戦国策86、范雎が平原君をくそみそに言う話

 応侯(范雎)は言った。  「鄭(てい)の人はまだ磨きあげられていない玉のことを璞(はく)と呼ぶのですが。一方周の人は、まだ乾ききっていないネズミの干物のことを朴(はく)と呼びます。  ある時に周の人がこの朴を懐に入れて鄭の商人のところへ売りに行きました。  『ハクを買いたくないですか』  と聞いたところ、商人は  『ぜひとも買いたいです』  と答えま…

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戦国策85、蘇代の説く漁夫の利の話

 趙が燕を討とうとしていた。  蘇代(そだい)は燕のために、趙の恵王に言った。  「今日この臣がこちらに参ります途上で易水のところを通りかかりました。  そこで蛤(はまぐり)がちょうど水から出て日に当たっておりました。  そこへ鷸(しぎ)が通りかかり、蛤を見つけてついばみました。  蛤の方では貝を閉ざしてくちばしをはさみました。  鷸は言いました。  『この…

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戦国策84、季梁が魏王を説いて侵攻を止める話

 魏王は趙の邯鄲(かんたん)を攻めようとした。  季梁(きりょう)これを聞くと中途で引き返してきた。服はよれよれで旅塵(りょじん)の付いた髪もそのままに、王に謁見した。  「先ほどこちらへ参ります折に太行山(たいこうざん)のところである人を見かけました。  北へ向かい馬の手綱を取り  『楚へと向かうところです』  と言っているのです。  この臣が  …

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戦国策83、孫臣が魏王を説得して交渉をやめさせる話 改

 華の戦いで、魏は秦に勝てなかった。  翌年、段干崇(だんかんすう)を秦にやって土地を割譲して秦と講和することになった。  孫臣(そんしん)は魏王に言った。  「魏が敗けながらも土地を割譲しなかったのは、うまく対処できたと言えましょう。  また秦が勝っておきながら土地を割譲させなかったということは、せっかくの戦勝の機会を利用できなかったと言えるでしょう。  …

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戦国策82、周訢が魏王に反論する話

 秦が魏を華(か)の地で破った。  魏王は秦に臣従しようとしたが、周訢(しゅうきん)は王に言った。  「宋の人で、学問をしに出掛けていた人がいました。  三年が経ち戻ってきましたところ、母を名で呼びました。  『おまえは三年も学問をして、帰ってくると私を名で呼ぶというのはどうしたことかね』  これに子は答えました。  『私が思いますところ、堯・舜(ぎょう、…

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戦国策81、魏の太子の「孝」を恵公が止める話

 魏の恵王が亡くなった。埋葬の日取りも決まっていた。  ところが雪が降り積もり、その高さといえば牛の目の高さほどもあった。  そこで太子は城郭を取り壊した上に懸け橋を渡して、予定通りに葬儀を行おうとした。  これを諫める群臣たちは多く、  「雪がこんなにひどいのに棺を送るということになりましては、人民はたいそう苦しみましょうし、なによりも出費が膨大になるかと思われ…

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戦国策80、衛の霊公を引き合いに出して、魏王を諫める魏の公子牟……の話

 これは魏の公子である牟(ぼう)が魏王に言った話である。  「衛(えい)の国の霊公(れいこう)は、雍疽と弥子瑕(ようしょ、びしか)の二人を近づけておりましたが、この二人は君主の威光をかさに着て、側近の人々を覆い隠してしまいました。  そこで復塗偵(ふくとてい)は君主に申しました。  『先日私は我が君の夢をみました』  衛君  「それはどんな夢だったのだ」…

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振動マシンの研究⑦前屈

 久々に乗ってたら閃いた。というかやり過ぎで体調をかなり長いことくずしてたので(笑)、多分一月とかやってない。まあ久しぶりなら久しぶりで、新鮮さがあっていろいろ閃くものだからこれはこれでいいなと思いつつ。  ・普通に乗る。足は肩幅で  ・前屈風に身体を倒していき、前のバーに後頭部をくっつける  ・バーの後ろ側に手をやって、ぐい、ぐいとやる  ・慣れてきたらさらに後頭部を下につけ、そのま…

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戦国策79、陳軫が懐王を思いとどまらせる話

 ということで今回から戦国策も3、弁説編に入りました。  100話で終わる予定ですが、最後の2話が異常に長いようなので、さてどうしたもんかと今から悩んでいます(笑)  楚王は張儀を魏から追い出そうとした。  陳軫(ちんしん)はこれを聞いて  「王はどうして張子を追い出されるのですか」  と聞いた。  楚王  「臣下でありながら不忠であり、不信であるためだ…

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戦国策78、范雎に魏の公子が応酬する話…をしている二人の話

 平原君(へいげんくん)は平陽君(へいようくん)に言った。  「魏の公子である牟(ぼう)はかつて秦にいたのだが、東へ帰ろうとして応侯(范雎はんしょ)に挨拶に行ったのだ。  その時応侯は  『もう出立されますか。何かお教えくださるようなことはありませんかな』  と言った。  牟は  『ちょうどこの臣の方から申し上げようと思っていたところでした。  …

