そういうわけで能登地震関連である。
そこまであてになるようなものではないだろうが、まあ今後の振り返りということで自分で納得いくようにそこそこ思ったことをまとめておこうというもの。時系列にそこそこ沿っているとは思うが、真実を明らかにするほどのものかどうかは怪しい。まああくまで思ったことをまとめておく程度、後から振り返られる程度で、まあないよりは多少マシかなというものである。
・1/09(火)明らかになったのは自衛隊としては1万人派兵体制は早期に整えていたらしいということ。ところが実際に送られたのは1000人であり、その後2000人、そして4600人となったのだが、災害時の72時間があったのに戦力の逐次投入で初動対応があまりにも遅すぎたというそしりは免れないだろう。まして一週間程度経つと降雪によって寒さと雪によって視認できない状況、さらには地震で初動ができないことによる道の崩落等もそのままとなっており、戦力をこれから投入しても迅速な対応が難しい状況となっている。
まあそれだけではなく、ボランティア等も混雑しているので行かないでくれと呼びかけをしたものの、実際には現地には人手が足りておらず、山本太郎氏など現地に入って活動している人らからそうした実情が上がってくるに伴い、じゃあ来るなというのは一体何だったのかということが明らかになりつつある。
また1/2(火)には航空機の邪魔になるからという理由でドローンを飛ばさないように言われていたのだが、結局航空機を飛ばすことはなく、1/4以降まで静観が続いたのだが、その結果1/10頃になっても一体どの程度崩落があるのか、現地はどうなっているのかが把握されないままとなってしまいそのまま降雪を迎えた。
→※1/2に航空機の被災地への発着履歴があることがわかった。1/11追記
結果から言えばあまりにもお粗末ではあるが、それは後から振り返ったから言えることであり、恐らく何がこうさせたのかといえばやはり北陸電力の能登原発だろうと考えられる。地震によって大幅に海底が隆起し、原発の冷却水の維持が難しくなったこと、何度か原発付近で線量が上がったことがあったらしいこと、大量の油漏れが発覚したこと(1万リットル越えるほどだったか)、そしてそうしたことを把握されこれは危機的だぞと憶測が広がること、それらの事態を政府は恐れていたのではないかと考えられる。そして恐らく危機的な事態は去り、これでほぼ安心と確認できたために、1/9から輪島市を中心として大規模捜索が開始されたのではないかと思われる。
台湾の救助隊を断ったのも恐らくはそれで、万が一早期受け入れをして原発で万が一のことがあって被曝でもすれば重大な責任問題となりかねないし、台湾との関係が大きく毀損しかねない。それを恐れたのではないか。
・では初動は間違っていたのかということだが、明らかに良いものではなかったと言えるだろう。
72時間の壁がありつつも、それと並行して「3日(72時間)の自助」というものが各地の防災時の方針としてあったことが発覚し、各地の防災計画はこれに基づいていたことが発覚した。最も初動対応が必要とされる72時間にまさかかぶせるように自助をしろとなっているとは予想外だったが、そうなっているのは常識といっている人もいた。今回の件において最も重要な72時間での自助がいかに致命的なものだったかは明らかである。物資はあっても仕分けをする人員が足りていない、その結果避難所で凍死とみられる死者が出る結果となった(ただし後から凍死ではなかったと否定されてはいるものの、じゃあ他の死因はなんだったのかについては回答がないままとなっている)。とはいえそういう方針を決める議員を選ぶのは国民であると考えると、完全に議員のみが悪いとも言い切れないところはあるのではないかとも思える。まあ今回はそういうものがあるからということで進んでしまったものの、本来はそこまで強権的に自助を打ち出そうと思っていたのではなかったのではないだろうか。今後はわからないが。
ともかく何が重要かって原発だったようである。原発で万が一の事態が起きてしまうと、向かっていた自衛隊員が被曝しかねないという可能性はあった。1万人送るのは容易かったろうが、被曝した、それも半島に送ったはいいものの撤退は非常に難しい、となるとそういう場所へ送ったということの責任はとても免れないだろう。恐らくはそれと能登の住民の平均年齢を考慮した結果、自衛隊(と放っておいたら入りかねないボランティアの人々)の命と健康を優先して万が一の際の被害の極限化に努めたというのが今回の異常な対応の実情ではないかと思われた。
