京アニ事件から見る突き抜けた絶望の表現

 ふと思ったことを並べてみる。 不快な表現があったら後免被りたい。  京アニ事件で最も印象的だったのは「こんなに優しくされたことは今までなかった」という言葉だったように思う。ガソリンをまいて火をつける。包丁も用意していたが、使う暇すらなかった……身体の90%を火傷してながら一命を取り留めた。滅茶苦茶、支離滅裂、全くデタラメだがしかしそういう優しさの表現の総本山とも言うべきあ…

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戦国策30、公孫弘が昭王に使者としての気概を示す話

 孟嘗君が諸国と合従する構えを見せた時、公孫弘は孟嘗君に言った。 「秦王の様子を一度見るべきです。もし秦王が王に相応しい人物であったならば、我が君はその臣下となることもできませんでしょう。合従して敵を阻むどころではありません。 もし秦王が愚か者だったならば、その後合従をしたとしても遅くはありません」 孟嘗君は「その通りだ。では貴方にその役割をしていただきましょう」と言った…

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戦国策29、馮諼が孟嘗君を助ける話

 非常に長いです。 なので①~④に分けました。  ① 斉の人に馮諼(ふうけん、馮驩ふうかんとも書かれる)という者がいた。 この人は貧しくて自立ができなかった。彼は人に紹介してもらって孟嘗君のところへ寄宿させてもらいたいと願い出た。 孟嘗君は「何か好きなことがありますかな」と聞いたが馮諼は「特に何も好きなものはありません」と言う。 「何ができますかな」と聞くと「特に何もできません…

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徹底的に噛み砕かれているかいないか

 勉強とかしていても頭には入って時には理解さえできているのに、実際に用いることは難しいということがあったりする。その逆で用いることは容易くても理解や把握ができていないことがあったりする。結局言えることはつまりこの二つは全くの別物で、それにはそれ用の意図や工夫をすることが必要ということなのだろうと思う。インプットとアウトプットということに集約されるかもしれないけど。 前者と…

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戦国策28、蘇秦の語る災い転じて福と為すの話

 燕の文公の時に、秦の恵王は自分の娘を燕の太子の夫人とした。  文公が亡くなり易王(いおう)が即位したが、この時斉の宣王は燕の喪中に攻撃を仕掛け、十の城を落とした。  ここで蘇秦は燕のために斉王に話を説くことにした。蘇秦は礼をして祝辞を述べた後に、斉王の顔を見ながら弔辞を述べた。斉王は激怒し武器に手をかけ、蘇秦に出て行けと命じた。  「どういうことだ。祝辞と弔辞を同…

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戦国策27、貂勃が田単の犬となる話

 貂勃(ちょうぼつ)はいつも安平君(あんぺいくん)である田単(でんたん)を「あいつは小人だ」と言っていた。田単はこれを聞きつけて、酒席を用意して貂勃を招待して言った。 「私はどういうことで先生に罪を犯しましたでしょうか。常々朝廷でお誉めいただいているようですが」  貂勃は言った。  「盗跖の犬(とうせきのいぬ)は堯(ぎょう)に吠えましたが、それは別に盗跖を尊び尭を卑しん…

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戦国策26、蘇子が西周へ行って東周の水不足を解決する話

 東周の方で稲を作ろうと思っていたが、西周が水を水路に流さない(渡さない)ということがあった。東周では困っていた。そこに蘇子が現れて、東周の君に言った。 「私が西周に水を流させるようにしたいのですが、よろしいでしょうか」  そして出かけて行って西周の君に会って言った。 「君のはかりごとは間違っています。 水を流さないことは東周を豊かにすることなのです。今東周の方ではみな麦を…

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戦国策25、建信君が呂不韋への不満を口にする話

 希写(きしゃ)が建信君(けんしんくん)に会いにやってきた。  建信君「文信候(ぶんしんこう、呂不韋のこと)の態度は大変無礼だ。秦は人をよこして強引に仕えさせようとした(礼儀がなく、ぞんざいだった)、だから私は彼を丞相にするよう、五大夫の爵位を与えるように働きかけてきたものだ。ところが今の文信君の私への態度は、酷いこと甚だしい、全く無礼だ」  希写はこれに答えて「私が思い…

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オウガバトル①カノープス

 主人公たちがカノープスと初めて会った時の会話。  そうしてカノープスは主人公たちが名誉、自由、正義を理由として帝国と戦っているのかを問う。  しかし考えてみればこの三つの選択肢というのは非常に奇妙である。  なぜ名誉と自由と正義以外の選択肢がないのか。いかにもそれっぽい選択肢だが、しかし非常に恣意的な選択肢だといえる。この中から…

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走為上(三十六計36、敗戦⑥)

