新戦国策2-18、宮他(きゅうた)がいざという時に備えて趙と同盟組むべきだという話






 ということで今回で西周編は最終回です。次回からは東周編になりますので。
 前回は周最(しゅうしゅ)が秦王に周は攻めない方がいいんじゃないすかねーと言うという話でした。


 宮他(きゅうた)は周君に言った。
 「宛(えん)は秦を頼みにしており、晋(しん)を軽んじておりましたゆえに、秦に飢饉が起きた時に晋は宛を滅ぼしました。鄭(てい)は魏を頼みとしておりましたが、韓を軽く見ていたために、魏が蔡(さい)を攻めていた時に韓は鄭を滅ぼしました。邾・莒(しゅ、きょ)は斉に滅ぼされ、陳・蔡(ちん、さい)は楚に滅ぼされました。これというのも皆自分にとっての友好国を頼みにして、近隣の国を軽視していたことによるものです。
 今わが君は韓と魏を頼みとして、秦を軽視しておられます。したがってこの国は恐らくいずれ破られるでしょう。周最(しゅうしゅ)に密かに趙と同盟させ、それによって秦に備えるに越したことはありません。そうすれば破られることはないでしょう」


 ・宛・鄭・邾・莒・陳・蔡(えん、てい、しゅ、きょ、ちん、さい)と国の名前がたくさん出て来たので、この国の位置関係を見ていきたいと思います。
 ウィキペディアの春秋時代の地図ですね。

 宛は地図に出てないですが、鄭・陳・蔡のあたりに「宛丘」とありますからこのあたりですね。
 鄭は中央のところにありますね。「許」とあるあたりです。
 邾・莒は斉に滅ぼされたということで、東を見ていくと、斉の真下に莒があります。邾はその西の魯にありますね。
 陳・蔡は楚に滅ぼされたということで、南を見ていくと楚の北の方に陳・蔡があります。





 ついでに、「晋」というとこの地図にも晋はあるにはあるんですが、「三晋」というと韓・魏・趙のことを表すのでまあ大体この三か国が関わっているんだろうなと。このうち趙は北方なので直接かかわったのは韓と魏ということになりそうです。
 地図と国名はここでおしまい。


 ・重要なのは、滅んだ国には共通点があるんだと。
 強い友好国があった、それを頼みとしていたことが滅ぶ原因となったのだと宮他(きゅうた)は説きます。
 宛(えん)は秦さえいれば他はいらないと思っていた。そうしたら秦に飢饉が起こり、宛どころではなくなった。確かに秦は最強の国かも知れませんが、動けないならどうしようもありません。晋に、というより韓と魏によって滅ぼされたのでしょう。

 鄭(てい)もそうで、魏が友好的なんだから魏さえいればいいんだと思っていたら、魏が蔡を攻めて留守になった隙に攻め滅ぼされることになったと。
 飢饉が起きた、戦争することになった。そうしたちょっとした用事が入ればあっさり隙ができて滅ぼされることになるんだと。このことが意味することはいろいろあります。

 一つだけを頼りとするのではなくいろいろ頼りにしろということですし、みんなと仲良くやっておけということです、そうすれば攻め入らせる隙を作らせない。自分が窮地に陥った時に隙を狙ってくるとか、追い打ちをかけてくるというような事態にならないで済む。仲良くやるということはその意味で自分の首を刈り取らせない性質があると言えます。さらには、いざという時には助けてくれるものでもある。マイナスを消し、プラスを増す、そうなるとこれはつまりかなり直接的な実利の意味合いが強いものです。「友達100人できるかな」というのはなかなかバカにならないってことですね。


 「狡兎三窟」(こうとさんくつ)と言いますが、「賢いウサギは逃げる穴を三つ持っておく」という意味です。まさにこれですね。穴が一つしかないといざという時にそこがダメだと詰んでしまう。宛も鄭もそうして滅びました、だからこそ三つ持とうというこの方向性がいかに重要かということを説いているものだと言えるでしょう。そうでないにも関わらず、一つそういうものがあれば安心してしまうというケースがいかに多いか。
 その意味では、味方がちゃんと味方してくれないケースというのは敵の勢いを止めることができないわけですから。こっちは安心していますから、敵がいきなり襲い掛かってやってくる以上にたちの悪いものだと言えます。ある意味では真の敵は味方だともいえるでしょう。つまり、もっと言えば「不安」ということは安心していられないということで「大丈夫かな……」と気にかけます。そうなればいざという時にも動けるわけだからいいんですが、「安心」ということは「大丈夫だ」とみなしていたらその期待を裏切られるわけですから、かなりたちが悪い。信用とか信頼ということを裏切って事態が起きるわけですから痛手が大きい。そういう意味での「安心というのは不安よりも厄介だ」というのもここでの教訓のひとつになるのではないかと思います。



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