かぐや姫の攻略自体については前回ほぼ書いた気がする。防御力の高さを逆手に取って寄せ付けないことが逆に最も貧乏神を吸い寄せることに繋がると。
・実はかぐや姫の攻略に関してはもっと早く書く予定だったが(まあ毎回やってるから一番多くやってますので)、一つ気になることがあったのでなかなか書けなかったのだ。
それというのは、「負けない戦いをすることが結果的には勝ちに繋がる」といういかにも最もらしい教訓を現実に持ち込むと、確かに効果的なことが多いのだ。無難だし堅実、守備重視。いかにも負けなければいずれは勝てるといっているかのようだが、しかしこれを究極まで推し進めるとどうなるか。このことを突き詰めた先で「攻撃力0:守備力100でいいんだ」という結論を我々はつい持ちがちだが、これがどれほど人生において愚策であるのか。
この意味においては、さるかわはバカだし自爆もするし勝てないキャラであるけど、しかしものすごい存在感はある。マルサカードを次から次へとひいては使っていく姿はプレイヤーを心底震え上がらせるものがある(まあ今のところ10連続くらいで外れてくれているのだが(笑))。そしてこういうことは桃鉄においてはけっこう重要で、終わってみるとそれでも勝った、やりきったという一種独特な充実感があったりするのだ。そこにはさるかわなしでは桃鉄は成り立たないといってもいいほどのインパクトがある。これは多分人生においても同じで、アホなことばかりしているあかおにに勝っても全然嬉しくないことと表裏一体だと思う。
かぐや姫はそういうキャラではないのだが、しかしやり終わってみるとそういうインパクトに欠ける。面白みに欠けることが多い。確かに強いんだけど、それは充実感とは全く方向性が違っているものだといえる。これが一体何を意味するものなのかを指摘することができないでいるのだが。
・さるかわは見るからにバカである。マルサカードを使って自爆して笑われるようなキャラだし、せこい手を使ってでも他人を蹴落として嫌われてでも這い上がろうとする姿は浅ましいものがあるのだが、それでもバカなりに一生懸命やっていることというのは伝わってくる(言いかたひでえな(笑))。それで好かれるか嫌われるか、スマートかスマートでないか本来どうでもいいことなんじゃないだろうか。それでも社会を生きる以上我々はついそっちに気を取られて余計なことを考えてしまうけど、一生懸命やってるってことはさるかわは手抜きをしたりはしていないってことだ。
・それを思うと、攻撃力0で守備力100なんてのは確かにスマートだし嫌われない。
しかしそれを突き詰めていくと、全員が新お昼寝カードでずっと99年寝ててもゲームは成り立つってことになる。なぜなら、その世界観では誰も負けないから。負けない戦いをしていく以上は、ゲーム開始早々みんな仲良く東京でお昼寝ってことになるけど、これで99年やっていてはゲームとしては全く成り立たないわけで(笑)それこそ真のクソゲーになってしまう。だから「負けない」ということを徹底的に突き詰めると、ものすごくおもしろくない結論に出たりする。
・これは恐らく人生にも通じるものがあって、過去ってのは常に正しい。過去に食べたものは美味しかった、少なくとも食べることができたわけだしその時に毒は入っていなかった、つまり正解だった、となる。正解の連続が今を作るとすれば正解率100%、毒が入ってなかったから生きてこられたとなる。
じゃあ食べたことないものを食べたらこの100%は維持できない。99%になってもしかしたら毒入りを食べてしまうかも知れない。負ける。つまりは、この生き方をしている以上は負けない……そういう概念は意外と少なくない。この概念の亜種みたいなやつは意外と巷にたくさん転がっていたりする。かなり極端だとは思うが。
こういう生き方の先には恐らく「正解」はあるだろう。失敗はしない、毒を食べたりしない、正解率100%は達成できる……しかしそれが充実感と果たしてセットになっているかどうかはわからない。というよりおそらくなっていないのではないかと思う。負けないこと、スマートであること、笑われないこと、そういうことを重視している以上は充実感などは視野にも入っていないだろう。そしてそういう人生の果てが果たして本当にいい人生だったと言えるのかは結構疑問だと思っている。冒険や挑戦の芽を次々と潰していくわけだから。
・ここまで書くと、いかにもかぐや姫の生き方が悪いかのような印象になるけど、ここで言いたいのはかぐや姫によく似た「負けなければ勝てる」的なもの、それがいかに偽物かということの方を言いたいので。かぐや姫自体はそうではないけど、そのエッセンスを抽出してそれっぽくまとめると奇妙なことになってしまい、それだったらむしろお手本にするのはかぐや姫じゃなくてさるかわの方なんじゃないか?? と思うことが多々あるという話。
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