新戦国策2-8、樊餘(はんよ)が不利益を楚に説いて土地の交換をやめさせる話






 前回は西周が魏に話しかけて、出費を抑えるという話でした。


 韓と魏が領地を交換した。西周ではこれを自分にとって都合が悪いと思った。樊餘(はんよ)は楚王に言った。
 「これによって周は必ずや滅び去ることとなるでしょう。韓と魏とが土地を交換しましたが、これによって韓は二県を手に入れ、魏は二県を失いました。なぜ魏にとって不利益なのにこのようなことになったかと言えば、東周・西周の全周を手に入れれば二県以上の土地が手に入ることとなり、周の宝とも言える九鼎(きゅうてい)を手に入れることができるようになるためです。
 しかも魏では南陽・鄭地、三川を持っておりこの上さらに二周も兼ねることとなれば楚の方城(ほうじょう、山の名前であり、最終的に逃げ込む意味)以外の土地は危うくなります。さらに韓は両上黨(上党、じょうとう。黨は党の旧字)を手に入れまして、これをもって趙に臨むこととなりましょうから、趙の洋腸(羊の腸のように入り組んだ趙の要塞のこと)までは危ういこととなりましょう。それゆえ、かの交易が成立した日には楚趙は共に権威を失うこととなるでしょう」
 これを聞いた楚王はこれを恐れて、趙に話し込んで、それによって交易をやめさせたのである。


 ・表向きには楚と趙とが危機ですよという話ですが、実際にはこの樊餘(はんよ)は明らかに西周の臣下でしょうから、西周の危機をなんとかしたいということでやってきたのでしょう。ですから樊餘の言うところの西周を併吞しようとする魏の意思というのは確かにあるのでしょう。そこから先、趙や楚が危うくなるということはどこまで正しいかはわかりません。というより正しかろうと正しくなかろうと、樊餘と西周にとってはどうでもいいことなのでしょう。
 地味に「楚王」とありますが、前回前々回あたりでは楚王は懐王であり、懐王は秦に捕らえられたまま死んだ経緯を踏まえると懐王ではなさそうです。その後の頃襄王(けいじょうおう)かもしれませんが、頃襄王は名臣がいるので相談できることを考えると、あるいはその後の王である孝烈王(こうれつおう)かもしれません。そのくらいで周は滅んでいますので、その前になるでしょうがはっきりしたことはわかりません。あるいは一気に戻ってその前の王の話をしているのかもしれませんし。


 ・それにしても西周には口の立つ臣下が多いなという印象ですが、同時に楚は大国のはずなのに他に相談する臣下がいないのかという印象も受けます。そういえば楚に名宰相(正しくは令伊、れいいん)がいた時にも、魏からのスパイだったかがやって来た話があったのですが、その話でも宰相は全然出てこなくて一方的にしゃべるスパイとそれを聞く王という感じだったことを思い出しました。で、宰相の悪い印象だけ積み重なっていくと。「虎の威を借る狐」の原型となった話だったように思います。
 これですね。
 戦国策87、昭奚恤は虎の威を借る狐なんだと江一が王に説く話



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