呉子④ 「一人でも死を覚悟すれば強い」





 呉子をいろいろ書いてきましたが、どうも呉子については今回が最終回になりそうかなと(笑)他のところからあまりこうフィーリングが出てこないので、まあなんか出たらその都度明日にでも書くとして、一旦ここで終わりとします。
 話は一気に飛んで最終話付近。


 武候は呉起に、言われた通りにやったら、兵士がうまく動員できたことを伝える。
 そうすると呉起は言う。



 人には長所短所があり、気には盛衰があります。
 試しに5万の功績のない者を集めてみてください。この兵士を率いて秦と戦ってみましょう。もしこれで負けたら天下の物笑いとなるでしょう(が、そんな気遣いは無用です)。
 今、賊を一人荒野に逃がすとします。それを千人に追わせても、怯えてびくびくするのは千人の側でしょう。いきなり現れて自分が殺害されるかもしれないからです。
 一人でも命を投げ打つ覚悟があれば、このように千人を恐れされることも可能です。
 今私が5万の兵士をこの賊のようにして率いて敵と戦えば対抗するのは困難でしょう。

 そして次の話で、呉起は実際に5万の兵を率いて50万の秦と戦い、見事打ち破ることが明かされるのである(最終話)。


                                                            
 ところで、尉繚子(うつりょうし)という書物にも似たような描写があるので下に書くことにする。


 刃物を振り回す男と、周囲の人々がいるとする。
 この差は勇敢と腰抜けということではない。
 死を覚悟した者と生に執着した者との差である。



 話があまり膨らまないが、まあこれはこれでいいかと終わりにする。













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