何回か書いているが、さるかわの攻撃力の高さは他のキャラでは比較にならない。えんまですら相手にならない、というかえんまは己に自爆して火の粉が降りかかってくるようなマルサカードは使わない。しっかりしているキャラであるがために使わない、というより使うことができないのだ。
これが意味するものは、いってみれば最強の攻撃手段を自分から封印するに等しい。さるかわにはそれがない。
・これをドラクエで例えるなら、二人ともギガデインを使える。
最強だが、ただし1/4の確率で自分にかえってくる。瀕死の重傷となる。3/4は敵に当たる。瀕死の重傷を負わせることができる。じゃああなたはギガデインを使いますかという話になる。えんまはこれができないがために本当の意味で最強にはなれないのだ。一方のさるかわはそれができる、それも躊躇なくできる。そうであるがために最強の攻撃力を持つ。
己を犠牲にする覚悟で、最強の一撃を放てる。言ってみればさるかわは真の勇者だし、えんまはしっかりしているがためにこれができない勇者だと言える。
・ところでそういう行動を取るさるかわの思想はじゃあどのような思想なのか。果たして「勇者」の名に相応しいものだろうか。
例えば、あなたとさるかわがいて一億ずつ持っているとする。どうすれば相手を追い抜いて一位になれるのか。そのように考えるのか。
恐らくこうなった時に、99%以上の人は青マスを考える。あるいは目的地に到着する、そうすれば相手を追い抜いて一位になれる。当然このように考えるはずだ。上をめざせば、少しでもプラスがあれば一位になれる。まして目的地に入れば圧倒的に優位に立てると。
しかしさるかわはそう考えない。
同等の相手がいれば、相手を蹴落とせば一位になれると考える。だからマルサカードを使う。自分が努力するのではない、相手を蹴落とせば一位になれると考えるのだ。
これというのはそこだけを切り取れば非常に効果的な手だといえる。上をめざしてばかりいるような人間がいきなり足下から外されるのだから転落するのは間違いない。そのダメージは大きく、単純なダメージを受けたから転落したとは言えないほどのダメージがあり、その意味で何重にもなって効果的な手だと言える。上をめざしている相手を下から外す。いかにも恐ろしい手である。
・しかしここに欠点がないわけではない。
さるかわは1%の例外で、例外的に勝つために下を見るタイプの人間だと言える。つまり上を見るという習慣はない。まして上を見て相手に追いつけ追い越せでやってとうとう追い抜く、というようなタイプではない。そういう意味ではとんでもなく脆い。なぜかといえば、視線というものを下向きで確立させてしまったから。
上を向き続けることが難しいけど、自分以下の人間を見て安心することは容易い。
確かにさるかわは強い。恐らくこのゲームの中で最強クラスの攻撃力と無謀さをもっている。しかしそれが出ているところはどこなのか。一体何を目指してそれがなされるのかといえば、意外とスカスカだったりする。従ってこの攻撃力の源は何かといえば、己の安心のため、それ以外にはなかったりする。相手を蹴落とした後にどうするか、そのビジョンがない。
・じゃあそれは具体的にどのような結果になるか。
相手を落とした後のビジョンがない。相手を蹴落とした後に己の地位を盤石にするという方向性がない。従って仮に落とされたとしても、意外と巻き返せたりする。この原因が何かといえば、さるかわにはその後のビジョンがないから。相手を蹴落として、差が開いたことに満足してしまうから。
・こうみていくと、最強の攻撃力であってさえもその後のビジョンがなくては最大限に効力を発揮するということすらも難しい。
故事を引き合いに出すと、項羽は劉邦を蜀へ押し込めた。そして満足した。
しかし最終的に滅んだのは項羽の方だった。かなり強引につなげたが、要するにここで言いたいことは、最大の攻撃力であってさえも、その先にビジョンがなかったならその力を存分に発揮することでさえも難しいということである。
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