フランス語桃太郎その18





 イヌ、サルときて今回はキジが登場します。
 変わるのは①②くらいなので、後は省略するなり復習に使うなりしてもらえればと思います。

 今回次回分の読み
 ①Tous les trois traversèrent un vaste champ quand un faisan qui les survolait descendit vers eux.
 ➁≪Cot cot!Où vas-tu donc, Momotaro?
 ③――À Onigashima,pour combattre et punir les Ogres!
 ④――Qu’as-tu dans ton balluchon?
 ⑤――Les meillurs Kibidangos qui donnent une force magique!
 ⑥――Donne-m’en, et je serai ton alliés.
 ⑦――Tiens!Mange ça et suis-moi!≫

 ①Tous les trois traversèrent un vaste champ quand un faisan qui les survolait descendit vers eux.
 前半からいきます。

 Tous les trois traversèrent un vaste champ
 Tous(トゥー)はallの意味です。男性形単数ならtout(トゥー)なんですが、複数形なのでTousになってますね。ただこれは「桃太郎、イヌ、サル」がみんな男性名詞だからというわけではなく、それらを総称するのに「ils」を使うからなんですね。その「ils」に合わせているためにここがtousになっている、と考えるとスムーズかなと思います。じゃないと「男1女2は?」とか考えることになってややこしくなりますから(笑)ここはilsに対応しているんだなと。
  traversèrent(トラベルセール)はtraverser(トラベルセール)からきています。これのilsに合わせた単純過去形ですね。これで「横断する、横切る」の意味です。
 vaste(バストゥ)は「広い、広大な」の形容詞です。
 champ(ション)は男性名詞で「畑」の意味ですが(この意味よく出る気がしますが)、ここでは「野原」ですね。
 これで、
 Tous les trois traversèrent un vaste champ
 「3人全員がある広い野原を横切った」
 になります。

 そしてquand(コン)はwhenの意味です。「~の時に」の意味で節を導きますが。SVを見て行きますと、
 quand un faisan qui les survolait descendit vers eux.
 これだとわかりにくいですね。
 quiのところを省いてやって
 quand un faisan descendit vers eux.
 こうなるとわかりやすくなります。
 「~の時に、一匹のキジが彼らの方に降りてきた」
 ということを言いたい文章となります。

 faisan(フザン)は「キジ」です。女性名詞だとfaisane(フザンヌ)となりますので、ここは男性名詞です。
 qui(キ)はいわゆるwhoで、これ以下でこのキジの説明をしています。
 で
 les survolait
 ですが、英語だとfly away themになります。「彼らの周りを飛ぶ」となりますが、フランス語なのでthemに当たるlesが前に出ているのでこの形となります。言い換えると直接目的語の「~を」の部分がこのlesになっているわけですね。
 survolait(シュルボレ)はsurvoler(シュルボレ)からきています。「~の上空を飛ぶ」ですね。これが半過去形になっています。
 で、
 faisan qui les survolait
 そして
 「彼らの周りを飛んでいたキジが」
 というようになります。ここは半過去形がきっちり決まってますね(笑)
 で、これによって「S」の部分を作っているということになります。

 続いてV以下ですね。
 descendit vers eux.
 descendit(デソンディ)はdescendre(デソンドル)からきています。「降りてくる、低くなる」の意味です。これの単純過去形ですね。
 vers(ベール)は前置詞です。aroundの意味があります。「~の方へ」ですね。
 eux(ウー)はlui(リュイ)の複数形ですね。
 ここらへんを英語で言えば
 came down around themといったところですかね。
 「(キジは)彼らの方へと降りてきた」
 となります。

 さて、合わせますと
 ①Tous les trois traversèrent un vaste champ quand un faisan qui les survolait descendit vers eux.
 「3人全員がある広い野原を横切ったその時に、一匹のキジーー彼らの周りを飛んでいたキジーーが彼らの方に降りてきた」
 という感じになります。


 ➁≪Cot cot!ahah Chrr!Où vas-tu donc, Momotaro?
 「コッコッ、桃太郎さんどこへ行きます」
 ですね。

 Où(ウー)はwhereです。
 vas-tu(バチュ)は疑問文なのでひっくり返っています。ひっくり返さなくてもいいですが。英語でいうgo youですね。do you goという感じでしょうか。
 donc(ドンク)は接続詞です。「それゆえ、従って」という意味もあるにはありますが、ここでは「さて、ところで」という意味で、ほぼ意味らしい意味を持たないです。省略してもいいくらいでしょう。


 ③――À Onigashima,pour combattre et punir les Ogres!

 À (ア)はtoの意味です。
 pourはforですね。
 pour+不定詞(動詞の原形です)で「~するために」の意味です。ここらへんは前回前々回あたりで出てますね。
 「鬼ヶ島へ(行く)。戦って鬼たちを処罰するために(行く)」という感じでしょうか。
 しっくりくるのは後ろを先に訳すことですかね。
 「戦って鬼たちを処罰するために鬼ヶ島へ(行く)」
 まあ後ろから訳すクセが付くと大変なので、今回は前者がいいと思います。


 ④――Qu’as-tu dans ton balluchon?

 Qu'as……となってますが、正確にはQue as……です。
 que(クー)はwhatの意味です。ちなみにqui(キ)とくればwhoの意味があります。もしくはthat節みたいにqui節になる可能性もあります。
 balluchon(バルション)は「小包み」という男性名詞でした。なので「ton ta tes」(トン タ テ)でtonが前にきています。
 英語で言えば
 What do you have in your bag?
 ですかね。でもおそらくこうなると、What is in your bag?もしくはWhat do you have?になる気もします。

 ⑤――Les meillurs Kibidangos qui donnent une force magique!

