ケロウジ






 先日歩いていたら、コウタケを発見した。それも20本以上。場所によってはだが、マツタケを遥かに上回る程の価値を持つ最高級キノコであり、ある意味キノコの最高峰と言っても過言ではない。キノコめぐりもこれにて一件落着、終了というようなキノコである。


 うおおおおおおおお、こ、これはコウタケ!!!
 ……としばらく喜んでいたが、いやいや待て待て、コウタケみたいなそんないいものを運の悪いオレが見つけるなんてことがあるだろうか。ここは冷静になってこれはコウタケではないのでは?と思ってかかることが大切だと考えて、徹底的に調べることにした。


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 表面


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 こっちは裏面

 調べていくと、これはコウタケではないのではないかと薄々思われてきた。まあ調べてみるとこれイボタケ科のコウタケ属ってんだから極めてコウタケに近いものなんだとは思うが

 ①表面のささくれ模様がケロウジは平面的でペイントっぽい。一方のコウタケはまるで小型の鳥が丸まっているかのようで立体的。まるで鳥の翼のよう
 ②それに合わせてキノコ自体も丸みがなくのっぺりとした平面的な作り。
 ③コウタケは「香茸」と書く通りに醤油のようなにおいが濃厚だが、ケロウジはそういうにおいではない。なんというか、苦いたい焼きの生地のようなぼそぼそ感を感じさせるにおい(だが、はっきりと断定はできない)。



 ここまではいいとして、これでもまだ断定はできない。
 ケロウジだろうと思って捨てて、万が一コウタケだったらどうする。
 万が一のその可能性を考えると捨てるに捨てられず、かといって保持しておくにはなんとも言えず。
 種類は近いのだがその差は最高級か最下級か、大吉か大凶かくらい違うわけで、その差は月とスッポン、天と地ほど違う。
 判断が難しい。


 というわけで、四つ目の選択肢。


 ④ケロウジは味が極めて苦い
 最終的な決め手はこれしかないなと思って持って帰る。
 うまければコウタケだし、まずければケロウジだろうと。最悪毒キノコではないので(いや99.999%のキノコは毒キノコなんだけど死なないだろうと言う意味)食べても安心だと考えた。


 油でさっと炒めて食べると、ものすごくキツイ苦味が舌に走る。ぺっと吐き出して終了である。これはケロウジ間違いなし。
 ただ想定外だったのは、あまりに苦味がきつすぎて他に何も例えようがないということで。これはもうとんでもなく苦い。今食べてから6時間くらい書いているがそれでも苦味が残っている。舌があまりの苦みに痺れているほどの苦みだった。


 ・それにしても毒キノコというやつはケロウジにしろ何かの味がとんでもなくとがっているという特徴があるらしい。
 書いてないけど、今年「アカジコウ」というキノコらしきキノコを見つけたので、これはあの幻のアカジコウか!と思って食べてみたことがあるが、それがまだ若いベニイグチというキノコで、これはいわゆる有毒のキノコだった。このアカジコウと若いベニイグチの違いを見分けることは恐らく不可能なのではというくらいそっくりである。
 上がサツマイモの皮っぽく、柄の部分がサツマイモの中身っぽいので興味があると検索してみるといいかも。まさにサツマイモイグチといった感じがアカジコウ。

 これが風味が最初は美味しい、あーこれはアカジコウかもと思っていると段々と辛くなっていき、辛いというよりは舌を貫くかのような味わいに変化していく。うわーこれ美味しいけどなんか妙に、やけに辛いなあと思っていたが、今思えばそれこそ毒キノコの特徴であって。ケロウジが苦味特化なのであれば、ベニイグチは辛味特化型だったらしい。
 次の日に全身にじんましんが起きて、あああれはアカジコウではなかったんだなあと思ったが。個人的なルールとして、これはもしかして幻のキノコかもと思ったならとりあえず食べろ、食べてから死ねというのがあるのでやってみたものである。こんな毒キノコの特徴を書いたところでやってみる人がいるのかは疑問だが、まあそういうこともあるということで。








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