フランス語桃太郎その5





 ということで5まできました。
 今回は新キャラが登場します。
 おじいさんですね。

 読み
 ①À la tombée de la nuit,le vieil homme rentra bien fatigué avec son fagot sur le dos.
 ➁Lorsque sa femme lui montra la pêche,il fit des yeux ronds et dit:≪Comme elle est grosse! Mangeons-la tout de suite, pendant qu'elle est encore fraîche!≫

 この2文をみていきましょう。
 とはいえ結構前に出てきているのも多々ありますから、大体はもう分かるかなと思います。
 ①À la tombée de la nuit,le vieil homme rentra bien fatigué avec son fagot sur le dos.

 「À la tombée de la nuit」で「日暮れに」です。これは一発ですね。
 詳しく見て行くと、tombéeは女性名詞で「日が落ちること、暮れること」ですがこれはtomber(トンべー)という動詞からきています。英語で言うfallですね。「倒れる、転ぶ」「落ちる、暮れる」という意味があります。
 nuit(ニュイー)は女性名詞で「夜」ですね。
 合わせると英語では
 「To the sunset of the night」
 という感じでしょうか。
 まあここらへんはさらっと流していくことにしまして。

 「le vieil homme」(ル ヴィエイユ オンム)はまた出ました。無音のhの前でvieux(ヴュー)という単語が特殊な変化をしてvieil(ヴィエイユ)となっているんでしたね。意味はoldです。直訳して「年取った人間、男性」でもいいんですが、まあここはストレートに「おじいさん」と訳してもいいのかなと思います。

 rentra(レントラ)はrentrer(レントレー)の単純過去形ですね。これ多いので一応解説しますと、歴史的表記や物語に使われる文語で、フランスの小学校ではもう教えていないと。仏検でも扱われない、ということなので、まあそういうものだと思ってください。過去形なんだなで十分です。
 で、rentrerは「帰る、帰宅する」という自動詞です。「帰宅するって、どこへ?」とはならないでしょうから、まあこれだけで成立できている他動詞ではない動詞なんだなと思ってもらえればいいかと思います。
 bien(ビヤン)は多いですね。「良い、元気な」という意味ですが、後ろのfatigué(ファティゲ)にくっついています。これは英語で言うtiredなので、辞書的に訳すと「元気に疲れた」「とてもよく疲れた」等となっておかしいことになります。ここはvery tiredということで、「大変疲れた」「すっかり疲れた」と訳すといいかと思います。
 ここまでで訳しますと、
 「日暮れに、おじいさんはとても疲れて帰ってきた」となります。

 そしてavec以下の訳にかかりますと。
 avecは英語のwithでしたね。「~と共に」という感じです。
 fagot(ファゴ)は男性名詞で「薪束」という意味です。「薪の束」でもいいでしょう。
 まあここでは「薪」でも十分通じると思います。まさか一本ということはないでしょうから(笑)


 sur le dos(シュル ド)は「背中に」という意味です。surは重要ですね。前置詞でonやaboveといった意味があります。「~の上に」ですから、まあ直訳すると「背中の上に」となります。ここは「~に面して」で「背中に面して」でもいいかもしれませんが。

 ということでまとめますと、
 ①À la tombée de la nuit,le vieil homme rentra bien fatigué avec son fagot sur le dos.
 「日暮れに、おじいさんはとても疲れて、背中の薪と一緒に帰ってきた」という感じですかね。
 あるいは
 「日暮れに、おじいさんはとても疲れて帰ってきた。背中の薪と一緒に」でもいいとは思いますが、まあ学校では使いにくい表現ですね。


 さて➁にいきます。
 ➁Lorsque sa femme lui montra la pêche,il fit des yeux ronds et dit:≪Comme elle est grosse! Mangeons-la tout de suite, pendant qu'elle est encore fraîche!≫
 Lorsque(ロルスク)は英語のwhenですね。「~の時に」です。
 montra(モントラ)はmontrer(モントレ)から来ています。ここでは「用意する、準備する、整える」の意味です。

 ここまでをまとめますと、
 「彼の妻が彼に(おじいさんに)桃を用意した時に」となります。
 語順がちょっと気になりますね。
 lui montra la pêcheで「彼に、用意する、桃を」となりますから間O+動詞+直Oとなってます。直Oは「~を」、間Oは「~に」でしたね。英語の語順で考えるとここは違和感で引っ掛かる個所かなと思います。


 続きいきますと、
 il fit des yeux ronds et dit
 fit(フィ)はfaire(フェール)の単純過去形です。英語のmakeですね。
 des yeuxは両目、rondは形容詞でround、「丸い」の意味です。

