最近熱くなってきたのでふと思い出した話題を貼ることにする。10年くらい経ったからもう時効だろう。
本日は英語学習の話。
・大学のころTOEICという英語の試験の学習をやっていて、それをもう毎日延々とやっていた。当時、近所にあった市販の参考書は恐らく全部買った。そのくらい気合入れてやっていた。今思えばこのやり方は全然いいやり方ではないが、これくらいしか方法を思いつかなかったのも大きい。
練習では750くらい取れたので本番でも結構いけるんじゃないかと思いきや、650くらいだった。そこらへんで意気消沈して、なんかもっといい方法ないかなあとか考えていたのを覚えている。
そこでファミコンの英語のソフトやったりとか(マザー)、Zガンダムを全編英語で丸暗記するとかやっていた。それをすべてノートにつけたりしていたが、残念ながらあまりいい結果には繋がらなかった気がする。ムダも多かったが、とにかく気合と根性と時間による物量(?)で押し切るという方針でやっていた。
で、そうするとZガンダムには「るてねん」という単語がものすごくたくさん出てくるのに気付いた。スペルは「lieutenant」で「中尉」という階級を表す表現だが、階級については「へえーこういう表現があるのか」ということでそのまま暗記した。例えば「ルテネン・エマ」でエマ中尉だし、「ルテネン・アポリー」でアポリー中尉となる。
で、この知識そのままだと一生使うことはなかったろうが、皮肉なことにこの表現を後年使うことになるとは当時全く思いもしなかったことである。
・自衛隊に入って一年ちょっとした頃、アフリカに行けることになって一人大喜びしていた。まあどこでもよかったんだが、アフリカが一番当時行ってみたい場所だった。
で、その道中スリランカという国に泊まった。コロンボという町で、なんというか昭和の日本をどこか思わせる場所だった。その40年くらい前だったかに日本留学した人たちが作った町で、人が皆優しく節度を持っていることを感じさせる町だった。本屋に入ったらなんか坊さんに話しかけられた話はどっかで書いた気がする。
で、その夜しこたま飲んだ。船の人たちはみんな酒が大好きな気がするが、まあ寄港地では大概酒を食らってたもんだった。
で、その帰り道にスリランカ軍人の人たちと一緒になった。みんな帰る方角が一緒なのでテキトーな話をしながら歩いたものだった。普通は取り囲まれたと危険を感じるところかもしれないが、軍人さんということもあり、基地内に入っていたこともあり、なんというかスリランカの人たちの日本人を見る一種特別な目線、敬意の入った目線があるということを感じていたこともあってか、誰も警戒してなかったし和やかに話していた。といってもほとんど話は通じていないのだが。なんというかひたすらノリで話しているという感じ。
で、ある時に誰かがオレに言った。
「階級は何?」
オレはそれを聞いて酔っ払った頭をフル回転させてけっこう困った。
そもそもオレは英語で「るてねん」以外の階級を知らない。
わからんと言ったら「え、日本人は勤勉と聞いていたのに自分の階級も英語で話せないのか」となりかねない。オレの一言のせいで日本人全員が幻滅されては困る。
周りもみんな知らないだろうしそもそも酔っているのに聞くってのもなかなかに厳しい。
相手は気軽な世間話程度で振った話だろうが、こっちは多分あのタイミングで最も最悪な部類の質問を投げかけられたってことで困り果てた。
なんでよりによってオレに言うんだよおーと内心思っていた。
で、窮して出た答えが
「……るてねん」
それを聞いてビビったのは相手方の方だった。
「え、るてねん?」
「るてねん?」
明らかに知らないと言った感じの反応ではなく、むしろよく知っているがゆえの驚きといった感じの驚きだった。そりゃそうで、相手が日本の軍隊の下っ端ではなく、というか横に並んで普通に歩いていたのがみんな幹部ということになり、しかもそこそこの幹部だと知ったら今まで気さくに世間話していたのにそりゃあいささか気まずいと。オレはこの時ただ、ああやれやれ、窮地を脱したかとか安堵していた。そして「るてねん」が通じたことにこの人ら良く勉強してるなと。オレなんかZでるてねん知ったんだけどなあとか全然関係ないことを思っていた。
すると相手は
「失礼ですがIDカードを見せていただけませんか」と。
「はいよ」
と渡す。
5秒くらいしたら不意に爆笑が起こった。
「なんだよ!全然るてねんじゃねえじゃねえか!おめえ下っ端じゃねえか!びっくりさせやがって!」
それを聞いた周りも大笑いを始める。
オレも笑った。
みんな酒が入っていたのもあってとにかくめちゃくちゃ笑った。ものすごく笑った。結果的には壮大なギャグということですべてが丸く収まったという(笑)今思い返せばヤバい窮地を(結果的な)ギャグで乗り切ったという、人生の中でもものすごくレアな事例だった気がする。
そういう愉快な気分のまま別れた。
が、今思い出しても実はけっこうな冷や汗ものであるという。
・ということで英語学習。
TOEICやっててよかったと思ったことは一回もなかったが、TOEICの勉強してなかったらZガンダムを英語で丸暗記とかやらなかったろうし、そうしたらあの一瞬はなかったんだろうなあ、などとふとしみじみ思い出したというお話。
しかしまあほんと、袋叩きとかにならなくて本当によかったね(笑)
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