タクティクスオウガ㉝暗黒道






 暗黒道というのも中二病感満載な言葉ではあるのだが(笑)



 ・前作であるオウガバトルの最大の卑怯というのは、リーダーの運営手法そのものにあると言える。リーダーはよくわかっている。どうすれば民衆がついてくるか、不満を抱くのかを。究極的には弱い者いじめをすれば人々は嫌ってくるし、強い者と戦うと支持率は上がっていくことになる。しかしこれをバカ真面目にやっていると、いずれこっちは強くなって常に弱いものいじめをすることになる。かといってそれを避ければ、常に強敵との対峙ばかりが続くことになり、こうなっては戦いそのものが詰むことになりかねない。


 じゃあどうするかといえば、
 ①殺戮専用の部隊を専門に設けることになる。これによって殺戮部隊が弱いものいじめを一手に引き受けることになり、他の者たちが嫌われることを防ぐことができるようになる。他の者たちは常に強いものを相手に戦うことになり、常に強敵と戦う心根の素晴らしい者たちということになる。あるいは最大の強敵であるボスを楽に撃破できるように調整ができるようになり、ボスの強さの前で詰むことはなくなる。
 つまり弱いもの相手には徹底的にいじめ抜くことができるし、強い者に対しては撃破できる。他の者たちはそれによって常に強い者との対峙という状態を維持できる。つまりはこれによって三重の意味性が獲得できる。


 ②占領専門の部隊を編成する
 占領専門の部隊というのは先に挙げたような常に強い者との対峙をしてきた人たちでもある。この人らは殺戮部隊とは違って皆殺しをしてきたという醜聞がない。この部隊は神に仕える者や神の加護を受けていると言われる者たちが(とはいえ戦争なのだから、これは全く人殺しをしてきたことがないという意味ではない)メインとなるのだが、これが意味することは民衆はバカだということをリーダーが徹底的に見透かしているということに他ならない。同じ「解放軍」が都市を解放しているだけなのに、方や人殺し集団がやってきたと反感を抱くのに対し、方や見てくれのいい連中がやってくれば「解放軍はこういう人たちなのか」と支持率は上がる。同じ行為であっても片方は占領や支配を意識するのに対し、体裁さえ整えれば「解放」と捉えてくれる。
 それを踏まえると、このゲームはその事情を看破したリーダーが民衆の目前では見てくれのいい連中を用意するのに、民衆の見えないところでは体裁など一切気にしないで好き勝手やっていると、そのリーダーの考え方と視点とがそのまま表されているといえる。


 ・じゃあこれらを踏まえたリーダーとは何かといえば、考えられる道の一つは究極の卑怯であり、民衆にバレたら問題だが、バレさえしなければ何をやってもいいと思っているということになる。そして事態を看破して、最もベストなやり方を行って攻略をしようと思うのであれば、バカな民衆にバレさえしなければ何をやってもいいと思っていると。そういう底意地の悪さの上にゲームの攻略が成り立っていると言える。
 もう一つの可能性はそういうことを一切考えない天然ボケパワーを炸裂させ続けて、さらには強い敵が常にミスしてくれるという奇跡に次ぐ奇跡の連続、こっちの奇跡と敵の凡ミスの連続によって戦争が終わったということになるだろうが、そんなことはまあまずあり得るものではない。ほぼ必然的に前者一択になると言える。
 そして最終的に民衆は戦争の終結と平和の到来という恩恵を受けることになるわけだが、民衆のやってきたことと言えば解放軍のやり方に対して何を思い、どう言ってきたかということでしかない。自らが武器を持って戦おうとはしない、しかし解放軍のやり方に対しては口をはさむ、文句を言う、しかし平和という最大の恩恵は当然のように享受する。それが民衆だということになる。


 ・一方のタクティクスオウガでは最大の卑怯は虐殺関連ということになるだろう。自民族を自ら虐殺する、しかしその罪は敵側にすべてなすりつけることによって、世論を味方につけることができる。こうした工作はオウガバトルのリーダーもやっていたことで、条件さえクリアすれば事態は打開できる、民衆は支持してくれるということで部隊の使い分けをしていたことは先述の通りである。これはロンウェーも同じことで、敵は悪魔そのものであるということを「暴く」ことによって民衆の支持を得ようというものである。しかし真実を見れば、やっていることと考えていることが悪魔そのものであるのはむしろロンウェーの側であるのだが、民衆にはそれがわからない。目の前に提示された餌に釣られて反射的に動いてしまうだけのことである。


 ・オウガバトルでは占領という行為を「これは解放なのか、侵略なのか?」と迷いつつも見てくれさえよければ「ああ、これは解放なんだ」という安心感を勝手に得てくれる民衆像が描かれていた。そしてそれを見抜いたうえでそういう手を打つリーダーも示されていたと言える。
 だとすれば、タクティクスオウガでは「ガルガスタンが虐殺をした、やつらは悪魔だ」ということを示された瞬間にあいつらは悪魔だ、と勝手に考えてくれることが期待されているし、ロンウェーは露骨にそれを期待している。


 考えがまとまらなくなったのでいったん終わります(笑)











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