 で、ここは英語のmake O C的に考えるとすんなりうまくいくんです。
 だから
 faire des yeux rondsで「両目を丸くして」となり、make O Cで「OをCにする」なのか!
 と思いたくなるところですが、ちょっと待ってください。ここは微妙に違うんですね。

 ・まず「faire A de B」で「BをAにする」というのがあるわけです。
 deは英語の「of from」の意味ですから、「BからAにする」でもまあいいです。
 ところがこれよく「faire de B A」となります。ここでのやつもまさにこれですね。

 で、desは「de+les」で、縮約形というやつです。ここにdeが入っているわけですね。
 この「deのかかっているやつ」を「形容詞的にする」というのがここでの意味合いになります。
 そういう感じで「両目を、丸くする」になっていると。
 これ、make O C的に考えているといずれつまづきます。語順がよく前後しますから。なので「deのかかっている方を形容詞的にする」と覚えた方がいいです。

 dit(ディ)はdire(ディール)から来てます。英語のsayですね。
 これ現在形も単純過去形も同じ形なんですが、まあここは単純過去です。

 ということでここでいったんまとめますと
 「彼は(おじいさんは)両目を丸くして、言った」
 となります。

 ・その続きですね。
 何と言ったか。
 ≪Comme elle est grosse! Mangeons-la tout de suite, pendant qu'elle est encore fraîche!≫
 comme(コンム)は英語のhowです。ここで感嘆文を導いてます。
 gros/grosse(グロ/グロス)は前も出ました。「大きい」ですね。「太った」というニュアンスが強いようですが、まあここでは同じことです。
 elleは彼女ではなくla pêcheという女性名詞を指しています。
 で、
 「なんと大きい桃だ!」という感じですかね。
 「なんと大きな桃じゃ!」でもそれらしくなりますが。

 mangeons(モンジョン)はmanger(モンジェ)からきています。「食べる」の意味です。
 これがnous(ヌー)という「私たち」に合わせて変化している形です。英語でいうところのweですね。
 これが先頭に出てますから命令形です。
 「食べよう」という感じでしょうか。近い日本語があまりないのですが、直訳すると「我々は食べろ」という感じでおかしなこととなります。「食べよう」くらいがちょうどいいと思います。


 tout de suite(トゥー ドゥ スイットゥ)は頻出ですね。
 「すぐに、ただちに」の意味です。
 ですから、まとめますと
 「それをすぐに食べよう」となります。

 ・ということで残りを見ていきますと、
 pendant qu'elle est encore fraîche!

 pendant que SV(ポンダン クー)は「SがVする間に」という意味です。
 elleは彼女ですが、ここでも桃です。
 encoreは出てますが、ここは省いて
 「elle est fraîche」でもできますから、encoreは副詞で省けることが分かります。
 で、fraîche(フレッシュ)はフレッシュです。
 この時点で「桃は新鮮な間に」もしくは「桃が新鮮な間に」だと把握しておくといいですね。

 encore(オンコール)は前も出ましたが、日本語の「アンコール」になってます。
 副詞で「まだ、今でも」とか「さらに、もっと」の意味です。
 ここではencoreいらないじゃん、となって省ける=副詞だと思っておくのが大切でしょう。

 ということでまとめますと、
 「まだ桃が新鮮な間に」という感じになりました。
 「間に」を「うちに」としてももう少しそれっぽい感じが出ますかね。
 「まだ桃が新鮮なうちに」という感じになります。
 「まだ桃が新鮮なうちに、すぐにそれを食べよう」という感じです。
 語順をそのままにしたければ、
 「すぐにそれを食べよう。まだ新鮮なうちに」ですかね。


 ということで➁全体をまとめます。
 ➁Lorsque sa femme lui montra la pêche,il fit des yeux ronds et dit:≪Comme elle est grosse! Mangeons-la tout de suite, pendant qu'elle est encore fraîche!≫
 「彼の妻(おばあさん)が彼に(おじいさんに)桃を用意した時に彼は(おじいさんは)両目を丸くして、言った。
 『なんと大きな桃じゃ!まだ桃が新鮮なうちに、すぐにそれを食べよう」』
 となりました。


 さて、①②を合わせて張ります。
 これがすんなりと分かれば今回のも大成功ですね。
 À la tombée de la nuit,le vieil homme rentra bien fatigué avec son fagot sur le dos.Lorsque sa femme lui montra la pêche,il fit des yeux ronds et dit:≪Comme elle est grosse! Mangeons-la tout de suite, pendant qu'elle est encore fraîche!≫






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