タクティクスオウガ⑩ 一緒に攻めるか否か

 ヴァイスは「オレたちだけではムリ」と言い、カチュアは「騎士様が協力してくれてもムリ」と言う。ランスロットに意見を求められ、二つの選択肢が出る。
「1我々だけではムリです、ぜひとも力をお貸しください」
「2我々だけで大丈夫です、あなた方の力は必要ありません」
 この二つである。どちらを選んでも大差はないのだが、この二つの選択肢の意味するところは全く異なる、それを以下に見ていきたい。


 ①ウォルスタ人だけの国家を作ることは理想だと言える。誰かの力を借りたとなると、後々まで影響は付き纏うことになる。それがゼノビアだろうと、ローディスだろうと事情は同じで、援助を受けたという負い目や借りを作ったという感じは後々まで残る。自分たちの意見だけではない、ゼノビアの側の意見も考慮しなくてはならなくなるかも知れない。
ウォルスタと同様に弱小だったバクラムはローディスの力を借りることで一応国家としての体裁を繕うことができている。ではウォルスタがもしも建国できたとして、ゼノビアの力をもしも借りたとすれば?
 この点に関してのデニムらの不安を払しょくするようにゼノビア勢は「我々は追放されたのさ」「だから俺たちの力を買ってくれる雇い主を求めている」「金が欲しい」と主張する。つまり、自分たちを雇ってもゼノビアからの影響はないのだと。そこを主張するが、とはいえ信じきれるものではないという事情がある。つまりその点では自分たちの力を借りても心配はいらないのだというわけである。



 
 ②さらに、現実的な問題もある。この時点で、たった三人でアルモリカ城を落とすことがそもそもできるかどうかということである。まず無理であろう。いくら血気に逸ったところで、大志を語ったところで三人では城を落とすことができない。このランスロット一行に対し暗殺計画を立てた。一応の和解ということなので失敗だとは言えないまでも、まともに当たっていたら5対3という人数だけの話ではなく、実力でそもそも敗れていただろう。これがまして城攻めにおいてはどのような結果になるかについては考えるまでもないことである。
 このことに関しては、ほぼ同時期に活動をしていたヴァレリア解放戦線についても同じことが当てはまると言えるだろう。ヴァレリア解放戦線は無力であり、バクラムと暗黒騎士団を対象にしたパレード襲撃事件を引き起こすも損害を全く与えることができず、それどころか市民に死傷者を出し、人々から敬遠されることになった、というのは以前にも書いた。無力な組織がいくらがんばっても結果を出すことができず、それどころか逆効果で、人々から忌み嫌われるようになっていったのと照らし合わせると、非常に対称的な事例だと言える。ウォルスタの方ではゼノビアの力を借りるしかないわけだが、それによって力を増して目的を達成することができた。ヴァレリア解放戦線ではそもそも借りることのできる相手はいなかったのである。



 ③「じゃああんた方はどうしてこの島へ来たんだ?」とヴァイスは言う。ローディスがバクラムを支援し、ゼノビアがウォルスタを支援し。そうしてこのヴァレリア島を舞台に二大強国が戦争を起こそうというのか。結局勝ったものが占領して属国とするっていうのかとヴァイスは憤る。これはヴァイスが感情的になり突っ走った結果だが、あながち妄想だとも言えないものがある。それは具体的な事例が隣にあったから、バクラムのことが念頭にあったためである。


 こうした点を踏まえていくと、1の選択肢は①、②に見えるような事情を色濃く反映していると見ていい。現実的に不可能だから、ここは力を借りるしかない。その後ゼノビアに発言権を許すような事態になり、結局は樹立しながらもゼノビアの傀儡政権になるかもしれない。ましてウォルスタは弱小である。そうした点を踏まえると、力を借りることは必要不可欠であり、ひとまずアルモリカ城を奪還し、処刑間近であるロンウェーを救った方がいいのではないか。その後のことは、それから判断するのがいい。仕方がない、現実的に無理だから、理想はわかるけどもここは妥協しようという方向性を色濃く感じ取ることができるといえるだろう。



 一方の2の選択肢はどうかと言えば、これはアルモリカ城に騎士アガレスというナイトがいるのだが、彼の言っている言葉に非常によく似ている。
「我々は我々の力のみで事をなすのだ。よそ者の力など必要ない」
 このセリフはガルガスタンが圧倒的な人口と力を保持しているからこそ言えるセリフであり、これをこの時点のウォルスタが言えるか?とつっこまれるようなセリフだと思っていい。
 これは要するに「我々は三人でアルモリカ城を落とすのだ」と言っているに等しく、そんなことは土台不可能だと見ていいからだ。つまり、理想はわからんでもないけども現実は不可能に等しい。その点を省いて、理想だけを唱えたところで非常に難しい。今後何度も繰り返される「理想と現実」の端緒がここに表されていると言っていい。


 どちらを選んだところで結局はゼノビア勢と一緒に攻めるわけだから特に深く考えるまでもない選択肢ではあるが、一応考えていくとこうしたものが見出される、という点を挙げだしてみた。

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