続としてるけど、掃除をする理由自体は前回でおしまいになる。
すなわち、弓が先、騎馬隊が後というような合理的でない配置を改善することで騎馬隊が先、弓が後ろから援護射撃をするような配置を現実のものとすることが理由なのだと。それによって騎馬隊からは不満が上がるかもしれない。弓のヤツラじゃなくてオレたちに先に死ねってのかと。あいつらは後ろでぬくぬくとしてて危なくないところから弓撃って功績も稼ぐつもりなのかよと。
彼らの言い分にはそれなりの合理性はある。とはいえ、その局所的なところからの言い分だけを聞いていては勝てる戦も勝てなくなってしまう。そもそも弓をもって先陣を切るというところには全く合理性はない。大局的な見地からすれば勝てることが第一、被害を最小化することが第二、功績云々は第三以下になりさがってしまうに違いない。
孫子の兵法も戦闘当たりの味方の被害を最小化することによって強さを保つ、その強さがあるがために相手を降伏させる、つまり相手の戦力をそのまま併呑することが可能になると言っている。「戦わずして勝つ」というのは単純に戦わないで勝つとか計略を駆使する、というよりはこちらの思惑の方を含んでいるように思われる。戦って損害を極限まで減らしていけば、強さを維持できる、その強さがあるからこそ屈服させ、降伏させられる場面も増えてくるというもの。被害や損害が大きくてはそうしたことに繋げていくことがそもそもできなくなってしまうのだ。
・ところでこの社会ってのは答えにすら「多様性」を求めてくる。
AといえばB、BといえばC、こうして答えは延々と先延ばしされていくわけだが、そもそもAという前提なくしてはBもCも成り立たない。そういう場合というのはあるものだ。だから実際には求められているのは多様性ではなく段階的な性質なのだが、それを多様性だと偽っている場合があるものだ。そしてなぜそんなにややこしくされているかといえば、答えが単純だと困るからである。それこそ「A」という答えを出していたら、弓隊に全功績をかっさらわれてしまうかもしれない。だから騎馬隊としてはやはり弓兵に死んでもらわないと困る。どうしても騎馬隊の尊厳にかかわるがために、弓隊には突っ込んで死んでもらうというアホな態度をとってもらわなくてはならないのだ。例えていえばそういう感じになる。
偉大なる指揮官というのが往々にして大局的な見地を持つこと(まあそりゃ普通そうなんだけど)ってのはあるんだけど、そこらへんの事情によくよく精通していないと一度勝った先でいざこざが発生し、やはりどうしても次回、あるいは次回までに弓隊に死んでもらわないといけなくなる羽目に陥る。恩賞とか裁量と言うのはそこら辺の事情を指している。恩賞必罰というが、単純に功績の多かった弓兵を持ち上げて功績もない上に損害も大きい騎馬隊をないがしろにしていると、次の戦いまでもつことなく内輪もめで組織は崩れてしまうだろう。この答えというのは多様性ではなく、みんな違ってみんないいでもなく、最も最適なものが段階的な、そしてより適切な深さを読み切ったところに導き出されるべきなのは言うまでもない。
・あくまでオマケ的な挿話的な感じで言うならば、掃除ってのはきちんと弓は後ろ騎馬は前を実現することだと以前に書いた。
それとまったく同じ理屈で、はさみはここ、のりはここ、鉛筆はここ、赤ペンはここと必要なタイミングで必要なものを取り出すということが掃除であり整理整頓の極意であるといえる。ごちゃごちゃしていて必要なタイミングで必要なものが取り出せない。あるいは取り出すタイミングでその求めているものがない。
その結果チャンスを逃す。当然得られるはずだった結果を逃す。
あるいは当然受けないはずだった損害を受けてしまう。あるいはその損害をさらに深めてしまう。
得られるはずだったプラスを減らし、マイナスにしてしまう。
防げるはずだったマイナスを防げなくなり、さらに甚大な被害を被ってしまう。
そのいずれにせよ、結果はマイナスへと繋がってしまう。
そういう事態を避けるのが重要だということだ。
