのはつまり本流とは別に作ったもので、激流がきても被害を受けないしかといって水が常にないわけではないというものになる。かなり人工的な要素が強い。ただこれはカニが寄ってくる。なのでカニ対策としてプラスチックカップを切ったものを乗っけたりもしていたことがある。
 これはこれでナイスアイデアに見えるんだけど、今残ってないのを考えるとこれダメだったんだろうなと。何がダメだったかって、恐らくわさびというものは確か⑤強烈ななんとかって物質を出していて、これ他の作物を死滅させる力もあるんだけど、それっていうのは自分自身も枯れさせるほど強烈なものだったはず。アリルなんとかだったっけか。つまりプラスチックコップによってカニ対策はしたけども、これが流れなくなって恐らく自分自身の力で枯れたんだろうなと。
 →アリルイソチオシアネートというらしい。アレロパシー物質であり、よくあるセイタカアワダチソウなんかと同じような話。

 まあそういうわけで、多分10回程度やってひたすら全滅を繰り返したんだけども(笑)、あれは毎回心が痛かった反面ものすごくいい勉強になった。
 ・当時は何もわかってなかったので、とりあえずおもしろそうなことはなんでもやるというスタンスだった。まあしかしそういう中でも、実験とか保険とか、いろいろな環境に置いてみるとかリスクを分散させるって方向性をもっと置いていればよかったかなと思うし、そういう方向性の萌芽になったと考えるとかなり有意義だった。まあ不器用で要領悪かったなりには得るものもあったなと思う。

 ・「失敗は成功の母」なんていうけど(この前もなんか書いたな)、これをさらに捻くって考えると失敗して良かったねという典型例がこれだった。事業とか計画なんてものを考えるにあたって何が一番大切かって攻撃力だと思うわけだ。それは例えば戦士か武闘家か勇者かになると思うんだけど、いかに省エネ省コストでありながら高いダメージを叩き出せるかを考えたらけっこう武闘家一択になると思うわけですね。そりゃあ平均したら戦士や勇者の方が高いこともあるかもしれないけどここで重要なのは平均値じゃなくて最大火力であり最大攻撃力でありその期待値の話であって。物事が最大限うまくいったときに一体どれだけの値をおまえは期待しているのかっていうことが常に問われているわけだ。意外とマジメにやってると物事があまりにも順調にいってしまった場合のことなんか普通は考えないんだけど、ここはものすごく重要だと振り返って思う。
 話を戻すと、これが仮に成功したとしてどれだけの収益を得られるのかというのがものすごく重要だった。それは1000万なのか、1億なのか、10億なのかという最大攻撃力であり最大火力的なものを考えていなかったけど、まあよくて数万円程度だったろうしそういうものは早めに失敗してくれてよかったと思うわけだ。振り返ってみると。成功というものをどこに置くかということだけども、まあ収益的なものと経済的成功は必須と思った時にこれではいかんよねと。だからそういう意味で、早めにチャレンジして速攻挫折してあーとりあえずやることはやったわ、悔いないわという状態で何を得たのかを考えてまとめておく、そしてもうチャレンジはしないと決めるということがある意味での「失敗は成功の母」なんじゃないかというのは時々思う。
 だからこれを別の言葉で言えば、逆に本当に危うかったのはものすごく成功してしまった場合だったなと。やべえ、天敵もいないしイノシシも出ないし万々歳で超順調だったとなったとして、10の苗を10万個まで増やせたとする。そこで果たして1億の収益は上げられるのかということに関して考えるとどうしても疑問を感じざるを得ない。まあその時はその時でいろいろ手を打っていたと思うんだけど、1億というハードルがあったとしてそれに近づけようとしていろいろやるとしても、その時点でもうかなり天井が見えていると思うしその時点でもう1億は相当厳しいんだろうなと。できないことはないとは思うし、根性論でがんばれというのは容易いんだけど、そういう低い目標値を決定しなければならない時点で終わりが見えているし、あ、これはやばいぞと思って見切りをつけないといけないと思う。まして時間も労力も使うことであればなおさらである。


 ・まあそういうわけでわさび業者すげえなと思うし、それに対する独特なリスペクトは今後もあり続けると思うんだけど、まあ今後やるとしても細々、片手間でできるくらいだろうし趣味の範囲内。まあそれが妥当だろうなと思う。
 まあもしも万が一、上記の条件をすべてクリアできる画期的な何かを思いついたとすればもしかしたらやるかもしれないけど(笑)





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