新戦国策2-13、ある人が周君に入れ知恵して吾得(ごとく)をはめる話






 昨日は野暮用が入ったので書けませんでした。
 ということで続きですね。
 前回は蘇厲(それい)という人が周君に入れ知恵して、それを白起に直接か間接的にか言ったらしいですが、その結果白起は病気と称して出仕を止めたと。そういうくだりでした。


 楚の兵士が周の山南(さんなんという地だと思われる)の地にいた。楚将である吾得(ごとく)は楚王のために、怒って周を攻めようとしていた。
 ある人が周君に言った。
 「そうするまでには及びません(省かれているが、周君自ら謝罪とか弁明に行こうというくだりを受けてのものか)。太子に軍吏を任せて吾得将軍を国境まで迎えさせ、そうして君自ら郊外に行き彼を迎え、天下に君の吾得将軍を重んずることを知らしめ、以下のことを楚に漏らして伝えるようになさい。
 『周君が吾得将軍にあそこまで丁重に仕える理由とは、器にあるらしい、その器とは「謀楚」というらしいぞ』と。楚王は必ずやこれを求めることでしょう。(そのような器はないわけで)吾得には何もできることがない以上、楚王は吾得を処刑するでしょう」


 ・大変短い文章ですが。
 注には、「周君が吾得に器を上げたらしい、それというのは謀楚というものだった」というようにありました。で、そのような器は元からないわけで、何も出せない吾得は処刑されるでしょうとあったのですが、ちょっと違和感があったんですよね。
 その注に従うと周君が首謀者となり、「謀楚」ということで吾得とグルになろうと考えると悪いのは周君じゃないかとなります。そうなると楚からすれば周君は悪いとなり、攻められても違和感がないという。悪いのはその場合周君ですから。で、その「器」をもって帰った吾得の手元には一応それがあるということになるけど、それはないと。


 戦国策に、こんなわざわざ「周君は悪いね」と相手にわざわざ付け込まれるような尾を残してやるような真似するだろうかという違和感があります。確かに吾得は処刑されるかもしれませんし、そこまでいかなかったにしろ内応したということで信用を失う、失脚するということはあるかもしれませんが、でもそんな下手くそな真似わざわざするとは考えられないんですよね。


 それに、細かいこと言えば周君が吾得に丁重にする理由が「謀楚」という器である、というくだりも何か違和感がある。
 普通周君が「器を吾得にあげる」のであれば、丁重にするのは吾得の側では? という感じがあります。周君が丁重にするから、その代わりとして吾得が「謀楚」という器を渡したらしい、これは楚の内情という比喩かもしれませんが、そういう流れなら違和感がないですが
 それとも、周君が丁重に扱うかつ器を渡す=密会したということの比喩だとこの事態を読んでいくべきか……まあなんにせよ次から次へと違和感が出て、なんかしっくりきません。本気で言ってるのであれば下策では? という感じですし。周っていう高尚であるべき国がなんか後ろ暗いやましいことしてる感じを与えるだけでも、いいこと何もない気がします。


 ・直接関係ないですが、この後秦が統一した後に再び乱世となり、項羽(こうう)という武将のもとに范増(はんぞう)という軍師がいました。

 范増
 この人は最終的に陳平(ちんぺい)という人にハメられます。
 項羽からの使者が劉邦のもとに行きますが、豪華な食事が出ます。
 そして話を聞いていると「私は范増からの使者かと思ったぞ」といって劉邦はいなくなり、食事も粗末なものになったと。これを使者が報告して、項羽は信頼してきた范増を疑い、疑われた范増は出仕を辞めて帰ることになります。まあ陳平の相手をはめる策略ですね。まあやってることはえげつないですけど(笑)、策略としては非常にうまいですね。知恵袋の范増を項羽から引きはがすと。これと比べるとどうも印象が劣るなあという感想だけ書いて終わることとします。



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