 これ今回の文章の中で一番重要なところだと思いますので力入れてやります。
 meillurs(メイユール)はbetter bestの意味です。

 ・定冠詞のLes(レ)が先に出てますから、これは最上級の表現ということがわかります。英語で言えばThe best of Japanとなるんですけど、ofに当たるde(ドゥ)がありません。でも本当はあります。ここでは省略されています。「日本一の」→「日本の中で最も~」という意味になりますから、Les meillurs Kibidangos(de Japon)というのが本来いわんとするところになります。これで「日本の中で最も良い、素晴らしい」の意味になります。まあ「日本の中で」がなくても最上級なんだから最もいいんだよということですね(笑)

 ・さてさっきも出ましたqui(キ)です。whoの意味がありますが、ここではquiが主語代わりとなってきびだんごの説明をしています。
 そしてdonnent(ドネ)ですが、これ接続法です。接続法といえば「話者の主観的な思いを表現するもの」という話で直接法と対立するものでしたが、ここでは◎関係代名詞の先行詞の中に最上級がある時は接続法ということで接続法になってます。それはつまり、何が最上級ってあくまであんたの個人的な思いから最上級が決められてるんでしょという感情的なものによるところが大きいからなんですね。なのであくまで90%以上はそういう事情で接続法がくっつくということです。これが数値でとか、例えば年齢が一番上だみたいな客観的な指標があったら別に直接法をつかってもOKということです。
 そういうのがありつつも、基本は◎関係代名詞の先行詞の中に最上級がある時は接続法ということになってるわけですね。

 ということで、
 ⑤――Les meillurs Kibidangos qui donnent une force magique!
 「これは最も素晴らしいきびだんごだ――これには不思議な力が与えられている!」
 フランス語ではきびだんごは複数形でlesや~sがついてましたが、日本語では複数形表現がないのでそのままにしてます。


 ⑥――Donne-m’en, et je serai ton alliés.

 ・これなんですが、命令法の単純形による命令文なんですね。
 少しややこしいですが、命令文といえばtuにあたるdonnesあるいは丁寧なvousにあたるdonnezでいいんです。それでいく方法もあるんですが、というよりそれが大多数ですが、その場合直接法現在による命令文なんですね。
 tuにあたるものなのに動詞が~sになってない。こういうものもあると。まあ内容は同じ命令の意味なんですが。
 で、ここは「V 間O 直O」となってます。
 つまり、「V me en」であり、「私に、それを、よこせ」という意味です。
 me(ム)は「私に」の人称代名詞、en(オン)は「それを」の人称代名詞となります。

 ・serai(スレ)はêtre(エートル)の単純未来形ですね。近接未来はやりました。be going toにあたるものをaller+不定詞(動詞の原形です)でやってしまうというヤツでした。近い未来を表すと。
 それに対してこれはwillの意味ですね。
 alliés(アリエ)は名詞で「味方」の意味です。もしこれが女性形であればalliée(アリエ)となり「e」がついていたはずですから、これは男性形です。それに従って「ton ta tes」のtonが前についてます。

 そうなりますと、
 ⑥――Donne-m’en, et je serai ton alliés.
 「それを私によこせ。そうすればあなたの味方となりましょう」
 という感じですかね。
 「ひとつください。お供します」よりもなんだか物騒な感じですね(笑)


 ⑦――Tiens!Mange ça et suis-moi!≫

 Tiens(ティヤン)はtenir(トゥニール)からきています。hold keepの意味ですね。
 それがtuに合わせてtiensとなり、そのまま動詞だけで命令形となっています。これが命令形としては一般的ですね。
 次のMange(モンジェ)ですが、また命令法の単純形です。この形だけだと、jeやilに合わせた形と一緒ですね。まあここは相手に言ってますし、先頭に単独で出てますので命令形です。
 ça(サ)はあまり出てないですが。「c」の下にへんなへにょへにょしたヤツが出てます。これでthatの意味となります。
 suis(スュイ)はいかにもよくみるêtre(エートル)のjeに合わせた形っぽいですが、ここは違います。
 suivre(スュイ―ブル)という動詞が変化したもので、followの意味です。つまり、ここもtuに対して言っている命令形です。「(tu) suis-moi」ということですね。

 ということでまとめますと、
 ⑦――Tiens!Mange ça et suis-moi!≫
 「持っておけ!それを食べろ、そして私についてこい」
 ということになります。しかし「持っておけ」と言いながらいきなり「食べろ」では変ですから、「もらっておけ、もらえ」の意味でないとおかしいですね。「ほら、もらっとけ。食べたら私についてこい」という感じだとスムーズかなと思います。



 さて、最後に復習ですね。
 スムーズに読めるようになっていたら今回も大成功だと思います。
 ①Tous les trois traversèrent un vaste champ quand un faisan qui les survolait descendit vers eux.
 ➁≪Cot cot!Où vas-tu donc, Momotaro?
 ③――À Onigashima,pour combattre et punir les Ogres!
 ④――Qu’as-tu dans ton balluchon?
 ⑤――Les meillurs Kibidangos qui donnent une force magique!
 ⑥――Donne-m’en, et je serai ton alliés.
 ⑦――Tiens!Mange ça et suis-moi!≫


 いつもは前回のをやってますが、似たような内容なので省くことにします。





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