新戦国策秦3-4、ある人が魏冄(ぎぜん)に孟嘗君(もうしょうくん)と仲良くして張儀に対抗しなさいという話






 ということで前回は土地を楚にあげようとする張儀と、それをなんとしても止めようとする甘茂(かんも)の話でした。まあ張儀にも何らかの思惑はあったのかもしれませんが。


 ある人が魏のために、秦の宰相である魏冄(ぎぜん)に言った。
 「あなたは東方(山東の諸侯)の話を聞きましたか」
 「いえ、聞いていません」
 「秦の人である辛張・陽母澤(しんちょう、ようぼたく)という二人が魏王・薛公・公叔(薛公は孟嘗君、公叔は魏の宰相。公叔座かと思いきや、時代が違うのでそれはない)に説いて言ったそうです。

 『この臣が戦う時は先君の位牌を車に載せ、(国に先君の代理者であることを示すことで)王であることを示し、それによって後顧の憂いをなくすものです。もしもこれで敗れるようなことになれば、自ら首を刎ねましょう。
 しかしこの臣にはまだ憂いがあります。楚王がその領土をもって魏冄に依頼した(恐らく楚と秦とで魏を攻める依頼か)ということで、これによってこの臣は王の身に事が起ころうとしているのを考えます。これがこの臣の憂いとするところです

 今、貴公(魏冄)が楚に言えば、張澤(これは張儀の誤りであるよう)を禹(う、要するに最高の知者と言いたい。治水の神として知られる)たらしめるもので、一旦こうなりますと、かの者は貴公の名を貶めることに努めるでしょう。

 そこで貴公は一度秦に帰り、以下のようにするに越したことはありません。
 楚(注によると魏の誤り)に得なようにして、それによって薛公が貴公のためにいろいろ手を尽くしてくれることを見ます。そして斉・魏・韓の三国が秦に求めても得られないところを見て、そこで三国に合わさることを請いそれによって自らの信義を示し、張儀では薛公に勝つことはできないところを見たならば薛公に直接交渉し、自らの価値を重くすると」


 ・この話難しいですが、実際の魏冄(ぎぜん)はこうなります。
 「穣公(じょうこう)」とも呼ばれます。
 白起を使って各地をガンガン攻めて、自分の土地を一気に増やします。そして昭襄王(しょうじょうおう)の目の上のたんこぶとなり、「秦に王はいない」と言われたりすることになるのですが、しかし王の引退しろ勧告によって特に反逆するでもなく、素直に引退します。これによって秦の領土は大幅に拡大することになります。軍師としても将軍としても優れており、司馬遷はこの人を高く評価したということです。


 ・それを踏まえてみると、この話というのはその真逆をいくことを魏冄に勧めるというものです。
 斉や韓、魏にすり寄りなさい。そうして薛公を立てて頼りにしなさい。そうすれば各地の諸侯は貴公を敬うし、そうなれば張儀に対抗できるだけの価値をもてますよと。これはある意味で張儀の動きというのが各国に多大な影響を出しているし、それをあなたも快く思っていないでしょう? という思いが念頭にあるものだとみて間違いないでしょう。


 ・時系列的にどうなるかはわかりませんが、恐らくこれは魏冄が攻撃を開始する以前の話なのかなと思います。
 そしてこう勧められた魏冄は、張儀に対抗して自らの価値を増すのに、このある人の勧めには従わず、それどころか韓や魏など各国を攻撃し領土を奪うことによってそれをしたということなのだろうと。
 なのでこの人は各国との融和を勧めたのでしょうが、かえって魏冄は各国の領土を切り取って自らの価値を高めることを選んだ。また白起などの優秀な武将をこれによって見出すことにも成功した。こういうことに繋がったというのが思惑と真逆だったというのが皮肉だね、ということを言いたい文章なのかなと思います。







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