新戦国策1-7、史黶(しえん)が周君に韓から土地をもらって急場をしのごうという話






 ということで前回は、周の相国が楚への挨拶に行きたくないと。そこで楚厲(それい)という人がやってきて周君に行かないで済むように説得するという話でした。


 秦が道を周に借りて韓を討とうとした。
 周は、もし道を貸せば韓に憎まれるし、貸さなければ秦に憎まれることになることを恐れた。史黶(しえん、黶は厭世の厭に黒)は周君に言った。
 「周君はどうして韓の相国である公叔(こうしゅく)に言わないのですか。
 『秦が敢えて他人の土地を横切ってまで韓を討とうとするのは、周を信じていればこそであります。貴公はどうして周に土地を与えて使いを楚に行かせようとなさらないのですか。秦はこれによって必ずや周を疑う事間違いありません。これによって韓は秦に討たれることはなくなります』と。
 そして秦王に言いましょう。
 『韓は強引に周に土地を与えて、それでもって周を疑わせるように持っていこうとしております。私はそれが計略であることは知っておりますが、敢えてそれに乗っているかのように見せかけるためには受けないわけにはいかないと思っております』と。

 秦の方では土地を受け取ってはならんという理由も特にはありません。これによって地を韓に得て、秦にそのことを承認させることができるでしょう」


 ・確かに急場をしのぐ意味では素晴らしい話でしょう。状況をよくわかっており、その状況の中で辛くも絞り出した、ある意味では芸術的な一手だと言えます。
 しかしそうにもかかわらずこれは下策だと言えます。


 根本的に秦は圧倒的に強いということと、そういう状況を根本的に覆せない、解決できない意味ではちょっとパンチが弱い。そして何より、韓がすべての張本人ですよともっていきつつ、秦に土地をもらうことを承認させる。確かにそれで両国がにらみ合って(というより秦に韓が一方的に恨まれる)くれていれば、周としては安泰です。しかしこの工作がバレた時はもちろんヤバいですが。万が一そうならなかったにしても、韓が滅ぼされたのちにはもうこう言い訳できる相手もいなくなるわけですから、かなり苦しい策だと言えます。そういう意味では、これ本当にいい作戦なのかなと。確かにパッと見ると、韓から土地ももらってますし、結果的には素晴らしく見えますが。そう見えながらもその実は下策だなと思います。そういう急場をしのぐために仕方なくやる以外の手はないでしょうね。応用を利かせにくいと思います。
 「策士策に溺れる」と言いますが、仕方ないとはいえそのギリギリをやっているような手ですね(笑)





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