モンキーターンの話その3






 いろいろ書こうとか書きたいこととかあるなーと思いつつ、読み始めると書く方ではなく読む方にハマってしまってなかなか書けない(笑)ある意味、一番向いてない分野であり、一番書きにくい分野がこのマンガなのかもと思いつつ。うじゃうじゃ書くことあると思ったのに思った以上に書けてない。



 なんかそれっぽい感じで書いてみることにしよう。
 浜岡さんが個人的にすごいと思うところ2選。


 ・個人的にこの人好きだなと思うのが浜岡さんかなと。
 この人は波多野たちの先輩なのだが、先輩をやっているというよりは先輩面しているとか先輩風を吹かしているといった感じでおちょくられ気味なことが多い。
 そして主人公が波多野であることもあって、ついこの人は「先輩」としての面が強調されてしまって、「ああ、この人はこういう人なんだな」という感じで、先輩風吹かしている人物として捉えられやすいと思う。



 言いにくいことをズバズバいうという言葉の通りで、まあいかにも先輩やってますって感じなのだが。なかなかこの人が選手個人という感じがしてこない。それよりはむしろ波多野の先輩ですという感じ。
 しかし後半になるにつれて、つまり波多野が活躍すればするほど、この浜岡さんの個性というのは際立っていく。波多野が勝てば勝つほど、活躍すればするほど、じゃあ先輩であるあんたはどうなのと。そういう部分が剥き出しになっていく。そしてまたこのマンガは強敵が多すぎて、この人はチャンスがあってもなかなか勝てないのだ。



 普段先輩面しているだけに、なかなかその素顔を後輩たちは見ることがないのだが、実はものすごい負けず嫌いで内心とんでもなく悔しがっている。
 しかも波多野がものすごく強いだけに、この部分というのはものすごく強調される。
 「後輩に先越された!」そうなると後輩いびりとかしそうなものだけど、この浜岡さんはそんなことはしない。「あいつがもう少し負けたらオレの株は下がらないのに!」とかそんなことをしない。そして後輩が困っていたり悩んでいたりすればそれにアドバイスをする。これっていうのは、まあマンガの世界ではあるわけだけど、なかなかできることではないと個人的に思う。この世界はなんといっても「先輩を立てるためにわざと負けろ」とか「気分悪くしないかな……?」とかそういうことを先行して考えがちな世界なので。
 でもそういうのは本質的にはやれ後輩が先輩のことを舐めているとか、先輩が甘ったるい生ぬるい空気を求めているとか、そういうところに堕してしまうものであって。浜岡さんはそこにきちんと一線を引いている。後輩が活躍すれば喜ぶし祝う。でもそれとは別に実際には闘争心にものすごく火が付いている。そこに明確な線が引かれている、ここが偉大だと思う。なかなかできることではないなと(まあ時々ギャグ調で、鋭い本音を飛ばしてくるのだが……)。




 ・もう一個すごいところ。



 あまりにも弱いんで向いてないのかな、止めようかなと悩んでいる後輩(岸本)に言った一言。
 これっていうのは下手すれば
 「え、あれだけ威張って先輩風吹かしていた浜岡さんって……(そんなに弱かったの?)」となりかねない場面。実際この話を岸本は波多野にその後しているわけで、それによって波多野はそれを知ってしまう。そうなるとこれは弱みを握られたようなもんで、茶化されかねないし、あれだけ吹かしていた先輩風を揺るがしかねないような話だと思う。
 で、現実はそういうことが多いわけで。下手にこういう感じのアドバイスをしたものだから、本題がそれてしまって、「浜岡さんってこんな感じだったんだって」「えー!」みたいな。そっちが拡大されてしまったりして。
 別にこんな言い方をしなくたって、「もっとがんばれよ」とかさらっという方法もあったろうし、そもそも言わないという方法もあっただろうし。賢明ということを強調するならば、言わないことが一番賢い。後輩が芽を出すこともなくいなくなるだけの話なので。実際アドバイスを全くしないということは多分最も賢明ということを我々は社会生活で学ぶような気がする。あるいは消極的なアドバイスを送るとか。


 でも、その悩んでいる後輩を叱咤激励するために、浜岡さんは敢えてそういう言い方をしたわけだ。オレはこんなに長いこと苦労したし、努力したが芽が出なかった。それに比べたらお前は全然苦労してないし、まだまだ本気じゃない。努力がまだ全然足りないということを示すために、敢えて自分の言わなくてもいいことをさらけ出して言ったわけだ。
 で、これが(真に)成り立っているという意味で、この後輩である波多野と岸本はいい後輩だと思うし、その上でこうやって浜岡さんはいい先輩として成り立てているなと思う。いかにも話が後輩あっての先輩なんだぞという感じになってはいるけど(笑)、そうではなくて。こういう形で話が成り立つことができているんだとすれば、それは組織として強くなるよなあと。ここに対する厳しい一線がある組織は、活躍はしないかもしれないが、でもそれでも腐ることはないんじゃないかと。先輩としてそういう危うい一線をさらけ出せる浜岡さんは後輩への思いやりが本当に強い人なんじゃないかと。
 そう思ってみると、波多野は後輩の沖田に特に何かしているという感じではない。まあ沖田も強いし。個人が強いからこそ組織が成り立つという意味では、この二人あっての組織というのは確かだろう。でも組織あっての個人であって、組織がしっかりしているからこそ個人が成長していくという意味では、この浜岡さん抜きには岸本は成長できなかったと思う。そういう意味での組織としてのキーパーソンをこの浜岡さんは務め上げているということを思う。




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