レオンとNo Roots




 前回からコピペ。



 きわめて短いし難しくもないところですが、内容は結構重いですね。
 
 M:
 大事なの?
 L:
 最高の友さ
 無口だからいい
 俺と同じで……
 根がない
 寂しげに笑うレオン
 M:
 大地に植えれば根を張るわ
 L:
 M:
 私もその鉢植えと同じね
 L:
 そうさ
 霧吹きを手にマチルダを襲うレオン、笑いながら逃げるマチルダ



 ①根が無いということは、世界から守られていることと同時に世界から拒絶されているという相互不干渉状態であり、それでも生きていけるのだと。こちらは植木鉢によって守られており、これ以上成長もしなければ別に伸長もしない。とはいえそれは寂しい。寂しいけどでもヘタなことをすればマイナスな影響を受けるのはこちらかもしれない。
 ②植物への認識は世界への認識であり、それは同時にレオンの概念であり世界観でもある。そうしたものを表している。
 ③「そうしていなければそうはならなかった」というそれはつまりレオンにとっての根であり、伸長であり、そして後悔でもある。
 もしもそうしていなかったならば、今頃は違った未来があったに違いない。違った未来が開けていたに違いない。そうした未来を潰したのはこのオレだ、オレがもしも違った行動をとっていたならば、未来は、そして世界は違っていたはず。その別の世界であり、可能性というものを感じている。そして自らが関わること、そこにある影響であり何らかの作用が起こることを恐れている。でもそれをすべて遮断すれば、その可能性を危惧する必要はなくなる。
 ④植物の解放。つまり「オレと同じ根無しさ」と言ってはいるけど植物には根がしっかりとあるわけであって別に根がないわけではない。ないのではなく、レオンがないものだとみなしている証拠。あるべき場所に配置してやればきちんと根は出せる、そのあるべき力は発揮され根は伸長し、そして植物は成長するだろう。その可能性を敢えて閉ざし、成長を喜ばないのはレオンだけ。「オレと同じ」と言いたい、共通点のある友達なんだと言いたい、でも植物の方には根はある、一方その力がないのは、奪われているのは、そして奪われているのにも関わらず「根無し」だと言っているのはレオンだけ。
 ⑤植物のことを本当に大切に思っており、慈しんでいるのであればそいつを植えて成長し、大きくなり、繁栄し花を咲かせ実をつけることを一番喜んでやれるのはその一番の友人であるはず。ところがレオンはそれを拒絶させ、植物を「同じ共通点のある友人」に仕立て上げている。大切なのはその「真の友人」の方ではなく、それによって慰められている自分の方であり、その概念によって救われている自分だけ。かわいいのは友人の方ではなく自分の方。ベクトルの向きは相手ではなく自分の方。
 ⑥では植物を植えるとして、そのことは正論ではあるにせよ恐らくレオンに凄まじい孤独をもたらす。知ってはいたけど、でも知りたくないという領域の話。でもそうではない、そのことは孤独をもたらすが概念的にはレオンを救うことでもある。手放した、確かに孤独になった。でもその友人はレオンとの過去があった、そいつが幸せになった、良かった。大きくなり、成長していく。それは恐らくレオンを直接的には無理だとしても、間接的に救う。それがレオンの世界と概念を豊かにする。
 ⑦それによって何よりレオンがその概念から解放される。根無しでなくてはならないレオンだったが、その根無し状態は一体誰が望んだことだったろうか。閉じこもり、誰とも一切関わることがない。成長もしない、繁栄もしない。まるで植木鉢というゆりかごに守られているかのように世界を拒絶し、遮断して生きていくレオン。その殻を破壊しなくてはならない。
 ⑧こうしてレオンは自らの概念との戦いを強いられることになる。殻であり、ゆりかごであるところの植木鉢からの脱却を図らなくてはならない。
 ⑨ところがレオンはこの殻を打ち破ることができない。
 なぜか。
 その先にある絶望と苦しみ、そして憤りと憎悪に満ちた世界を知っているからだ。そしてその先の何も残らなかった世界。一度経験したその世界をもう二度と味わいたくない思いがレオンをそうはさせない。知り抜いたその地獄に敢えて戻らなくてはならないかのようなその境遇を受け入れることはレオンにはできない。
 ⑩最終的に植物はスペンサー学園の校庭にマチルダによって植えられる。
 これによって大地と植物とは繋がった。これは植木鉢からの脱却であり同時にレオンの進むべき方向性を示していた。レオンの友人もそうして進むことができたのだから、それを道しるべとして進めばいい。レオンは「水やり」を植物とそして「マチルダに対してやっていた。そして成長したそれらが今度はレオンを導くべき番となった。殻はもう必要ない、植木鉢はもういらない、それなしで生きていい。
 配置には意味がある。
 しかしレオンはもういない。
 もういないけど、しかしそこに配置はある。その配置というのは決して無意味なものではない、確かに意味はある、しかしそれを知るべき人間がもうおらず、誰にもその意味は理解されることはない。







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