ということで前回は直接法大過去が出ました。
桃から子どもが出てくるよりも前から、二人は子どもが欲しいと思っていたということでした。
その続きですね。
命名シーンです。
前回と今回の読み
①≪Cet enfant est un don des dieux.Nous devons prendre bien soin de lui!
➁――Comment va-t-on l’appeler?
③――Puisqu’il est né d'une pêche, appelons-le Momotaro,Enfant de pêche!≫
3文ではありますが、基本的に全部会話文というかおじいさんが話してるんですが、間に一つだけおばあさんが入れてるんですがまあ全部会話文です。
では①からですね。
①≪Cet enfant est un don des dieux.Nous devons prendre bien soin de lui!
ce(ス)ってthis thatの意味ですが、地味に4つ変化するんですね。
この場合そのレアな変化で、enfant(オンファン)「子ども」の前に出てきてますのでcet(セット)という形になってます。他のは女性名詞の前でcette(セット)とか複数形だとces(セ)とかもありますが。
don(ドン)はgiftの意味です。「贈り物」ですね。
dieux(デュー)は「神々」ですね。「神」だったらdieuとなりますが、その場合はDieuと大文字になります。一神教だとこうなるってことですね。
ここらへんを英語で表したら、
「That child is a gift of the gods」という感じになります。「神様からの贈り物」というよりは、日本のたくさんいる神々からの贈り物というニュアンスがものすごく強くなります。
devons(ドゥボン)はこれああなんだかnousっぽいなと思ってもらえるといいですね。devoir(ドゥボワール)のnousに合わせた変化をしているやつです。英語のmustです。
で、ここは慣用句が出てます。
devoir 不定詞(動詞の原形ですね)で「~しなければならない」という英語のmustの意味が非常に強いです。
さらに組み合わさって(bienは抜かして)、
「prendre soin de 人」となってます。「人の世話をする」ですね。
soin(ソワン)は「世話」の意味の男性名詞です。
まあ英語で言えば一発で「take care of~」なんですけどね。prendreはもろにtakeですし、その他も全部こんな感じで当てはまってます。これは突き詰めて覚えとくといい表現ですね。
「We must take great care of him!」と言っているわけです。
「あの子は神々からの贈り物だ。(だから)私たちは最大限世話をしてやらないといけない」
まあちょっとかたっ苦しいので、隣の日本語訳を見てみますが、
「この子は神様からの授かりものじゃ。しっかり世話してやらんとな」
まあこのくらいでいいのでしょう。「神様」だけがひっかかりますが。
さて➁にいきます。
➁――Comment va-t-on l’appeler?
これまずは疑問文です。
で「on」(オン)は主語になります。「人は」「人々は」という感じになります。
で、動詞のva(バ)はaller(アレー)からきてますが、読み方が「バオン」だと繋がり悪いと感じるのがフランス語なんですね。
なので間に「t」が挟まってます。こういう感じの「t」は多々見かけられますが、これはさてはteか、とか考えるとミスりますので。正解は全く意味のない、ただ言葉の繋がりをよくするためにここにハマっているだけの「t」ですので。ここも省いて考えて大丈夫です。
Comment(コモン)はhowでしたね。
で、ここは動詞だけ抜粋して
「va appeler」となっているのが重要です。aller 不定詞で近接未来を表します。「~するところだ」「まさに~しようとしている」という意味になります。こういうのが入っているんだなってのが重要ですね。
英語で表しますと、
「How are people going to call him?」という感じになります。be going toで近い未来ですね。「人々は彼のことをどう呼ぶことになりますか」という感じですね。
ニュアンスはそうなるんですけど、これで実際には「名前どうすんだよ」って言っているのがおばあさんになるわけですが。
そして③になります。
③――Puisqu’il est né d'une pêche, appelons-le Momotaro,Enfant de pêche!≫
Puisque(ピュイスク)は英語のsinceに当たります。「~なので」「~だから」という意味ですね。
né(ネ)は動詞のnaître(ネートル)からきてます。これ、助動詞としてêtre(エートル)がくっついてbe bornの意味を出すことになる動詞ですね。大体の動詞はavoir(アボワール)なんですが、辞書にもわざわざ書いてあります。しかもここでも出てると。
