ということで久々の投稿な気もしますが、今日も甘いものやっていこうと思います。
これおもろいなと思ったんですけど、明日でいったんラストとしまして(笑)、次回は未定ということでやっていこうかなと(笑)
理由としましては健康云々とかじゃなくて、ちょっとしばらく甘いものはこりごりという感じですかね(笑)
ラストの前は大ボスが出るものですが、今回は苺のショートケーキですね。
YAMAZAKI 苺のショートケーキ
しかしまあ、ドラえもんとかでもケーキって勉強のお供って感じで出てきますけど、まさかケーキを勉強するために食べるなんて日が来るとは思わなかった(笑)
本末転倒ってヤツだろうか(笑)
サボってる時とかに知人に会って何してんだと言われて
「あ、社会見学っす、はい」
とかいう感じによく似てますね(笑)
さて。
「苺コンフィチュールをサンドしました。」
ってさらっと書いてありますが、コンフィチュールとはなんぞや。
コンフィチュール
「コンフィチュール(confiture)とは、本来フランス語でジャムを表す言葉。つまり、ジャムと同じものです。」
フランス語だったのか(笑)
知らなかった(笑)
「ジャム」って言うとあーあれかとなりますけど、コンフィチュールと聞くとジャムではない別の何物かって感じが濃厚にしますけど、なんかこういうの多々ありますよね。
しかしこういうところで一枚皮を厚めに敷くような意図があるもので、実際も素晴らしいものってのはそうそう見かけないような気がします(笑)
あの赤いヤツがいわゆるそのコンフィチュールってヤツなんでしょう。
・しかし苺にしろその他にしろむずかしいですよね。
基本的にメインはイチゴじゃないですか。でもその他も甘いわけで、そうなるとではいかにイチゴを引き立たせるかということが常に問われることになる。
これによく似たのが、例えば日の丸弁当ですよね。梅干しが中央にあって、その他が白飯とか、あと漬け物がついてたりしますけど、これは簡単なんです。梅干しをおかずとして白飯を食べ続けることになる。これは決して難しくない。
でもイチゴのショートケーキはイチゴとその他とが甘さと甘さとで対立しあうことになる。
そうなるのを防ごうとなれば、例えばイチゴを旬じゃない時期外れに取ることで、酸味を強くする、そして甘さを控えめにすることで一応は体裁が整うと言えると思います。
でもその場合はメインであるべきイチゴが既にその持ち味を発揮できていないことになりますよね。メインであるべき輝くべき主人公が言ってみれば手抜きするおかげで成立する、そんなことがあっていいのかと。
じゃあイチゴが最大限力を発揮すればどうかといえば、甘さを引き立たせる、となると周りのその他部分が死んでくれないといけない。
そうなると、ケーキのイチゴってのはそれ専用の物を用意しなくてはならないのではないかと。酸味の強いものなり、あるいは特注のイチゴが絶対に必要になってくる。生半可なものだと周囲に殺されてしまうだけ。そんな生易しい世界ではないんだと。
つまり、そこで一工夫入れる必要がありますし、それで初めて成り立つと言える。その難度の高さたるや、日の丸弁当の比ではないわけです。日の丸弁当担当の人に怒られそうだけど(笑)
ナニ言ってんだ! うちの梅干しはそんじゅそこらの梅干しとはワケが違うんだぞ! とか言われそうですね(笑)
このケーキの横にあるヤツ、ケーキフィルムっていうらしいです。
小さい頃は重要でしたけどね(笑)みんなこのフィルム大好きだったんじゃないかなと(笑)
とりあえずスプーンでついてる部分をすくって取りました。
おいしかったです。
・イチゴですが、この柔らかさ、色合いの濃さからは明らかに熟したものを使っているなというのが伝わってきます。恐らくは酸味の強い品種の物を選んだのでしょう。日の丸弁当でいうところの梅干し的な立ち位置を濃厚に感じさせます。舌を突き刺すほどの強い酸味を感じます。
この切った断面からある程度そのイチゴの品種を判別できる人もいるようですが、残念ながら私はそこまで詳しいわけではありません。
イチゴの断面
この濃い色合いからはイチゴがよく熟していることが伝わってくる
なるほど、このイチゴ周辺のホイップクリームですがこのイチゴからその味わいが染み出しているのがよくわかります。そりゃ隣にあるんだから染み出してくる、そりゃ当たり前です。
でもそうではないと。
先日メロン風味ってのを話題に出しましたが、ここにはイチゴ風味ってのが確かにあると言っていいわけです。
どういうことかといえば、つまり例えばイチゴシロップとかイチゴアイスとかありますよね。それをいろいろ味わってから本物のイチゴを食べた時に恐らくはかなり強い違和感を感じるはずです。
「これって……イチゴ?」
つまりこれはシロップやアイスを通して培われてきた概念としての「イチゴ」と、実物のイチゴとがはっきりと乖離していることが判明した瞬間だと言える。要するに全然違うよねとなるわけです。
でも確かにこれはイチゴ風味じゃない。イチゴの味が染みわたったホイップだと言えます。寿司では「昆布締め(こぶじめ)」というグルタミン酸を移す技法があるようですが、間違いない、これは「苺締め」の技法だと言えるでしょう。つまりここにあるのは「イチゴ風味」ホイップではないと。本物のイチゴの味を染み渡らせたホイップを現出させることに成功しているわけです。そしてここには意図がある。
