タクティクスオウガ⑬ ウォーレンレポートから読み解く1章

 ここでの狙いは、ウォーレンレポートを中心としてこの物語を見てみようというものである。




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 この記事は、ゴリアテでのランスロットらとの会話からアルモリカ城攻略までの極めて短い期間にしか見ることのできないある意味貴重なものであると言えるだろう。





 ランスロットらとの会話でも

デニム「…アルモリカ城に囚われたロンウェー公爵を助けなければ…」
ヴァイス「処刑が近いというウワサなんだ。なんとかしなくちゃいけない…」と言っているが、その根拠はこうしてウォーレンレポートを見ることで確認することができる。




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 この話がウォルスタの生き残りをまとめて一掃するためのニセ情報だということは、アルモリカ城前でのバパール戦において、下愚バパールが言っている通りである。


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 つまりこの事実が示していることは、ウォーレンレポートは別に極めて客観的な見方や真実を明らかにしようなんて殊勝な心掛けをして集められたものではなく、世間一般にある役に立ちそうな噂をただピックアップしてきているものに過ぎないということだ。言ってみればウォーレン主催のニュース番組に過ぎない。従ってこのレポートの内容が正しかろうと間違っていようと、別にそんなことは知ったこっちゃないという話である。

 こうして、物語の最初でその存在意義と信憑性とを自ら大きく下げてしまっている性質のものである。ウォーレンレポート自体は物語の進行とともに内容が変わっていくし、別に見ようとみまいと物語の進行に別に何ら支障はない。

その上、ニセ情報まで見境なく拾ってくる。そんなとんでもないものがこのウォーレンレポートであるといえる。そしてこの物語ののっけからそれを視聴者に突きつけようという意図をこの時点で示そうとしていると言えるだろう。



 ②ところで、このニセ情報と同時に見られるのが、バクラムにおけるパレード予告、そしてパレード襲撃事件である。


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 この記事をアルモリカ襲撃前に読むことができるということは、アルモリカ襲撃のほぼ直前、ランスロットらとデニムとが話をしていた頃だろうか、ヴァレリア解放戦線はこの事件を引き起こしていたことがわかる。つまり、「ランスロット暗殺計画」と「パレード襲撃事件」はほぼ同刻に起きているものと考えられる。結果としては両方とも失敗である。ランスロットらを人違いで襲ったこと、情報収集能力のなさ、そして仮に戦っていたとしても実力がないために負けていただろう。それはヴァレリア解放戦線も同じことで、暗黒騎士団に死傷者が一切出ていないらしいことはレポートから伝わってくる。ところが市民に死傷者は出ている。そしてそれが悪評となり、あの集団は目的のためなら手段を選ばない集団だ、と広く広まることになる。



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 話は前後するが、クリザロー攻略後にはパレード襲撃犯の身元が割れている。



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 このことをシスティーナもフォルカスも真っ向から否定する。我々はそんなことはしないのだと。それはニセ情報であり、ブランタによる体制側のためのプロパカンダ(思想宣伝)であると言う。このことはウォーレンレポートの信憑性のあやふやさも手伝ってはっきりとしたことは判明しない。あくまでもウワサかもしれないし、バクラムの体制側に単に乗せられているだけなのかもしれない。本当かもウソかも区別がつかない。しかし、2章になりセリエと会ってみるとこのウワサは本当だったんだということが薄々分かってくる。彼女はまさに目的のためなら、より良い世界を作るためなら少しくらいの犠牲は仕方がない、我々が生き残るためにはこれしかないのだと言って戦争を肯定したりする過激な思想を持っている。

 詳しくはまた別に記載するつもりだが、

 「パレードという祝いの場ならバクラムも油断しているはず」

 「まさか市民が巻き込まれる状況でテロを行うとは考えまい」

 「その油断を衝けば暗黒騎士団に大きな痛手を負わせられるはず」

 「暗黒騎士団がこの島からいなくなれば、バクラムは大した力がない」

 「その時こそヴァレリア解放戦線がバクラムにとって代わることができる」

 そうした思想を持ったテロ行為がパレード襲撃だと思って間違いないし、少なくとも2章で語るセリエの言葉を転用するならばそうしたテロ行為は肯定されて然るべきものである。目的を、理想を達成するために自分の手を汚せない、汚す覚悟もないようなやつに何もできない。それらは全てセリエの言葉である。

 そうした思想を持った人間が、パレードという「絶好の機会」を果たして逃すものかどうか。恐らく最大限に利用しようと考えたに違いない。そこについては詳しくは本編中で語られていないため、あくまでも推測でしかないが、それに基づいて考えるならばヴァレリア解放戦線について語るウォーレンレポートの記事はロンウェー処刑のウワサとは違ってかなり信憑性が高いもののように思われるのである。




その2もよろです。






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