連環計(三十六計35、敗戦⑤)







 連環計(れんかんけい)……「連環の計」
 →複数の計を組み合わせて用いる。




 
 ・解説……敵が圧倒的多数である強大な軍団の時は、敵とすべきではない。自ら疲れるように持っていき、勢いを削ぐ。陣中で策をめぐらせるのは吉であり、それによって(例え劣勢であろうとも)天の恵みを受けることが可能となるのである。

 ・解説の解説……これも『周易』より。唯一の将軍が軍の中心を占める。天の寵愛を受けこの功績に対して王命を三度も賜るという意味だと。



 連環の計といえば、狭義では赤壁で龐統(ほうとう)が曹操の船団を鎖で結ぶことを提案し、船酔い対策(に見せかけつつ実は火計の被害を拡大するという策)を曹操に献策したことを、船をつなぐ意味で「連環計」というような気がしていたのですが、あまりそれらしい記述はないなと(笑)
 ただ、そういう記憶があるので多分そういう言い方も成り立つんだろうとは思います。
 ここでの連環計はその狭義ではなくて、広義の意味、即ちいろいろな計略を組み合わせて使用しようという狙いがあるように思われます。
 だから、船を繋ぐ意味での連環計は△だけど、黄蓋の偽りの降伏→曹操船団を火計で焼く→船を繋いで被害を拡大させる、そうした狙いがあればどうもこの連環計の定義に適合するようになる、と思われます。



 でも計略を単発で仕掛けることってむしろかなり少ないように思います。
 基本的な方針としてどどんと一発仕掛ける、その後成り行きを見つつ適宜手を打っていく。新しい計、最も効果的だろう計をその都度打っていく。そうしたやり方が基本であって、例えば要人を暗殺するなどの単発で成り立つやり方を仕掛ける方が珍しいように思います。
 例えば諸葛亮死後の蜀には費禕(ひい)という優秀な人物がおり、姜維(きょうい)が北伐を強行するのを止めるブレーキとして非常によく働いていたようですが、郭循(かくじゅん)という魏から降参してきた将軍に殺されたと。これによって姜維はもう止めるものもなくなり、アクセル全開で北伐に邁進し、結果的に蜀の滅亡を早めたと言われるわけですが、そうしたブレーキの「要」(かなめ)みたいな人を殺害することは非常に効果的だと。魏としてはもっと蜀にガンガン攻めてもらった方がいい、その手にうまく乗ってしまったのが姜維だと言えるように思います。
 でもそうした一発で成立するような手の方が結構レアなんじゃないですかね。



 思うに、計の組み合わせによって100%を目指す意味合い、あるいは100%の結果をさらに120%、150%と上げていく意味合いの二つがあるのかなと。
 例えば先の赤壁の例で行くと、曹操軍を鎖でつなぐだけなら船酔いがなくなるので曹操は悩みが解消されて成果としては大体‐20%でしょうし、火計だけなら一隻二隻、まあ10~20隻焼いたところで曹操は痛くも痒くもないでしょうから5%程度。ところがそれを組み合わせたら成果は100%みたいになるのかなと。
 しかしそれだけだと曹操を取り逃がしかねない。そこから曹操へ追撃をかけるとなるといかに兵士を伏せるかという話になる。で、これは「三国志 Three Kingdoms」にあった表現でいいなと思ったので紹介てか引用しますけど、呉が曹操を打ち取ったら呉は今後曹操の仇になるわけです。劉備が殺害したら今度は劉備が仇になる可能性がある。
 だから曹操を打ち取りたかったけど、でもその「功績」は譲り合いたかった。そういう流れがあるわけです。



 結果的には曹操は殺害されないし、孫権も劉備も残念だと言っている。言ってみれば最高の結果である、200%としての曹操殺害に失敗した、ところがそのおかげで、両勢力とも仇として旧曹操軍によって徹底的に狙われるようなことはなくなるわけです、
 200%達成できなかった、残念だけど実際は両勢力ともホッと息を胸をなで下ろす。胸をなで下ろしつつも、互いに内心は「なんで曹操の首取らないんだよ」となじりあっている。
 200%じゃないけど、ベストな形に到達しているという奇妙な形に落ち着いている。これってけっこう重要なことだと思うんですよね。




 いつぞや書いたことの繰り返しになりますが(笑)、成果主義と反成果主義とがある。
 曹操を打ち取るという成果主義のベストで言えば韓信になってしまうわけです。 「狡兎死して走狗烹らる」の世界ですね。項羽を打ち取って韓信は用済みになり殺される。
 でも反成果主義として、「項羽を殺して韓信は死んだわけだから、項羽は殺さないのがベストだよね」と思えば、曹操は殺さないのがベストになります。


 その結果として200%は達成できなくても、150%とか130%とかかも知れませんけども、それは実際のベストの形になると。
 表面上は、理想を言えば200%達成したいけども、それは数値上はベストではあっても、現実的にベストであるとは限らない。
 130%で曹操に大打撃だけ与えたけど取り逃がした。
 これは数値上は残念かもしれませんが、現実的にはベストであると。
 で、この「‐70%」にしか見えないところに一体何を見出すかですね。



 韓信が死んでから赤壁で400年前後たっていると思いますが、様々に学びつつ、考えつつ思いつつ、最終的にこうした結論を出せるところが非常に興味深いと思えるんですよね(なんか繰り返しこれを言いたいだけで三十六計書いてる気にもなりますけども(笑))。
 

 →成果を出さないという形でのベストもある、と。






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