上屋抽梯(三十六計28、併戦④)







 上屋抽梯(じょうおくちゅうてい)……「屋(おく)に上げて梯を抽く(はしごをひく)」
 →文字通りの意味:屋根に相手を上げた状態ではしごをとってしまう。



 ・解説……敵を偽るのにおとりを用い、敵を騙すことで前進させて孤立させ、敵を死地に落とすのである。「毒にあたる」というのは敵とこちらとで位置がずれていることから生じるのである。「毒に遇うとは、位(くらい)当たらざればなり」。



 解説本には、「孫子で書かれている内容は味方のはしごを取り去って退路を断って戦うことが精鋭を作るのだとある一方で、この計の内容はそのはしご外しを敵に向かって仕掛けるものである」という風に書かれています。
 つまり、同じ内容でも味方に仕掛ければ精鋭を作るのに、敵に仕掛けたら「上屋抽梯」の計が完成する。そして敵を死地に陥れたらその「地」の持つ毒にあたるのだと。



 でも敵を死地に陥れたらその地の持つ毒気にあてることができるというのなら、味方を死地に陥れたら毒気にあたらないのかといえば当たることになると思うんですよね。いってみればその「毒気」にあたるから精鋭が生まれるともいえるし、敵を「ヤバい……」という状況にも陥れることができると。
 で、恐らく「毒にも薬にもなる」というような感じでこの「毒」というのは捉えられているのではないかと思うわけですね。死地に落とすことは毒気にあてることだと。それが薬になって精鋭も生まれれば、全滅の危機に陥らせることもできると。味方も全滅の危機かもしくは精鋭となるし、敵も同様に全滅か精鋭かとなる。その決め手となるのは死地にある「毒」である、毒にあたれば全滅するか、もしくは精鋭となる、そうした作用がどうもあるらしい、というような認識があると思っていいのかなと。



 →死地の毒はどうやら毒にも薬にもなるらしい。




 この話を聞いて思い出すのは、三国志で劉琦(りゅうき)が諸葛亮をこの計にかけて屋根裏に上げてしまうくだりですね。
 劉琦は劉表の長男ですけども、劉表の配下は揃いもそろってその弟である劉琮(りゅうそう)を後継ぎにしたいと思って団結していたし、曹操に降参したら自分たちの領土は安泰だとも考えていました。だからこそ邪魔な劉琦を抹殺してしまいたいと思っていろいろやっているのですがうまくいきません。
 命を狙われている劉琦は劉備に相談をするのですが、じゃあ諸葛亮をそっちに行かせるよ、きっといい知恵を授けてくれるよと言います。
 諸葛亮は後日劉琦のもとに伺います。



 劉琦は「実は珍しい兵法書が最近手に入りまして先生にぜひとも読んでいただきければと思うのですが」と言います。兵法大好き諸葛亮はその話にまんまと乗せられて屋根裏に上がりますが、実はそれは劉琦の策略であって、その場所にやってきてしまった諸葛亮は劉琦の身の上相談を受けねばならない流れになってしまいます。他人の家のことに口出しをしない諸葛亮ですが、あまりにも劉琦が熱心なのでとうとう根負けして、歴史の話を話し始めます。
 春秋戦国時代に重耳(ちょうじ)という人物がいて命を狙われていた。そこで晋から脱出して諸国を亡命して回り、とうとう諸国の覇者にまで上り詰めるという話です。この重耳のように、劉琦も江夏(こうか)に逃れてみてはという話ですが、それを聞いて劉琦は早速江夏へと逃れることになります。



 この話では劉琦が諸葛亮を「珍しい兵法書」というエサで釣っており、そしてまんまと屋根裏に上がった諸葛亮はその死地において劉琦の身の上相談をいやでも引き受けねばならなくなったと。
 で、その死地で諸葛亮が吐き出したのがこの重耳の話だったというわけですね。



 まあ、この話いろいろツッコミどころがありますが、劉琦もここで諸葛亮に上屋抽梯の計を使って見事成功させられるほど頭が回るのであれば、自分のことに関してもっといろいろ計略を考えてみろよと思えなくもない話ではありますが(笑)あの天才に見事に上屋抽梯の計を使ってはめた劉琦はある意味ではすごいなと思える話ですね。








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