新戦国策1-17、昭翦(しょうせん)が気づけば死地にいたという話






 ということで前回は、昌他(しょうた)という人物が西周を逃げて東周に行って機密をばらしまくってたわけですが、この人を東周に始末させようということで西周の馮雎(ふうしょ)という人が手を打つという話でした。確かに始末することは重要なんですけど、バラした情報にも意味がないようにもっていくというのがミソですね。


 昭翦(しょうせん)は楚の相(しょう、宰相などの相。大臣くらいの意味で大丈夫か)であったが東周と仲が悪かった。ある人が昭翦に言った。
 「貴公のためにある陰計をお聞かせしましょう」
 「それはどのようなものか」
 「西周が東周を憎むことは非常に強く、常に東周と楚が仲が悪いことを願っております。そこで、西周の方では必ずや賊を雇って貴公を暗殺し、これは東周の仕業だと宣言して、楚王に東周を嫌うようにもっていくことでしょう」

 これを聞いて昭翦は言った。
 「よくわかった。
 私は東周がまた私を暗殺して、これによって西周を軽く扱わせ、楚王に西周へ悪い印象を持たせようとする事態を恐れる」
 こうして東周と和解したのである。


 ・この昭翦(しょうせん)という人が、自分は東周にとっても西周にとっても、楚王に相手の国を嫌ってもらうためのダシでしかないと俯瞰して見れているのが非常に素晴らしいなと。頭が非常にいい人のようで、半分聞いてもう半分をわかってしまうというのが素晴らしいですね。東周と自分が仲が決して良くない事、そして東周の方からそれをされてはたまらないことをさっとわかってしまう。
 そしてこのある人というのが東周のためには昭翦と仲良くしておいてもらいたいと思っていることもわかります。その目的のためにはこういう話し方をする必要があったということですね。


 ・事実である範囲は、東周と昭翦が仲が悪かった、それが話を聞いて仲良くなったというところですが。敢えて事実でない範囲として、つまりはフィクションに乗っかる形で、このある人からの昭翦への話を考えてみるとそれはそれで非常に含蓄に富んでいるなと思います。死んでもらうと非常に都合のいい人物、あるいは境遇というものがあるというのがわかります。西周からすれば楚と東周の仲を悪くするためには非常に都合がいい。東周からしても、これによって西周と楚が仲が悪くなると都合がいい。まして東周からすれば別に仲が良くなく、代わりが来てもらえば尚更都合がいいともいえるでしょう。


 ・これというのは「地の利」の話にも通じるところがあると言えます。
 高地は馬謖(ばしょく)を引用するまでもないですが、攻めるのに勢いが乗り「勢い破竹の如し」と考えましたが実際は包囲され水を絶たれるとどうしようもありません。あるいは火攻めでも火は高いところに上りますから、不利だと言えます。逆に低地はどうかと言えば、大雨が降り水がなだれ込んでくればひとたまりもありません。そういう土地の有利不利、あるいは特色、そういうものはあると言えます。
 そういう意味で、昭翦のいた場所はただ単に東周と仲が悪いだけで別になんら不具合はなかったでしょうが、ところが視点を少し変えてみると非常に危ういと。言ってみれば高地とか低地であるような「死地」であることを発見した。死地の発見、こういうことが非常に大切なことではないだろうかと思います。それがわからなかったものがはっきりと、具体的な形でわかるようになる。危機感を持たせ、一刻も早く何とかしようと思わせる。つまり危険性の認識と改善の方向性、その両方を一挙に獲得することができるというわけです。


 特にこの場所というのは昭翦にとっては死んでもらった方が誰にとっても都合がいいというような性質のものですから、じゃあそういう境遇から一刻も早く脱しようと思い、それが具体的には東周と仲良くすることだったわけです。こういう形の経験をさせることができたある人もすごいですが、こういう経験ができた昭翦も非常にいい経験をできたのではないかなと。そのくらい非常に勉強になる話だなという印象です。




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