新戦国策秦4-5、冷向(れいきょう)が秦王に斉の味方をしつつ足を引っ張っていることを説明する話






 ということで前回は、魏の宰相であった孟嘗君(もうしょうくん)がなぜか秦の魏冄(ぎぜん)に対して、魏に斉を攻めさせろという話でした。しかも得た土地は全部秦にあげるとのこと。何を企んでいるのかわからなかったですね。


 秦の臣である冷向(れいきょう)が秦王に言った。
 「この向は斉の事情によって王に仕えたいと思っております。
 それゆえに斉を助けて宋を攻めているところであります。
 宋が破れれば晋が危うく(ここでは特に魏)、その場合魏の領地である安邑(あんゆう)は王のものとはならないでしょう。
 燕と趙は、斉と秦との同盟をこころよく思わないのであれば、必ずや土地を割譲してでも王との交際をしたいと思うでしょう。そうなりますと、斉の方でも秦が強くなることを憂えて王を重くみるようになるでしょう。
 つまり、この向が宋を攻めるのは斉を脅すことによって王を重くしようという狙いがあるのであります。なのにどうして王はこの向が宋を攻めるのをよく思っておられないのですか。この向は王が賢明であることを思って、申し上げるまでもなく知っているものとみなしておりました。
 それゆえ今まで言わなかったのであります」


 ・非常にややこしい話だな、という印象です。これだけいろいろな国があり、駆け引きがあり、関係があると何事も一筋縄ではいかなくなる。
 そういう感じで、この冷向(れいきょう)の言っていることも非常にややこしい。要するに秦将ですが斉に味方して宋を攻めている……というふりをしながらも、その実もしも宋が斉によって落とされると中原の韓や魏が斉に狙われることになりかねない。そうなると秦にとっては損失となりかねないので、そういうわけでやっていることは斉の味方でありながらも斉の邪魔をしている役回りだと。そうだとしても一応斉としては味方側になるので、そう邪険に扱うというわけにもいかない。味方でありながら足を引っ張り続けるという非常に厄介な立ち位置をやっているわけです。


 ・しかしはたから見ると「なんであいつは斉の味方をやっているんだ??」という風に見える。恐らく、この冷向もそうして讒言を受けたのでしょう。王はそういうわけで聞いてみたらこういう事情だったと。
 そして「王は何も言わなくてもおわかりだろうと思っていましたのに(全然わかってなかったんですね)」という言葉の通り、どうも秦王は舐められぎみなのかなと。他にも有力な人がいますから、別に王ひとりに基準を合わせなくても、いやむしろ有力かどうかという基準においてはものすごく立場が弱い方の人なわけですから、そこまで重視しなくてもいいという秦の内部事情が透けて見えるかのようです。






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