そういうわけでK2最新話まで読み終わった。2周目。2周目は1周目になかった発見がいろいろあって良かった。
最新話、真田武士が再来するかと思って異様にドキドキしたというのは多分オレだけではあるまい。もしかしたらK作品で一番期待している人物だったりして(笑)
・一也(かずなり)が作中で言っていたセリフがやけに印象に残った。
「僕という人間は、(父かずやという)優秀な遺伝子を引き継ぐための容器でしかないのか……」
この思いというのは考えてみるとこの作品を通してずっと流れてきたものなんじゃないかという気がした。
かずやはかずやで父かずおきがあまりに優秀なのと学生時代おもしろいわけでもない医学にずっと携わってきているわけで、恐らくこの思いというのをかずやもきっといつかどこかで抱えたに違いない。しかしそんな疑問と何よりも反発もあったが、それ以上に父があまりに偉大過ぎて、自分という明らかな後継者もいるわけで、そうこうしているうちに反発すること自体がアホらしくなったというのはあったのだろう。そして高校の時はまるで無気力なように生きており、まるで自分の人生そのものを生きることを諦めきったかのように生きている。
そうしてみると一也という人間はその無気力さであり、自分の人生と、自分という人間がただエスカレーター状に流れていくだけでしかないということに対する怒りというものを強く抱えており、そしてその感情を宮坂という人に理解してもらえたということがかずやと比較したうえで幸せだった点なのかもしれない。
かずやはそうではなかった。不幸な事故で父が死んで、無理矢理その偉大な父の仕事を受け継ぐことになり、そして一族の最高傑作とまでいわれるまでになった。ところがガンで死ぬ。ここで思ったのは、いやいや一族の最高傑作ってんだから子どもを残さないのか?ということだったのだが、なぜ残さなかったのかという点は恐らくここらへんに結びついてくるのではないかと。
かつてかずやが通り抜けた通りに、圧倒的に偉大な父がおり、やりたくなくても小さいころから練習させられ、楽しいこともできず、反発を一時考えはするものの結局はまあ自分は後継者だから仕方あるまいと運命を黙って受け入れる。それが火を見るより明らかで忍びなかったというのがあって、一也がまさにその境地に達しているということがまさにかずやの考えた境地だったのじゃないかなあと。だとすればかずや自身はガンで死ぬ、しかしただでは死なん、その連鎖というものへの復讐とまではいかないものの、その運命に従わざるを得ない流れに反旗を翻し、一族の最高傑作であるがゆえにこの連鎖を断ち切る、というより早々とドロップアウトしてしまう。自分の後継者がかつて自分も経験したとおりに不憫で可哀想だから。それがよくわかるから。
これが何かって、一也の言うところの
「僕という人間は、優秀な遺伝子を引き継ぐための容器でしかないのか……」
ということとその運命に黙って従えという流れへの反抗ではないかと思った時に、この小さいころに感じた小さな反抗を解消できた一也は幸せだったんだなと。かずやはそれを地味に一生かけて爆発させた。反抗期に解消できなかった問題がとうとう人生の最後になって大噴火してしまう事態になった。ストレートに言えば、このくだらない因習と古臭い運命を撲滅してやるなんて事態になってしまった。そう思っているわけではないが、結果的にそうなってしまった。
そう考えてみると辻褄の合う点はある。
許嫁の黒須と会った時には
「もうやめよう。許嫁なんて時代遅れでナンセンスだ」とあっさり切って捨ててるし、つまりは反権威主義的だし、もっといえばこいつ既にけっこうこじらせとるなというのがはっきりとわかる。大人たちのわからないところで地味に解体作業を進めていたのだ。この解体作業を地味に進めているあたりがかずやという人であって、あーようやく終わった、オレの人生掛けた仕事は終わったなあとほっと一息していたところがなぜか自分の息子を名乗る子どもが現れる。げげー、ま、マジかよとなっているうちにかずやは死んでしまう。
そういうわけで気が向いたらそのうち3周目でもやろうかなと。
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