モンキーターンの話その4






 ということで、今回洞口くんですが。
 いかに洞口くんがクソ野郎かという話になりますかね……(笑)



 いや本当に胸糞が悪くなるくらいにはっきりとした物言いで(笑)
 結局のところ、これによって河野さんはプロペラを作ることはできず、何も得られることがなく、成績を大幅に落とし、それがきっかけでそもそもマンガに出てくることすらなくなるわけだが(これはマンガを作っている側の問題な気もしないではないのだが(笑))。洞口に関わった者は不幸になるという感じだが、その第一号が河野さんだった。
 なんだけど、それを相対的に見ると、一応かなり強力な部類のライバルになりかねない存在だった河野さんを完全にこの世界から消す(やや言い過ぎか(笑))ことに成功したともいえる。で強力で厄介な相手を消すということは、自分の地位の安全が保証されるわけだから、まあそこまで洞口の本性は陰湿ではないとは思うが、最終的にそこにあったのはそういう結果なわけで。その結果をどう捉えるかと言えば、まあ洞口にとっては可もなく不可もなくどうでもよしということなのだが。
 あ、消えた? ふーんみたいな。


 ・この問題を掘り下げて考えて見ると、そもそも洞口風というか、小洞口あるいは洞口亜種みたいなのはこの社会には非常に多いと個人的に思っている。
 努力をした、でも手が届かなかった。そういう時に我々が思うことっていうのは、じゃあその努力をした先にいるヤツがいなけりゃあ良かったじゃんということになる。もっとはっきり言えば、ライバルを消せば自分は繰り上がれると。まあそこを短絡的に殺人で埋めるか、それとも別の姑息な手で……例えば「なんとか君カンニングしてました」とか。そういう手で実質的に消すと。そういう方向性を考えるのは人の性(さが)なんじゃないかなーと思うのだ。
 努力したヤツが自分以上に努力していた、自分の努力が甘かったとは絶対に認めない。あいつはクソだと思っていたのに、なぜオレがそのクソ野郎に負けるのだと。なんかそういう、闘志の燃やし先を間違えてるんじゃない??ってヤツ結構多い気がするし、洞口ってその代表としてマンガに出ているような気にすらなってしまう。まあ愚痴になりましたな(笑)個人的にそういう責任転嫁の吐け先にかなりなりがちなので、めんどくさいってのともううんざりってのはかなりある。やれ勝った負けたから飛躍して、恨みだとか怨念だとか殺人とかになりたくないでしょ、と思う。なんでこんな簡単にその一線を乗り越えるかなーと。
 だから「ライバルがもっと減ればオレは幸せだったのに!死ねよ!」というパワーが結集した結果が今の日本の深刻な少子化を招いているなーと思う。もっと減れよ!死ねよ!があまりに結集した結果、日本の深刻な少子化を招いて中国あたりに支配されるんだとすれば個人的にはすごいおもしろいなーと。ライバルを減らして仲間や友達が減って奴隷となることを選んだ日本というですね。今のところそんな壮大なストーリーが出来上がりつつあるなーと思って見てます。
 やや話がずれ気味か(笑)


 この話唯一の清涼剤という感じの青島さん。
 この人すごいなと思う。っていうのは、昨日の話でもあったけど別にほっとけばいいじゃんと(笑)そこを無視しないできちんと思ったことを伝えて、相手が良くなることを願う。相手がクソ野郎であろうとも少しは良くなることを願っているあたりが本当にすげえと思ってしまう。ムリだなーと思うもんな。オレだったら「あそっすね~(こいつマジでクソだな~)」→スルー体制の構築って感じですかね。こうして真正面から問題に対して向き合おうとするというのは本当にできることではないなと思いますね。



 ・第二話。
 櫛田との話。



 いや本当に理屈が多いというか……この場はごめんなさいで終わらせるべきだろうものを徹底して非を認めない。自分の腕の未熟さを謝ったわけで、勝ちに行く姿勢は間違ってないと。
 それはそれとして洞口の言い分があるのだろう。
 でも櫛田さんは洞口との戦いによってただ負けたわけではない。



 どうして洞口が関わるとこうなるんだろうかというくらいに、関わった相手は深刻なダメージを負う。その影響は勝った負けただけにとどまらない。得られるはずだった経験を得ることができず、次から一体どうしていけばいいのかと路頭に迷うかのような状態に陥る。それは先の河野さんも同じで、まるで魂の抜け殻のようになっていた姿が印象的だった。
 まあでもそれは別の視点からみると非常に「効果的」ということになるのだろう。一度の勝ちが次の戦いでも有利をもたらしてくれるわけだから。それが強敵であればあるほど有利に働くことは間違いない。
 まあ洞口はそこまで思っているわけではないのだが……




 こうして洞口は青島まで敵に回してしまう。
 青島がなぜここまで怒ったかと言えば、プライドを傷つけるようなことを洞口が言ったからというのも確かに大きいのだが。でも恐らく青島は河野とも櫛田とも親しかったというのがある。そしてその親しかった人たちが傷ついて、道に迷い、魂の抜け殻のようになっていくのを間近に見ていた。洞口の、関わった人をそうしてしまう力との戦いというものがここにはあったのではないかと思う。だから河野の無念さや、失意のどん底にある櫛田の側にあり、後押しすると。そうなるとどうしても必然的に洞口との戦いというものが避けては通れなかったのではないかと思うのだ。
 だからこれは人を不幸にする力と、それへの抗いなのではないかと。だから話してもわからないしまして改める気もない洞口に対して、青島が宣戦布告をしたに等しいものだと思う。これ以上やる気なら自分が相手になってやると洞口に通告したに等しいと。
 ではその結果どうなったか。




 洞口の実力の前に負けてしまう青島。
 しかも勝てたかもしれない戦いを落としてしまうのだ。 
 そしてその後。


 だからここにあるのはある意味「3番目の宿命」とでもいうべきものであって。
 河野がボロボロになったように、櫛田がボロボロになったように。
 青島も負けた戦いと、そしてこの言葉によっても、とてつもないダメージを受けるのだ。
 「もう戦いたくないから選手を辞めて欲しい」
 洞口には悪気はない。しかしこの言葉が青島の心をどれだけ鋭く抉っていったことか。ある程度覚悟していた青島ではあったが、とても深いダメージを受けることになる。




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