 走為上(そういじょう)……「走るを上と為す」  →(今まで列挙してきた計でもうまくいかない時は)逃げるのが最上である。  ・解説……軍を保全したまま敵から逃げる。退き(しりぞき)いかにも劣って見えるが罰を受けることがない、というのは軍規を乱してはいないためである。  ・解説の解説……これも『周易』より。  「左き次る」(しりぞきやどる)を「左…

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連環計(三十六計35、敗戦⑤)

 連環計(れんかんけい)……「連環の計」  →複数の計を組み合わせて用いる。    ・解説……敵が圧倒的多数である強大な軍団の時は、敵とすべきではない。自ら疲れるように持っていき、勢いを削ぐ。陣中で策をめぐらせるのは吉であり、それによって(例え劣勢であろうとも)天の恵みを受けることが可能となるのである。  ・解説の解説……これも『周易』より。唯…

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苦肉計(三十六計34、敗戦④)

 苦肉計(くにくけい)……「苦肉の計」  →敵を信用させるために敢えて自分を傷つける。  ・解説……人は普通自らを傷つけたりはしないものである。従って害を受ければそれは必ず真実である(とみなされることになる)。真実をもって偽りとし、偽りをもって真実とすれば、間者は成功することができる。子どもが吉である、というのは流れに従う従順さがあるからである(ということ…

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反間計(三十六計33、敗戦③)

 反間計(はんかんけい)……「反間の計」  →反間はスパイのこと。敵のスパイを利用してニセ情報を流させ敵側を混乱させる。  ・解説……疑中の疑。疑いの中にさらに疑いが増す。敵は自らスパイの情報に寄り添っていき自滅する、こちらは何も失うものなどないのである。「之に比すること内自りすとは、自ら失わざるなり」(これにひすることうちよりすとは、みずからうしなわざる…

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空城計(三十六計32、敗戦②)

 空城計(くうじょうけい)……「空城の計」  →わざと城門を開いて、隙だらけにして敵を惑わせる計。    ・解説……劣勢時にさらに劣勢に見せかけることで、疑いの中に疑いを生むようにしむける。剛と柔とがはっきり分かれる時には、奇策を打つことが更なる奇策に繋がるのである。  諸葛亮が司馬懿に対して打った手ですね。  司馬懿の大軍が諸葛亮のいる城に迫る…

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タクティクスオウガ㉖プランシーの最期

 プランシーが今際の際にデニムに語るのは三つである。 ・カチュアの出生の話 ・兄ブランタの話 ・人生の話、選択肢の話  特にここで注目したいのは三つ目の人生の話である。  プランシーはカチュアの母親がマナフロア、父親がドルガルア王であることを告げる。正妻ではないマナフロアとの間にカチュアができちゃうわけで、ドルガルア王の出来心、これけっこうヤバいやつだよ…

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美人計(三十六計31、敗戦①)

 ということで今回から敗戦になります。自分が劣勢の時に使う計だと。  美人系(びじんけい)……「美人の計」  →敵に美人を送り、色仕掛けで敵を弱体化させる。  ・解説……敵の軍事力が強大な場合は、その将を攻めるべきである。将の頭が切れる場合には感情から攻める。将が崩れさえすれば兵の勢いも崩れていき、その勢力はしぼんでいくことだろう。敵の襲来を防ぐのにいい、と…

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反客為主(三十六計30、併戦⑥)

 反客為主(はんかくいしゅ)……「客を反して(かくをはんして)主と為す」  →文字通りの意味:客としてもてなされていたものが、いつの間にか主人になる。    ・解説……相手のすきに乗じて足を差し込んで、敵の主要部を抑えてしまえ。この計は徐々に進めていくものである。  これを聞いて思い出すのは、司馬懿(しばい)ですね。  曹操に…

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樹上開花(三十六計29、併戦⑤)

 樹上開花(じゅじょうかいか)……「樹上に花を開かす(さかす)」  →文字通りの意味:木の上に花を咲かせる。  →(もともとは花をつけないはずの木が)花をつける。ないものをあるように見せかける。  ・解説……(いろいろなものを使うことで)戦局を展開して、それによって勢いさえ手に入れることができれば、力は小さくても勢いは大であるといえる。それは鴻(おおとり)が…

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上屋抽梯(三十六計28、併戦④)

 上屋抽梯(じょうおくちゅうてい)……「屋(おく)に上げて梯を抽く(はしごをひく)」  →文字通りの意味:屋根に相手を上げた状態ではしごをとってしまう。  ・解説……敵を偽るのにおとりを用い、敵を騙すことで前進させて孤立させ、敵を死地に落とすのである。「毒にあたる」というのは敵とこちらとで位置がずれていることから生じるのである。「毒に遇うとは、位(くらい)…

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仮痴不癲(三十六計27、併戦③)

 仮痴不癲(かちふてん)……「痴を仮るも(ちをかるも)癲せず(てんせず)」  →文字通りの意味:愚か者を装ってはいるが、狂っているわけではない。  ・解説……偽って何も知らないふりをし、何もしない方がへたに知恵者ぶったり軽率な行動をするよりよほどいい。それはあたかも雷が鳴りつつもいまだに雨を降らさず、じっと時を待つかのようである。「静にして機を露わさず。雲…

