どっかでは書いたけど、我々の社会で時々呼ばれる「神」とは一体何ものなのか、と考えた時に一番端的に表されているのは神風特攻隊なんじゃないかと思うわけです。なにしろ人がその人の命をかけて(普通出来ることじゃない)敵の戦艦を撃墜してくれると。燃料は片道分だしコストは人の命、その結果が敵戦艦撃破だとすれば、これほどコスパの良いものはない。そういう概念というものを我々の社会は二次大戦で得てきたし、それがひっそりとこの社会の奥深くに眠っていて、それが現代になっていろいろなところで散見されるようになっている、と思うわけですね。
・「労働」っていうものは平時の戦争みたいなものでもう命がけでやって命を消耗させてやるものになっていると思うんですけど、労働っていうものの本質も突き詰めれば(あくまで日本風にという意味ですが)コスパの良さに行き着く。いかに人件費を減らし、安くかつ最もいい結果を求めるか。その根っこの部分では神風特攻隊と同じなんですね。労働というものを通して我々は命を捨てて戦艦を落とせということと同じことを求められているし、実際毎日毎日そういう大戦果を出し続けることができれば業績は上向くことでしょう。
これを突き詰めれば正社員よりは派遣社員がいい、派遣社員よりはアルバイトがいいとなるわけです。クッソ安い給料でしかも病気とかで休んでも一円も出さないでいい。これほどコスパのいい「神」はいないわけです。アルバイトっていうのはまさに神だったわけですね。まあそれがボチボチ一巡して正社員に戻っていきそうな気運を感じてますが。どっかでは頼むから正社員になってくれという話もでてきているとかなんだとか。なんかいろいろカラクリがあるようですね。
・そういう人という意味での「神」はアルバイトたち……ということになるわけです。ボロ雑巾のようにズタボロにしても文句言われないし(笑)、じゃあモノにおいてはどうなのといえばやはり「神」はいると考えられるでしょう。先日の国産アサリが実は中国産だった問題ですね。中国産アサリなんて全然売れないし、今売れてないところを見てもまあ売れないと考えられますが、しかしこの中国産アサリをラベルだけ貼り替えて「国産」にして売ればこんなに儲かる話はない。そしてこんなにうじゃうじゃ国産アサリがいるわけもないから、当然ちょっと考えれば話がおかしいことには気づくわけですが、要するに消費者が舐められていたってことでもあります。どうせバカだからいちいち調べないだろうと。
そうなると、それを前提にすれば中国産アサリはまさに「神」だったといえます。評判の悪い中国産アサリと、国産というラベル、消費者はバカだというこの三点を組み合わせたらなんとバカ売れしてしまった。これこそがまさに「神」なんだと思うわけですね。まあそうやってしめしめとやっていたら化けの皮がまさか剥がれ落ちてしまったというわけですが……(笑)
・あるいは耐震偽装もそう。鉄骨をガンガン抜いて経年劣化で柱が歪むと。もう明らかに住人を殺す気満々なわけですが、でもこれにとってコストは下がる。当然耐久性はまずいわけですが(笑)、コスパ抜群の建物が出来上がったわけですね。まるで神風特攻隊が向かっていく先の選管にとっては地獄だったように、住人にとっては地獄でしょうが、でもほんとうにコスパを追究すればこういう現象は起きてくるわけです。そして一面には地獄でも、他方から見ればこんなうまい話はない。この「こんなうまい話はない」の正体とは何か、これこそが「神」の正体なんじゃないかと考えるわけですね。
とまあいろいろ書きましたが、神とは何か、神の正体とは何かとなると私はコスパであると考えるわけですね。神風特攻隊のように命一つで戦艦を破壊できる。なんてコスパがいいんだと。これこそが今の日本の価値観、その源流を流れるものなんじゃないかと思います。まあさっき思いついただけの話なので、もっと深堀りなり反論也できる方はして使ってもらえたらありがたいと思います。
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