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戦国策77、陳軫が「蛇足」を昭陽に説く話

 楚の将である昭陽(しょうよう)は魏を討ち、軍を壊滅させ将を殺し、八城を奪い、転じて軍を斉に寄せた。  陳軫(ちんしん)は斉王のために使いをして、昭陽に会い戦勝を祝し、そして尋ねた。  「楚の国の法では、敵軍を壊滅させ敵将を殺した功績に報いて与えられる官位にはどのようなものがありますか」  昭陽  「官は上柱国(じょうちゅうこく)があり、爵については上執珪(じ…

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戦国策76、郭隗による「隗より始めよ」の話

 ※今回もかなり長いです。  燕の昭王は子之(しし)の乱により滅亡した燕の混乱を収めて即位した。  謙虚に振舞い、賢者を集めその力でもって斉に復讐しようと思った。  そこで、郭隗(かくかい)先生を訪問して告げた。  「斉は我が国の内乱に乗じて急襲してきました。  燕は小国で兵も少なく、斉に報復するには力不足であることは百も承知です。  しかしそれでも優…

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戦国策75、韓の昭侯が申不害を論破する話

 申子(しんし、申不害しんふがいとも)はその従兄(じゅうけい、男の年上のいとこ)を仕官させて欲しいと願いたが、昭侯は許さなかった。  ここで申子は恨みがましい顔つきをした。  昭侯は言った。  「なぜかといえば、かねてからあなたに教えてもらっていることとこれとが違うからだ。  あなたの願いを受け入れて教えを捨てるか、それとも教えを受け入れて願いを捨てるかだ。  …

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戦国策74、魏加が春申君をやんわりと諫める話

 天下の諸侯が合従した。  趙は魏加(ぎか)を使いに出し、楚の春申君(しゅんしんくん)の元に出した。  「楚に置かれましては、よい将はおられますか」  春申君  「おります。  私は臨武君(りんぶくん)を将軍としたいと思っています」  魏加  「私は若いころから弓を得意としております。  少し弓術の話をしてもよろしいですか」  春申君  「よいですよ」…

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こころを読む前に

 ということで書店に行ってきた。  カミュ『シーシュポスの神話』  カフカ『変身』  夏目漱石『こころ』  の三冊を買った。  この三冊に共通する点といえば、全部以前に買ったことがあるという点であって(笑)  気が付きゃみんなどっか行ってしまった。  多分、大学を卒業して結局文学をやるとか評論をやるとか常に一生懸命やってきたけど、終わってみたら何も残らんかっ…

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戦国策73、田単が狄を攻めるもうまくいかない話

 田単(でんたん)がこれから狄(てき、異民族、野蛮人)を攻めようという時に魯仲子(ろちゅうし)を訪問した。  仲子は  「将軍が狄を攻められても、降すことはできますまい」  と言った。  田単は  「私はわずか五里四方の城の内城と七里四方の外城から敗残兵を率いて出て、燕の繰り出した大軍を破り斉の民に先祖の墳墓(ふんぼ、墓)を取り返したこともある男です。  それ…

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キュアンの死

 ・キュアンというこの男は、このファイアーエムブレム聖戦の系譜という作品とこの次の作品であるトラキア776を通して描かれることになる。  主人公シグルドの親友という子の立ち位置は主役級と言っていい立ち位置にも関わらず、実際のこの男の描かれ方はあまりいいものだとは言えない。        ・トラキアという地を支配しているのはトラバントという男であるのだが。…

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戦国策72、貫珠が襄王の心をうまく鎮める話

 燕が斉を攻めた時、斉は敗れ、閔王(びんおう)は莒(きょ)へと逃れることになった。  しかし淖歯(とうし)がこれを殺した。  田単(でんたん)将軍は即墨(そくぼく)の城を守っていたが、燕軍を破り、斉の土地を取り戻した。  その当時まだ太子であった襄王は姓名を変えて雇われ仕事をしていたが、そのような地位に落ちても王族である片鱗を見せたのだった。  斉が燕を破った…

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孫子の兵法は役に立たない?

 孫子の兵法は本当に役に立つのかどうか。  そもそもそんなに広くのことに対して応用できて効くものなのか。  いろいろ本が出てるけど、じゃあ一冊くらい読んどかんといかんのではないか。  なんでもかんでも正解を与える、言ってみれば魔法の書が孫子なのではないか。  これらのことに対して色々見てきた私が言えることは、孫子の兵法は何にでも応用が効くほど汎用性が高く、一度…

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戦国策71、魯連が孟嘗君を諭す話

 孟嘗君(もうしょうくん)は抱えている食客(しょっかく)の中に一人気に入らないやつがおり、かねてから追い出したいと思っていた。  魯連(ろれん)は孟嘗君に言った。  「子猿も大猿も木から離れて水に入れば魚やすっぽんには敵いません。  険しく危険な山道を通る場合には一日千里を駆ける名馬であってもキツネやタヌキには敵いません。  曹沬(そうばつ、そうかいとも)将軍に三…

