勝ちに酔いしれるということ






 最近の連戦連勝で勝ちに勝ってすっかり酔いしれておりました。もうこのまま一生勝ちっぱなしなんじゃないかと思ってましたところ、いきなり現れたばくだんいわに慌てふためいてあたふたしたあげくに失敗し、せっかくの圧勝を半分以上吹っ飛ばされました。これは言ってみれば、項梁が章柑によってしかけられた策によく似てました。勝ち、勝ち、勝ち……となると油断する。相手は雑魚だと油断する。そして章柑は奇襲をかけて項梁を破ったわけです。終わってみれば、そういうやられ方をしていました。



 ・勝つということ、それも大勝するとか連戦連勝を続けるということを考えてみますと、勝つということにはそれなりの資格がいるということを痛感させられます。
 例えば、弱小だった織田信長は今川義元を桶狭間で破りました。圧倒的に強かったのは今川義元でしたが、それでも信長は勝ちました。かと思えば武田信玄も上洛を考え、家康を追い詰めましたが、しかし病気で急死しました。信長らは運が良かった、というのは簡単ですし、今川義元や武田信玄には運がなかったのだといえばすっきりまとまりそうですが、そう思うとせっかくのおいしいところをみんな逃すことになりはしないかと思うわけです。


 ・その時の武田に対する対抗策はなかったわけですが、ラッキーなことに信玄が死にました。それで信長は武田の騎馬に対抗するために鉄砲を用意するわけです。騎馬が近づくまでに鉄砲を使用するというわけで、信玄はいなくなったとはいえ、最強と言っていい武田軍を前にして信長はそれなりの準備をしていると。小細工を弄するといえばそうかもしれませんが、しかしここに信長らしさというものが非常に良く表れているといってもいいのではないかと思います。


 織田信長がもしも織田軍は強いと考えて何もしていなければ、長篠の決戦の結果は全く違うものとなっていたのではないかと思うわけです。今やっていることは一体何かをしっかりと把握し、最強の武田に当たるという気持ちでやらないと、何事も決して一流にはなれんということを痛感したという話です。








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