で、慣用句となってます。
「être né de~」で「~から生まれた」の意味です。be born from(of)という感じですね。
合わせると
合わせると
「彼は桃から生まれたので、」となります。
・ついでですが、これ複合過去(ふくごうかこ)ですね。何回もやってますが多分初複合過去じゃないかなと思います。
複合過去といかめしい名前はついてますが、まあ普通の過去形です。半過去が「~していた」という過去の継続の意味を持つ過去形なのに対し、複合過去は「~した」という点の意味での過去になります。
なのでここも「être né de~」は「~から生まれた」という点の意味での過去なんであって、「~から生まれていた」という意味ではないわけです。複合過去と半過去には厳密にはそういう違いがあります。
appelons(アプロン)はappeler(アプレ―)からですが、これが先頭に出て命令形になってます。
「(私たちは)呼んでやらないといけない」「呼ばなくては」という感じです。
-leでくっついてますが「彼を」ですね。
まとめますと、
「彼は桃から生まれたので、私たちは彼を桃太郎——桃の子ーーと呼んでやろう!」という感じですかね。
appelerと直接目的語(~を)の関係を見ていると代名動詞と考えてもいいかもしれません。
そうすると、「~という名前だ」という意味になりますので、
➁は「人々は彼の名前をどう呼びますか?」
③は「彼の名前を桃太郎と付けてやろう」
とやってもまあ通じますからいいと思います。
まあちょっとひとつ気になるのが
appelons-le
ですね。
l'appelonsとなりそうなものがどうしてこうならなかったのか、珍しくなぜ後になったのか。それを考えますと、そもそも前に出るなら
「nous l'appelons」(普通のSOV)でいいじゃんとなって、命令形のニュアンスは失われるからだろうなと。「我々は彼のことを~と呼ぼう」という意味合いが失われて(薄れて)しまうとただの平叙文(へいじょぶん、普通の文章)となってしまう。そうではなく「~しよう」という意味合いを出そうと思えばやはり動詞が先頭に出なくてはいけないと。命令文なのでSが消えてOV……となるところですがここで同士が先頭に出てVOとなっている。これは英語なら普通ですが、フランス語としては特殊ということですね。
その結果が「appelons-le」という形であり、動詞は先頭に出るし、直接目的語である「彼を」がその結果後ろにくっついたんだろうと思われます。
ということで、最後にまとめて貼ります。
①≪Cet enfant est un don des dieux.Nous devons prendre bien soin de lui!
➁――Comment va-t-on l’appeler?
③――Puisqu’il est né d'une pêche, applons-le Momotaro,Enfant de pêche!≫
さて、これで8まで終わりました。
5からの分をまとめて貼ります。
内容はそこまで難しくないと思って向かってもらえたらと思います。
À la tombée de la nuit,le vieil homme rentra bien fatigué avec son fagot sur le dos.Lorsque sa femme lui montra la pêche,il fit des yeux ronds et dit:≪Comme elle est grosse! Mangeons-la tout de suite, pendant qu'elle est encore fraîche!≫
Il la posa sur la table pour la couper.Mais juste avant qu'il ne commençât,la pêche se fendit en deux.Et ô surprise! Ils virent un beau bébé qui se trouvait à l'intérieur de la pêche.≪Ouïn!≫,cria le bébé.
Ils furent tous les deux surpris mais ravis aussi.Ils avaient toujours souhaité avoir un enfant.
≪Cet enfant est un don des dieux.Nous devons prendre bien soin de lui!
――Comment va-t-on l’appeler?
――Puisqu’il est né d'une pêche, appelons-le Momotaro,Enfant de pêche!≫
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