蜘蛛の糸 その5






 ということで結論にかかりたいんですけど。
 ・自分だけが助かりたいという思い、そしてその心相当の罰を受けてまた地獄に戻ったということがおしゃか様には浅ましく思われたってことなんですが。
 それで犍陀多が進む道は基本的に二つであり、おしゃか様なりお天道様なりに対する信仰に目覚める、もしくは巨悪になるという道を前回示しました。で、犍陀多としてより妥当なのは(妥当に正解に到達できるのは)後者の方だろうと。となるとおしゃか様はここで犍陀多に一皮剥けよ、巨悪となれ、レベルアップしろということが言いたかったのではないかと思います。言いたかったが不正確なら、おしゃか様は期待していたと言ってもいい。
 浅ましく思えたってのは、いかにも犍陀多への内面に向けた言葉のようでありながら、外面に向けた言葉のようでもあります。その両者を共に言っているものかもしれませんが。もしも内面に目を向けておきながら、犍陀多が信仰に目覚めることを期待するとすれば蜘蛛を助けたことはあるにせよ、いろいろ悪事を重ねてきているわけですからまあ不自然かなと。まあある出来事ですっかり心を入れ替えるなんてのは時折あるわけですから全くないとも言い切れませんが、しかし真反対を期待するなんてのはそこまで期待するものなのかなと。それよりは悪党がさらにその問題をクリアできるくらいまでレベルアップしてくれることの方を望む方がより自然に思えます。おしゃか様の期待としては前者:後者で4:6、いや3:7くらいかなと思います。1:9でも全然不思議ではないですが。


 ・しかしそのどちらにしろ、おしゃか様が望んでいた答えというのは犍陀多が変わることだし、変わらないことはつまらんと思っている節があります。ありのままの犍陀多を目の当たりにして失望するわけですが、そのままでは犍陀多はどう転んでも不合格なわけです。正解できるようになれ、私の出した問題に見事合格して見せろということであれば、犍陀多はとにかくそれをクリアできるように変わらないわけにはいきません。プラスにしろマイナスにしろ、とにかくレベルアップしろ、その先にあるのはそれによってこの私を楽しませろということではないでしょうか。
 そのくらいこの極楽浄土はつまらないのだと。
 刺激がなくておもしろくなく、あまりにもつまらなすぎてふと地獄などを覗いてみたいと思うほどにこの極楽はつまらない。だからこの私を楽しませてみせろというのがおしゃか様の思いなのではないでしょうか。


 ・というよりこれ、まさにカイジと兵頭会長そのものに思いつつこれ書いてますけどね(笑)
 





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