雑巾がけ






 うまくいっている者を見ては卑屈になり、うまくいっていない者を見ては傲慢になる。
 順調な人間を見ては自分のような者が関わっていいのだろうかと迷いを抱き、逆風にあっている者にはざまあみろと助けもしない。
 素晴らしい人間には手が差し伸べられないかと淡い期待を抱きつつも、大したことのない人間と思えば手を差し伸べようともしない。
 今現に苦しい人間を見て愉悦を感じるのに対し、今苦しいという時に助けられないことに対しては逆恨みをする。
 そのいずれにせよ行動している人間であるのだが、あくせく動いていることに卑しさは感じるにせよ、動いていない自分は高みの見物、駒でも動かしているかのような気持ちというわけだが、実際には動いていないというその経験の少なさが後々足を引っ張ることになる事には気づかない。優越を感じている時には自分がいかにもすごい人間にでもなったかのようではあるが、しかしかえって人生は進んでいない。


 こうした理に関しては老若男女を問わず見受けられるものではあるし、こうした誘惑から逃れられる人間の方が圧倒的に少ないのではあるが、そのうちのどれを選ぶにせよ心根の卑しさを見透かすことができると思えばこそとりあえず自分はそうはなるまい、という心がけをしようなどとふと思った雑巾がけ。







この記事へのコメント

にほんブログ村 ゲームブログ ゲーム評論・レビューへ
にほんブログ村