新戦国策2-7、田辛子(でんしんし)が秦王に予め張儀を入れないよう釘を刺しておく話






 ということで前回は、張儀が魏の味方をして勝っても負けても土地が手に入るという計算をするという話でした。


 田辛子(でんしんし、策士として有名)が陳軫(ちんしん)のために秦の恵王に言った。

 「この臣は、王が郭君(かくくん、郭という国の君主。正確には「虢」のかくではないかと思われる)のようになることを恐れております。

 晋の獻公(けんこう、獻は献の旧字)は郭を討とうとしておりましたが、郭にはまだ賢臣である舟之僑(しゅうしきょう)がいることを思ってはばかっておりました。
 そこで荀息(じゅんそく)は言いました。
 『「周書」にはこうあります。美女舌を破ると(正確には、美女の言葉は忠言に逆らい、用いなくさせる効果があると言っている)』
 そうして美女を贈り、郭の政治は乱れました。舟之僑は諫めましたが、聞かれないので国を去りました。

 また、虞(ぐ)を討とうとしましたが宮之奇(きゅうしき)がいることを思ってこれをはばかっていました。
 そこで荀息は言いました。
 『「周書」にはこうあります、美男は老を破ると(老人を破滅させる)』」
 そうして美男を贈り、宮之奇の讒言を王に告げさせました。宮之奇は諫言しましたが聞かれないまま死にました。そこで虞を攻めて取ったのです。

 今王は自ら王を称しておられます。
 王の国を害する国は楚です。
 楚の方では、横門君(おうもんくん、秦の将)が兵の扱いにうまいことを知り、陳軫が智謀に長けていることを知っております。そのために張儀の権威を重くし、五国(韓・魏・趙・燕・斉)の諸侯との話が張儀にいくようにしています。張儀がこの国に来たならば、必ずやその二人を悪しざまに言うことでしょう。どうか王におかれましては、その意見を聞きませんように」


 張儀は果たしてやって来た。
 そして様々なことを言ったのだが、その最初に言ったのは陳軫のことだった。
 王は怒って聞かなかった。


 ・ワクチン接種みたいな話でした(笑)
 先日も似たような話がありましたが、この時代遊説家みたいな人をどうにかしようと思えば、こうやってあらかじめこう話すだろうということを予測し、先手を打っておく必要があったのでしょう、その意味ではいかに縦横家を止めるかという方向性、危機感が発達した時代だったともいえると思います。
 しかしこの後張儀は秦の宰相として仕えるわけですから、どこまで効果があったかどうか。そして商鞅、蘇秦で懲りていた王も張儀には従ったということも重要でしょう。


 ・陳軫については過去けっこうたくさん書いています。張儀との絡みの多い人ですね。


 ・「虢(かく)」という国に関しては先ほど書きましたが、虢が晋に滅ぼされる様子というのは「仮道抜虢」という言葉になっております。三十六計の24計目に出ていますね。
 ちょっと道を貸してくれよといいつつ、道を拡張し攻め滅ぼしやすくする。こういうケースは現代でもまだまだ通用する手法でしょう。目的のためにはまず道をという。道の前にはもっと気軽に声を掛けられるものを選んでいるかもしれません。こうして目的を達成するために徐々に詰めるというのは、ある意味結婚詐欺とかの定石かもしれません(笑)






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