かまぼこ






 かまぼこを食っている。
 まあ正月らしいといえば正月らしいのかもしれない。先日はてブにかまぼこの記事が載っていて、ふと思い出したことがあった。昔の友人がえらいかまぼこ好きで、「いやーかまぼこほどうまいもんがこの世にあんのかねえ」とゲームしながら呟いて、それを聞いて思わず吹き出してしまい、「はあ?今なんつった?」と聞き返したものだった。そしてひとつもらって食べたけど、まあかまぼこはかまぼこで。この男はかまぼこの何を評価してああ言ったのだろう?? と今思いだしても笑ってしまうような、そのくらい私にとってそれはインパクトの大きな事件だった。


 で、そのはてブの記事というのが全国のかまぼこ選手権的なやつで、こんなことをやってるヤツがいるのか! と思ったときにふとその友人を思い出したという。
 かまぼこなんて、アレでしょ? とオレが言う時のアレというのは別に美味しくもないものを指しているのだが、どうもその友人の言うものとはこの世に比肩するものもないほどとんでもなくうまい食べ物であり、どうやらそれを食ってから死んだらもはやこの世に未練がないと言えるほどの何物かであったらしい。


 ということでかまぼこをかじっている。まあそういうことがあったからといって急にうまくなるようなものでもないが、高いものを買って外れでもしたらもう一生買わない気もする。まあいろいろ試してはみているものの、まあ普通である。


 しかしここでふと思いついてわさびと醤油で食べてみることにしたのである……かまぼこの原料は魚。つまりこれは刺身として想定して食べれば、うまいに違いない。そしてそれは正しい買ったのである。いつもの「あの」かまぼこが急に100円で買えるお手軽にしておいしい刺身に早変わりしたのである。


 しかしオレは知っている。わさびと醤油のないかまぼこなど、ただのかまぼこだということを。これは要するに焼肉と一緒で、焼肉は確かに美味しいんだけど、焼いた肉を何もつけずにそのまま食べるとそんなに美味しくはない。つまり、焼肉とはタレを味わうためのものであって、その本体ともいえる肉自体は別に美味しくはないのだ。栄養的に、足りないタンパク質やいい脂質を補える意味では美味しいけど。そこらへんにまだ決着がついていない。あれは美味しいのは肉ではなくてタレだ、ということに。


 それを思うと、かまぼこにわさびと醬油というのは、ある意味ではかまぼこ自体は別に美味しくないということの証明にならないか?これは非常に美味しいんだけど、でもどうもそれをそれとして認めることができていないという。臭い物に蓋、焼肉にタレ、かまぼこにわさび醤油だよという。


 そんなことを思いながら、ああぼちぼち年が変わるなあ、という年の暮れのこと。






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