ということで今回も続きです。
范雎(はんしょ)の話は長いものが多いなという印象ですね。
「(今秦は華陽君がこれを用い、穣公がこれを用い、太后がこれを用い、そして王もまたこれを用いておられます。ひょうたんが器として合わないものであるならば何も問題はありませんが、器として十分であれば、国は必ずや割けることでしょう。この臣はこのように聞いております。実が多くなる木は枝が割け、枝が割けたものはその幹が割ける、と)
自分の所有地を大きくする者はその国を危うくし、臣の権勢が強くなればその主君を危うくすると。しかも今この国の中で、微禄の者より上で尉・内史(い・ないし。意訳すると大体武官と文官)から王の左右の側近に至るまで、相国(魏冄)の側の者でないものがおりましょうか。国に何事もなければそのままいきましょうが、一旦事が起こったならば、この臣は必ずや王が一人孤立して朝廷におられるのを見ることとなるでしょう。
この臣は密かに恐れております。万世経った後にこの国を保つ者は王の子孫では恐らくないであろうことを。
この臣はこのように聞いております。古代、政治をよく成す者はその威を内に向かってよく保持し、その権力は外に行使し、そうして治世は乱れず誰も逆らうこともなく、使者はその命をまっすぐに行い、敢えて非道をなすことがなかったと。
今、太后(や魏冄)からの使者が諸侯との盟約を破り、諸侯を分裂させて、己の符を天下に広め、大国の勢いを借りて、強兵を集め、諸侯を好き勝手に討伐し、戦って勝って攻めとればその利は皆ことごとく陶(とう、魏冄の土地)に帰し、金銭は皆太后のものとなり、秦の国境内の利益は分配されて華陽君のものとなっております。
いにしえのいわゆる主君を危うくし、国を亡ぼすの道は必ずやここから起こることとなるでしょう。三貴(太后、魏冄、華陽君)が国を枯渇させてそれでもって自らを潤しているのであります。このようであれば、どうして命令が王より出ることができましょうか。権力がどうして別れないことがありましょうか。これは王が三分の一になっている(太后、魏冄、王)のであります」
・特に何か書くことがもうありませんが(笑)、とにかくこのようにして王を懇々と説得したということですね。
この記事へのコメント