前に出すべき騎馬隊がいないので仕方なく弓兵で代用するとか、騎馬隊はいるけど後方に弓兵がいはするけど矢がほとんどないとか。矢はあるけど食糧庫で米と混ざってますとか。
そういう事態をなくすために必要なのが掃除であり整理整頓だと考えるのだ。シンプルな話でわざわざ書くような話でもなくなっているような気もするけど。つまりは掃除ということから派生して、本来得られるべきプラスをじゃあ最大限いかに受けるべきか、あるいは本来被る必要のない損害をいかに最大限減らせるか。そういう概念へと繋がっていくと言えるだろう。
この記事へのコメント
y=k
ちょうどこの土日に大掃除してたので、ぴったりの内容でした。
先週、図書館へ返す本を部屋で失くして探し回って泣きそうになった私には参考になります、最終的には見つかりましたが、探す手間というマイナスは大きかったです。
日常に役立つ兵法の話はとても参考になります。
これからも楽しみにしてます。
きんた
人が探し物をする時間って人生で合わせるとかなり相当の時間になるようですよ。
となると探し物をしなくていい時間を確保していく、ということを意識して積み重ねるようにしていくことが大切なのかもなあと思ってます。わたしもですけど、結局手間暇とかなりの労力を探し物に使ってしまうんですよね。ならば探し物しないでいいようにしておく工夫は人生において積み重ねていくとかなり生きることになるのかなと思われます。
掃除や整理整頓ってかなり後ろ向きな努力、前向きじゃない努力って面がありますが、でも意外とそうではない。バネが伸びる前に縮こまるように、それなくしては飛躍できないという、人の真価を伸ばすため必要な後ろ向きって面があるように思いますね。
図書館の本は見つかりましたか?何か参考になるようなものが一つでもあれば幸いなんですが笑(^^;)
> y=kさん
>
> こんばんは。
>
> ちょうどこの土日に大掃除してたので、ぴったりの内容でした。
>
> 先週、図書館へ返す本を部屋で失くして探し回って泣きそうになった私には参考になります、最終的には見つかりましたが、探す手間というマイナスは大きかったです。
>
> 日常に役立つ兵法の話はとても参考になります。
>
> これからも楽しみにしてます。
>
>
きんた
> きんたさん
>
> おおーどうも!わたしも年末大掃除に向けてボチボチって感じです。
> 人が探し物をする時間って人生で合わせるとかなり相当の時間になるようですよ。
> となると探し物をしなくていい時間を確保していく、ということを意識して積み重ねるようにしていくことが大切なのかもなあと思ってます。わたしもですけど、結局手間暇とかなりの労力を探し物に使ってしまうんですよね。ならば探し物しないでいいようにしておく工夫は人生において積み重ねていくとかなり生きることになるのかなと思われます。
>
> 掃除や整理整頓ってかなり後ろ向きな努力、前向きじゃない努力って面がありますが、でも意外とそうではない。バネが伸びる前に縮こまるように、それなくしては飛躍できないという、人の真価を伸ばすため必要な後ろ向きって面があるように思いますね。
>
> 図書館の本は見つかりましたか?何か参考になるようなものが一つでもあれば幸いなんですが笑(^^;)
>
>
>
>
> > y=kさん
> >
> > こんばんは。
> >
> > ちょうどこの土日に大掃除してたので、ぴったりの内容でした。
> >
> > 先週、図書館へ返す本を部屋で失くして探し回って泣きそうになった私には参考になります、最終的には見つかりましたが、探す手間というマイナスは大きかったです。
> >
> > 日常に役立つ兵法の話はとても参考になります。
> >
> > これからも楽しみにしてます。
> >
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y=k
探し物に費やす時間、確かに人生単位だとかなりの時間ですね。