かず君へ/村下孝蔵





 もうぼちぼち村下孝蔵も終わろうと思ってますが、そういえば村下孝蔵といえばということでこの曲。
 かず君へ


 この曲の解釈というのは非常に難しく、離婚の歌ではという話もあるし、あるいは作った本人の中ではそれなりに答えらしい答えは用意されているのかもしれないし、あるいは二つ以上複数の解釈が可能なように作っている可能性もあるのだが。とりあえず自分の中ではこうじゃないのかというものが久しぶりに聞いてみると全然変わっていたので書いておきたい。


 ・しかし書いている本人としては別に「これが答えだ」というものを示そうと思っていないし、いやーここは違うのではとか多分こういう解釈なのではという議論と議論の深まりの方を望んでいるわけで。そうなると示すということがそれをもとに、あるいは否定して先に進めるというつもりで書いていても、逆に議論の硬直化・固定化をもたらす可能性が大いにある。ということでそれを嫌う場合はここで読むのをやめた方がいいと思います。
 わざわざ書いておいて読むなってのもへんな話ですが(笑)別によくある読むなよ、絶対に読むなよ→と言いつつ読ませる手法的なのとは違いますからね(笑)




 ・この曲の出だしは自分が彼女を車で送るというところから始まる。で、そこにはかず君もいると思われるわけだけど、これで登場人物は3人となる。この3人が主要な3人となると。そしてこの3という数字、3人であるということはたびたび強調されている。
 「父と母」がかず君が泣き出したのを見て同じ顔をしているというのは恐らくは急にかず君が泣き出したから呆気に取られているという意味だろう。
 じゃあ父と母は、主人公(多分村下孝蔵)と母(つまり奥さん)なのかどうか。これはちょっと怪しいと思う。というのは彼女の誕生日にぬいぐるみ贈ったら喜んでたとある通りで、普通母親にぬいぐるみを贈るか?というのは違和感がある。まあ絶対にないわけではないだろうが、ちょっと考えにくいのでは。つまり、彼女というのはここではぬいぐるみを贈られるような年齢とそれを喜ぶような年代として考えた方がいいのでは。つまり10代の終わりくらいで、高校卒業して独り立ちするとか、そういう年ごろなのではと。
 こういう年ごろということに関しては、「夢の続き」という曲があるししばしば出てくるので、「独り立ち」「子どもから大人になる」「それに合わせての別離」こういったことは村下孝蔵の中でも重要なテーマなんじゃないかと思われるところ。


 夢の続き
 (このPVみんなのうたっぽいなあといつも思う。ついでにこういうその作品自体ではなくほかの曲がこうだからこれもきっとそうだろうというような強引というか乱暴な類推?妥当性はそれなりにあるだろうけどこの進め方は本当はあまり好きではない)


 ・ぬいぐるみを贈られて喜ぶような年齢・年代という彼女については書いたわけだけど、衝動的に泣きだすかず君もまだまだ大人である、成熟しているというようには言い難い。
 この主人公も
 「一番近くにいる愛もある 遠くから見る愛もある」
 と言いつつ、じゃあどっちをとるのか?となった時にどっちも都合の良いところを取りたいとやって往復しているうちにまごついてふらつき転んでしまう。つまりまだまだ成熟しているとは言い難いのは主人公も同じであるということ。
 そして
 「彼女とお前 同じ顔だった」
 何やってんの?という顔か、もしくはそれを見ておかしくなって笑う顔か。考えられるのはどちらかだろう。



 ・しかしじゃあなぜそうやって迷う必要性があるのか?
 ここにあるものというのは複雑に絡まりあっていて
 ①彼女を手に入れたいと思えば、つまりエゴに走れば近づくことになる。それに基づけばかず君にだってそれはあるし、つまり互いに彼女に近づきたい思いはある
 ②しかしかず君のことを思えば譲ってやりたい気持ちがある。そういう利他心といえるものもあるのは確か。それは恐らくかず君以上に主人公にはある
 ③3人の関係が居心地がよくしっくりしているのはあるが、しかしそういう関係になることを思えば、彼女を含めた二人はそうなったとしても一人は余ることになる。主人公、もしくはかず君のどちらかが余ることになる。それは主人公の側にもあって、それが身を引く行為へ、遠くへという方向性へと繋がる
 ④しかし身を引くということは優しさや利他心から出たとしてもそれは実質的に相手が彼女を手にするわけで、そこでそれはいやだという感情が近づく方向性をもたらす

 こういうせめぎあいの中で、でも彼女はどちらにも傷ついてほしくないし、その関係と環境が壊れてほしくはない。ましてや主人公とかず君がけんかし仲たがいすることになる結果になることは望まない。
 となると、彼女がその関係性を断ち切ることを選ぶと。主人公か?かず君か?脱落するのはだれかという中で、まさかの彼女がそれを抜けることでその関係性を保たせる。そういう選択肢を選ぶ。自分がいなくなることでそれが維持されることを彼女は望んだ。その関係性を維持してほしいということを願った。
 それで辛くないわけはないのだが、
 「彼女は強い人さ」結局主人公もかず君も煮え切らない中で、自分が犠牲になるという決定打を出すことができる。そういう強さがある。しかしその強さが優しさに基づくことは言うまでもない。3人なんてまだまだ未熟で大人になる一歩手前、みんな似たようなものだが、しかし彼女は一歩抜き出たと。
 「明日の彼女のため 幸せな仲間 続けよう」
 彼女は優しさから身を引いた。そしてそのまま独り立ちしていく。
 しかし彼女が戻る場所とは?彼女が最も大切にした場所とは、主人公とかず君がいた場所ではないのかと。かつて3人がいたその場所を大切にし、大切にしているがために身を引いた彼女の気持ちを汲んで、この場所、関係性は維持しようと。彼女が戻ってこれる場所はせめて維持しようと。



 まあけっこうあらはありますが、そんなことを考えましたということです。
 最後に人生貼っておきます。




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