擒賊擒王(三十六計18、攻戦⑥) 改






 擒賊擒王(きんぞくきんおう)……「賊を擒うる(とらうる)には王を擒えよ」
 →文字通りの意味:賊を捕らえるためには、下っ端ではなく王を捕まえるのがいい。
 広がった意味:王を捕まえなくては、いくら下っ端を叩いたところで意味がない。
 さらに広がった意味:局地戦で満足せず、やるなら徹底的に敵を叩かねばならない。


 唐の詩人杜甫(とほ)の『前出塞(ぜんしゅつさい)』中の
 「人を射るにはまず馬を射よ、賊を捕らえるにはまず王を捕らえよ」に基づく言葉。



 ・解説……敵の固いところを打ち砕き、王を捕らえ、その団体としての体裁を解体する。いくら龍であっても、野戦で孤立して戦うのでは行き詰ったに等しいといえる。



 戦いとはいくら勝っても、いくら城を落としても、いくら敵を切っても王を捕まえない限り意味がない。そこまで言い尽くしている言葉だと言えるでしょう。
 意味がないなんて言ったらいや、勝つことには意味はあるでしょうと言われそうですが。



 呉王闔閭(こうりょ)は越王勾践(こうせん)と戦い、徹底的に破りましたが命乞いされたので命だけは許しました。後年、呉を滅ぼしたのはその越でした。勾践は命を許されたと呉王に恩を感じるよりも、あの屈辱は決して忘れてはならぬと努力に努力を重ねて、とうとう呉を滅ぼしたわけです(臥薪嘗胆、がしんしょうたん)。
 詰めの甘さが命取りになる。やる時に徹底的に詰めないために最終的には覆される。そうした話ですね。
 →教訓:詰めの甘さが命取りになりかねない。そうした例は歴史上決して少なくない。



 ところで、14で「借屍還魂」なんてのを見たわけですが。王を切っても新しく楚を建国しよう、なんて勢力はいくらでも出てくるわけです。じゃあ王を切ってもあまり変わりはしないのではないか。
 これは問題をいくら解決しても、新しい問題が出てくるから解決したってムダだよというような話になりかねないと言えるでしょう。緊急性、重要性を突き詰めた問題、その問題すら解決できないのにまして重要度の劣る問題は解決できない。解決する理由がない。そうなってしまう。だからこそ、重要性、緊急性のある問題、つまり優先順位の高い問題は率先してクリアされる必要があると言えるのではないかなと。その他の問題など枝葉末節、後回しで良いしそもそも関わらなくてもいい。しかしその重要性を突き詰めた問題に対処できなくては、一体何のための戦いなのかというそもそもの意味が見出せなくなる。
 →教訓:優先順位の高い問題を対処する習慣を持たなくては、きちんとした問題の対処ができなくなる。
 →さらに教訓:時と場合によっては、優先順位の低い問題をバッサリ切り捨てることも重要。


 ようやく18/36が終わりました。いやー長かった。
 あと半分ですね。



 追記。
 曹操は、誰よりも早く献帝を確保せよと急行軍を出し、最も早く献帝の危機に駆けつけた忠臣であるとの立ち位置を確保しようとします。
 董卓死後、群雄は割拠し小さいつまらない小競り合いを各勢力とも繰り返していますが献帝を保護するに勝るものはないと曹操は判断しています。そして献帝を保護し、各勢力に帝からの命令で討伐令を出しては小競り合いさせ、消耗させ、そして勢力を潰すことに成功している。
 献帝は明らかに政争の道具に使われているわけですが、しかしそれが非常に効果的だったのは曹操が結果的に当時の中国の2/3を制圧したことと一致していると言えるでしょう。他の勢力はそんな裏技使えないわけですから。
 王を捕えるということ。それを別の形で実践し、最も効果的に使うことに成功したのが曹操だとも言えるのではないでしょうか。








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