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空手論その4

 さー寝よ寝よと思っていた時にふと思い出したことがある。  なぜ左ストレートは打てないかという問題である。空手引退してからも折にふれて思い出すし、はっそういえばなぜ打てないんだろうと考え出してしばらくやってみてはあーやっぱダメだなーみたいなことをずっとやっていた気がする。  で、大学3年くらいの時にふとできるようになった。だから6〜7年くらいかかっている。右ストレートが3ヶ月とか1年とかで…

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戦国策70、斉の威王が最後まで章子を信じる話

 秦が、道を韓と魏に借りて、斉を攻めた。斉の威王は章子(しょうし)を将軍に任命した。  ところが章子は秦軍に友好のための使者を送り、間には使者が頻繁に往来した。  そうするうちに章子は旗印を斉のものから秦のものに変えて、秦軍に紛れ込んだ。  斉のスパイは  「章子は全軍秦の中に入りました」  と報告したが、威王は答えなかった。  しばらく経つと別のスパイが…

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戦国策69、杜赫が景翠を間接的に推薦する話

 杜赫(とかく)は、景翠(けいすい)が周で重く用いられるようにと思い、周君に言った。  「あなたの国は小さいので、国の財宝を取り出して諸侯に与えて気に入られるようなことは考えものです。  例えて言えば、猟師が霞網(かすみあみ)を用意しても鳥のいないところに張ったのでは獲物はかからないでしょう。  かといって鳥の多い場所にいきなり張り出したのでは、鳥は驚いて逃げるでしょう…

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戦国策68、史疾が楚王にかささぎとカラスの話をする話 改

 史疾(ししつ)が韓の使いとして楚に行った。  楚王は、  「客人に置かれては、どういう学問を修めておいでか」  と聞いた。  史疾  「列圄寇(れつぎょこう、列禦寇とも書く)の学を修めました」  楚王  「それは何を尊ぶものかね」  史疾「正を尊びます」  楚王「その正というもので国を治めることはできるものなのか」  史疾「できます」  楚王「…

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戦国策67、韓王が段規に勧められて成皋の地を取る話

 三晋(韓・魏・趙)が知伯(ちはく)を破ってその土地を分割することになった。  そこで段規(だんき)は韓王に言った。  「土地の分割に関してですが、ぜひとも成皋(せいこう)の土地をもらうのがよろしいかと」  韓王は言った。  「あの土地は石だらけの土地ではないか。役に立たない」  段規  「それは違います。  私は、  『たった一里四方の広さであっても、千…

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戦国策66、范雎が王に追放のすすめをする話

 今回もまた大変に長いですね。  ひたすら范雎(はんしょ)が語っています。  応侯(范雎)は昭王に申し上げた。  「恒思(こうし)という場所に鎮守の森があったのを御存じでしょうか。  そこに向こう見ずの若者がおりまして、この森と双六(すごろく)をしようと思いました。  『俺がお前に勝ったら、俺に神様を三日間だけ貸してくれ。  俺が負けたら、好きなようにしろ…

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戦国策65、南文子が知伯の思惑を見破る話

 晋の知伯は衛(えい)の国を討とうと思い、まず衛君に良馬4頭と白壁(素晴らしいお宝)一対を贈った。衛君はこれをたいそう喜び、群臣もみなこれを喜んだ。  ところが南文子(なんぶんし)は一人これに憂いの表情をしていた。  衛君はこれを見て言った。  「あの晋のような大国がこれほどの好意を示してくれたというのに、どうしてそのような表情をしているのか」  文子  「功績…

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戦国策64、甘茂(かんぼう)が先手を打って公孫衍を追い出す話

 甘茂(かんぼう)は秦の宰相を務めていた。  秦王は公孫衍(こうそんえん)がお気に入りであり、公孫衍とこっそり内緒話をしていたものだった。  その時に秦王は自ら  「実はあなたを宰相にしようと思っているのだ」  と言った。  甘茂に仕える者がこれをこっそり聞いてしまい、そのことを甘茂に告げた。  そこで甘茂は参内して王に会い、  「王に置かれましては…

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戦国策63、范雎が巨額の金で策士たちを釣り、趙の思惑を破る話

 天下の策士たちが合従して趙に集い、秦を攻めようとした。  秦の宰相である応侯(おうこう、范雎はんしょのこと)は王に言った。  「御心配には及びません。  さっそく止めてお目に掛けましょう。  秦とその策士たちの間に恨みがあるわけではありません。  策士たちの狙いは自分たちに莫大な褒美が欲しいためであるのです。  王の飼っておられる犬を御覧くだ…

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蜘蛛の糸その7

 蜘蛛の糸風な現実ってなんかあるかなと思ったが、ふと思いついた中にはこういうのがある。  例えば受験なんかでは600/1000点とかじゃないと「生きてる価値ないよね」「ダメだよね」と規定する。その600に明確な根拠はないし、それを自分を発奮させるために用いるならいいと思うんだけど暗に「お前はダメだけどオレはいいよね」ということを口に出して確認したいがためにそういうのを口にする。  こう…

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