そう考えると、後から振り返って何もなかったがために「初動は間違っていた」というのは当然正しいのではあるが、後出しじゃんけんで100%勝つとわかっていながら批判するというのはどうなんだろうかというのは思うのだ。そういう叩き方は72時間の1/4まででやるべきであり、その時は何も言わないで後から出てきてポイントを稼いでいくってのは妥当な手ではあるだろうが、死肉にたかる禿げ鷹のようであまり好きにはなれない。
そういうわけで、まあ妥当といえば妥当なのかという意味では岸田さんの判断もわからなくもないし、現地入りした山本氏の判断もわかる。まあ妥当なんじゃないかと個人的には思っているところ(ただ骨折してるなら他の人に任せればいいのではという気もかなりするのだが)。
・東日本の時には菅(かん)元首相が地元の人に怒られているのが良く動画でも出回るが、まあどうやっても為政者は国民からの怒りや叱責を免れないし、支持率を上げるのは困難でも下げるのは一瞬である。特に今回の対応はひどかったし冷酷にも見える。とはいえ最悪の状況に陥った場合を考えてそうしたとしたらまああながち最低最悪とも言い切れるものではないのではというのは思った。どこかで天秤にかけなければいけない事情はあるのだろうから。
とはいえ、石川県知事の馳さんはあまりにもひどかったように思うのだ。毎年地震が起きている地震大国の能登で防災がなされていない。災害で備蓄がなくなったとは言う話は一応あるが、そういう場合にも備えてより多く分散して備蓄しておくとか、最悪の場合を想定しておくというのは当然あっていい。それがなされてない、しかも去年とかになったわけではなく、なんと1995年から数えて29年目である。一体今まで何をしてきたのかというのはあっていいし、最悪でも地震の多かったここ3年間一体何をしてきたのかは当然責任を問われていいのではないかと思える。そしてそうした人を毎年選ばれているからと選んできている意味では、この人だけが責任があるようには少し思えない。
また、道路工事の発注が全くなされていないと。道路という公共のものを勝手に業者が直すわけにはいかないから発注が必要なのに全く対応してきてないというのはおかしい。
そしてまた経済的に見ると、人が多いというのは人件費がかかったりするし、重機を持つというのは固定資産における設備費用の評価割合が上がる、そうなると企業の評価が下がって入札で不利になるという事情があり、建設会社は自前の重機を持たないでレンタルするのが当たり前という事情がどうもあったようである。詳しくは掘り下げていきたいところだが、これによって石川県では自前の重機を持つ業者がいなくなり、いざという時にはよそから借りればいいという風潮があって、これが能登での迅速な復旧を妨げたということもあったようである。こういう事情はよその県でも完全に無縁ではないと思うので、ここらへんについてまた調べていきたいところ。
まあともかく、そうした事情を踏まえてどこをどう切っても、馳さん一体何をしていたのかというのがもっと批判されていいのではと思えるし、何もせず被害拡大がこの10日間なされるがままだったという印象はかなり強い。
→※土建屋が皆高齢化をしており、そろそろ無理かなというところに2023年インボイスが始まって一斉に閉めたという事情があるようである。仮に大手が重機を持っている、あるいは大手から借りればいいという方針をもってやっている中小があったにせよ、重機を自前で持っている業者がいれば対処としては何とかなったと思われるが、そういう業者が極めて少なかったという事情があり、これが被災地での初動に大きな支障となった模様である。
こうした例は例えば商店街のシャッター街化などの動きとも通底したものがあると思われる。かつては商店街が寄り合いをして経済圏を持っていたものだったろうが、大手が地方へと進出してきた結果、買い物はわざわざ回らなくてもスーパーでいいじゃんとなっていき、その結果商店街はシャッター街へと変化した。これによって大きく違ってくるのは地方の地力の衰退であり、その衰退の結果としての大手の業績続伸だと言える。こうした流れは珍しいものであるとはいえず、いろいろな場所で起きていたことを思えば、これが被災地に重機が全くない現象へとつながったことを考えるとそうした現象を把握し早めに対策を取るという流れはあっても良かったのではないかということを個人的に思った。
つまり本質的には、重機を持つ力がないくらいに地方の地力は既に衰えており、しかも毎年地震が起きていた能登でこれなのだから他は推して知るべしということだろう。まあとはいえ、知事の責任が免責されるというようなことはないだろうというのが個人的な見解だし、そういう手を講じてナンボだったのではないだろうかというのは思うところ。
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