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指桑罵槐(三十六計26、併戦②)

 指桑罵槐(しそうばかい)……「桑を指して槐(えんじゅ)を罵る」  →文字通りの意味:桑を指してえんじゅの悪口を言う。  ※えんじゅ……マメ科、街路樹や公園に多く植えられている。ここでは要するに全然関係ないけど、一応木として共通点のあるもののことを指している。  →第三者を責めることで、当人への反省や警告を行う。  ・解説……大きい者であり小さい者を圧…

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偸梁換柱(三十六計25、併戦①)

 偸梁換柱(とうりょうかんちゅう)……「梁を偸み(はりをぬすみ)柱を換う(はしらをかう)」  →文字通りの意味:家の構造の中で最も大切な部分であるはりや柱を変えてしまう。骨抜きにしてしまう。  →広がった意味:優先順位の高い場所をしっかりと見定めて、明確にそこへと効果的な手を具体的に打つべき。  梁や柱もその構造の一部として働くから意味があるのであって、一旦…

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仮道伐虢(三十六計24、混戦⑥) 改

 仮道伐虢(かどうばっかく)……「道を仮りて(かりて)虢を伐つ(かくをうつ)」  →文字通りの意味:道を通行するだけだと言って他国の道を借りて、そのまま虢の国を滅ぼしてしまう。その道を貸してくれた国を亡ぼす。  →日本での類語:庇を(ひさしを)貸して母屋(おもや)を取られる……一部を貸して全部取られてしまう。  ・解説……両隣を強国に挟まれた小国に対して…

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上がることと上げることとの間にある圧倒的断絶

 よく似たような話だし、恐らく両者が「≒努力」として片づけられているところに特色があるなと踏まえた上で。  「龍馬がゆく」で坂本龍馬が言ってたのが  「誰でもとにかく木刀(竹刀だったかな?)を振っていれば切り紙くらいにはなれる」ってセリフなわけだが。切り紙は要するに剣術の初段的な感じか。  これって、「誰でも努力していれば一人前になれるよ」的に長いこと思って…

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遠交近攻(三十六計23、混戦⑤) 改

 遠交近攻(えんこうきんこう)……「遠く交わり近く攻む」  →文字通りの意味:遠い国と親交を結び、近隣の国を攻撃する。挟撃する。  ・解説……こちらが不利で勢いが出せない時には近くの敵地を奪うのが最も良く、遠くを取ろうとするのは害であると言える。「上火下沢(じょうかかたく)」というのはこのことである。  ・解説の解説……上火下沢とは、「上に火があり、…

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関門捉賊(三十六計22、混戦④)

 関門捉賊(かんもんそくぞく)……「門を関して(とざして)賊を捉う(とらう)」  →文字通りの意味:門を閉ざして逃げ場を無くし、賊を一網打尽にする。  →実際には:包囲されて逃げ場所を失ったら敵は必死になり、被害が大きくなりかねない。  ・解説……小勢力の敵軍はこれを包囲する。追いつめられると必死で反抗してくるので、これに攻撃するというのは得るところがない(剥は…

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金蝉脱殻(三十六計21、混戦③)

 金蝉脱殻(きんせんだっかく)……「金蝉、殻を脱す」  →文字通りの意味:蝉(せみ)が脱皮して姿をくらます。  →広がった意味:偽装工作によってもぬけのからとし、敵に気付かれる前に撤退や進撃などを行う。  ・解説……現在の布陣をそのままにし、その形勢もそのままとすれば味方も疑うことなく敵も動くことはない。𢁌いて(したがいて)止まるは蠱(こ)なりである。  …

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混水摸魚(三十六計20、混戦②)

 混水摸魚(こんすいぼぎょ)……「水を混ぜて魚を摸る(さぐる)」  →文字通りの意味:水をかき混ぜて濁らせ、魚を捕らえる。  →広がった意味:混乱に乗じて勝ちを得る。  ・解説……敵の内乱に乗じ、敵が弱くなり指揮が乱れていることを利用する。隋は以て晦に向えば入りて宴息す(ずいはかいにむかえばいりてえんそくす)。  ・解説の解説……卦には隋(ずい)という卦がある…

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釜底抽薪(三十六計19、混戦①)

 釜底抽薪(ふていちゅうしん)……「釜底(かまぞこ)より薪(たきぎ)を抜く」  →文字通りの意味:煮えたぎっている釜からたきぎを抜く。  →広がった意味:最も根本的な解決をする。  ・解説……その力と敵対せずしてその勢いを消すのは、「兌下乾上(だかけんじょう)」の象(しょう)であるといえる。  ・解説の解説……兌下乾上の象(しょう)とは兌が下にあり乾が上にある…

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