新戦国策2-5、楚の景鯉(けいり)が秦王と周最によって一命を救われる話






 ということで前回は魏が土地をくれないという状況だったわけですが、管淺(かんせん)が楚に働きかけては、と言って解決してしまうという話でした。魏としては楚と秦とが関係を持っては困るということだったのに、よく秦に土地を与える約束を破る気になったなと(笑)


 楚の使者である景鯉(けいり)は秦にいて、秦王に従い、国境で魏王と会った。楚王はこれに激怒した(注によると、勝手に他国の王との会合に参加していること、楚と斉とはこの時同盟国だが斉に秦魏との関係に密約をもたれかねないなどの事情がある)。

 秦では周最(しゅうしゅ)を楚に送って言った。
 「魏は楚と同盟しようというつもりはなく、斉(原文では秦となっているが、注では斉の誤りだと訂正してある)と同盟しようとしております。
 こういうわけで、魏が斉をして楚を疎外しつつ、秦魏斉の間で密約を結ぼうということを知ったため、裏をかくためにわざわざ景鯉は会合に参加したのであります。我が国としてはその出席を最もなことだとして厚く待遇しております。楚の使者が参加しており、秦がその使者を厚遇しているのを見て斉では秦楚の間に密約があることを疑い、そのため斉では魏の勧めに従って秦とは連合しないことを決めたのであります」

 楚王はこれを聞いて景鯉を罪としないだけでなく、周秦に感謝した(注によるとこれは周最の誤りか、あるいは周には意味がなく、秦に感謝したと言いたいのか)。


 ・景鯉(けいり)はどこかで出てたなと思ってましたが、いました。
 戦国策61
 頃襄王(けいじょうおう)のくだりで出てきています。そうなると、恐らくこの時というのは楚王が頃襄王の可能性が高いとは思いますが、そうなると秦の恵文王(そもそもこのくだりは恵文王のくだりなわけですから)とは時代がずれています。張儀の外交政策で楚を欺いて楚と秦とが戦った後に頃襄王となっていて、楚の国力は大きく衰えた、という流れですからそれを思えば楚は先代の懐王である可能性もあるかもしれません。
 この頃襄王のくだりで秦に行ったという可能性はありますが、そもそもその前からよく秦に行っていたがためにその流れでまた行ったという可能性もありますから、まあ断定はできません。とりあえず、頃襄王のくだりで景鯉が秦に行った後の話、と考えると恵文王とは時代が大きくずれるなということです。


 ・かなり異色な話のような気がします。個人をなんとかして助けようという流れがなかなかないなと。この場合は景鯉がいなくなってしまうとか、処刑は免れたにしろ失脚しかねない、そうなると秦としては困るという事情があったのではと思います。この周最の話はどこまでが本当かはわかりませんが、秦王と一緒に魏王との会合に出かけるということが扱いが異常だなと。秦王に気に入られていたのかなと察せられます。まあ楚王としてはオレを差し置いて、となりますから、面子を潰されたと考えそうな流れです。あたは誰かがそれを王に告げるかもしれません。
 そこをきちんと押さえてないのは景鯉に甘さがあるようにも思えます。


 ・どこまでが景鯉の計算か、あるいはそもそも計算に入ってないことなのかわかりませんが、こういう助かり方もあるということが重要でしょう。景鯉その人には窮地に陥った自分を救う能力はないかもしれませんが、秦王、そして周最(しゅうしゅ)という伝手によってこの話は沈静化します。そして裏切るとか悪だくみとかではなく、きちんとした役割を果たしていたことが示された。これによって景鯉は罰されるどころか、逆に褒められることとなります。
 伝手によってはこういう事態の推移をすることもあるということですね。
 人脈がむやみやたらと大切というつもりはないですが、こういう推移をすることもあるということ。それが重要ではと思います。人脈さえあれば大丈夫と言っていると前の話の魏王みたいなことをやらかしてしまう気もしますが、人脈がもしかしたら身を救うこともあると考えているとこの話のように推移することもある……そういう一例かもしれません。






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