イチゴそのものの味とは別で、またホイップでもない、かといって単にイチゴの付いたホイップというわけでもない。そうした領域を作り出している。これが驚きだと言える。
まさに恐るべし「苺締めの技法」ですね(笑)
複数の層を一気に食べる
(というといかにも大げさだが、多分普通にみんなやってると思う(笑))
・一番上のホイップ層だけちびちびやってましたが、別に美味しくないなと。層毎に外して食べるというのは決していい手ではなさそうです。
そこで思い出したのが、先日のティラミスの全層貫通して食べるヤツですね。縦に貫通して全層を味わうヤツ。これをやってみることに。ここではっきりと味わいは二つに分かれるなと思いました。
即ち、
①イチゴのコンフィチュールがない
②イチゴのコンフィチュールがある
この二つですね。
イチゴにしろブルーベリーにしろ、ジャムに合う品種っていうのは酸味が非常に強いものだと言われていますが、確かにそう思ってみるとこれはいわゆるジャムとは違うなと。甘みが極めて少ない。それどころか、上に載っているイチゴにそっくりの酸味の強さを非常に感じさせます。舌をしびれさせるほどの強い酸味。
もしかして、「コンフィチュール」という言葉に作者がこめたかったのはこういうことなのか? と思いました。
「ジャムとは違うのだよ! ジャムとは!」
多分そんなことが言いたいんじゃないのかなと。
①コンフィチュールのない部分というのはけっこう美味しくない部分なんですよね。
なんというかクリームがべったりしていて、油っぽさがあり、口当たりがしつこい。さらには相次ぐ甘さの連続の前に、舌もマヒする。そうなるとその口当たりのしつこさってのはけっこう重くのしかかってくるわけです。口にそれを感じただけで、げぷ、お腹いっぱいという気を起こさせてくる。少なくとも甘いものは別腹だとガンガン食べるような勢いを出すような強さには欠けていると言えます。
そこで➁のコンフィチュールがある層が重要になってくると言えます。
はっきりとコンフィチュールのある層ない層があるなというのが分かります。
こうして前回の蒜山ヨーグルトじゃないですけど、いかに①と➁、つまりコンフィチュールのある層を含むか含まないかであり、その比をどのようにするかが味わいを決定していると言えます。
だから、コンフィチュールのない①を食べて舌が甘さに厭きてきたらコンフィチュールのある➁を食べる、その割合を変えることで新しい味わいを作り出すことができる。それを食べる側が大体このぐらいかなと自分で好きなように調整できるようになっているんですね。
そして③主役のイチゴです。
これの食感てブヨブヨしてて、決して最高の味わいだとは言えないかなと(笑)
ただ、このケーキというヤツを食べてる時に一気に口の中を新たにする力があるわけです。あまりにもこの生クリームのかたまりであるその他とイチゴとが違いすぎる。そこでこの③を食べることによってコンフィチュールではできないほどの新規性を取り入れることができるようになっているわけです。
その破壊力たるや、どぎついの一言に尽きる。あまりにも異質なヤツが口の中に入って来たなと。言ってみればケーキの生クリームなんて無機質なものなんですけど、このイチゴはそうではないどぎつい生の塊みたいな存在感を放ちながら口の中に乱入してくる感じですね。
・ただこのイチゴってのは果たしてベストな形なんだろうかと。確かに酸味の強さ、酸っぱさは口の中を新たにはしてくれます。
しかしこれがベストなのか。
無機質に対するに有機質、物質の塊に対するに生の塊、それはわかります。
でもこのイチゴはグロいほどの存在感と生命力とを持っている。
気持ちを新たにする、という言葉では言い尽くせないほどのエグみを感じましたね。
水が欲しいと思っていたら、消火管の水をぶっかけられる。
それほどの破壊力がある。
・美味しいかまずいかで言えば、普通の美味しさを普通に体現していたなと思います。
でもところどころにアラというか、ん? と引っ掛かるものを感じたなという印象です。
確かに無難でしょうし、むしろよく考えられているなと。
でもこれはベストかな? という気もしましたね。
(ここでそういや30円引きとかいうシールがあったなと思い出しました(笑)30円引いてもらってんだから、あんまし大きなこと言ってつつくなよと言われそうですね(笑)著者談)
・何回か出してますが、このイチゴケーキのモデルというのはまさに日の丸弁当そのものだと言っていいと思いますね。あれほどシンプルにして、しかしシンプルなだけに奥の深いものもそうないなと。
「これ」という型が成立しいや確立しているだけに、それを守ることも難しいしましてやそこから発展するということも難しいと言える。非常に難しいですよ、これは。
☆☆☆(背景が黒なんで、黒にすると白になって反転するので星の色逆にしてみました(笑))
星は0個、個人的には60点ですね。
確かに普通なケーキといえばケーキ、オーソドックスな形だと言えるでしょうが。
でもそのオーソドックスに対する挑戦と捉えるとそれがいかに難しいか。
シンプルなだけに難易度は桁違いであり、その難しさに挑戦したということ。そこを今回はきっちりと評価したいなと思いましたね。
まさにいい仕事だったと思います。
まさに脱帽です。
さて。
次回は一応の最終回となる、杏仁豆腐編です。
乞うご期待。
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