地の利、なんていうわけだが

 戦時中、というか古代の戦争でもなく、この普通な平凡な暮らしの中で「孫子を活かす」とか「地の利を活かす」なんてのが果たしてどういう意味を持つのかと思っていた。  というか孫子を兵法として活かすならともかく、ビジネスに活かそうなんてのはそもそもムリがあるんじゃないの?というのはずっと思っていたことである。武田信玄も「風林火山」の旗を掲げてはいるが「この兵法は日本には合わないん…

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物の貸し借り

 「抜擢」ということについて思いを馳せてみる。  韓信が劉邦のところで抜擢されなかったならば歴史は違っていたろうし、太公望が抜擢されなかったならば周は興っていなかったに違いない。蕭何や張良が一体何を見たのか、そもそも本当にそんなことが起こっていたのかは今となってはよくわからないし、所詮伝説でしかない。伝説でしかないが、間違いなくそれは起きたことなのだろう。  この…

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史記⑦ 孟嘗君(もうしょうくん)の事例にみる高尚と下賤の概念

 鶏鳴狗盗(けいめいくとう)という言葉がある。  孟嘗君が秦に幽閉されている時に、盗みの得意なものが秦の妃の好きなものを倉庫から盗み出し、それによって妃の口添えを得る、そして館の包囲が説かれたために孟嘗君は脱出に成功した。  ところがそうしてみると秦から追手が来る。一刻も逃げなくてはならないが、関所は「ニワトリが鳴かなくては開かない」、そこでニワトリの鳴きまねが得意な者が鳴き…

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史記⑥ 西門豹(せいもんひょう)の話

 2巻  西門豹は以前戦国策かなんかで書いたような。  http://www.kikikikikinta3.com/article/459242290.html?1569554420  文候という人がおり、鄴に赴任しろと命じられたのであいさつに出かけたと。そうしたら功績と名声を上げるいい方法を教わったというくだり。  そして西門豹は家々を見…

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史記⑤ 伍子胥その2

 引き続き伍子胥である。  前回伍子胥の話を書いたが、それは史記に最初から流れている「人の協力」という流れのひとつとして書いた。人の協力あって初めて開花できる人の能力や才能がある、そうした流れの一つとして、伍子胥もまた人の協力を得てその能力を開花することができた。  そして楚への復讐に成功する。ところが憎むべき平王はもう死んでいる。  その平王の死体を墓から引きずり出し…

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史記④ 伍子胥(ごししょ)の話

 伍子胥は父、兄とともに楚王であり「暴君」として有名な平王に殺害されかけるが、逃げる。逃げて呉に逃亡しようとし、漁師に向こう岸まで乗せていってくれと頼む。漁師は承諾し、伍子胥を乗せる。  向こう岸に着いたら伍子胥は剣以外に何もないので剣を渡そうとする。これは100金の値打ちがあると渡そうとするが、断られる。 楚内には「伍子胥を捕らえたものには五万石の扶持と爵位が渡される」とい…

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史記③ 重耳が放浪する話

 これおもしろそうなんだけどちょっと今あまり本がないので(笑)、ひとまずメモとして書くことに。  晋の長男である申生が殺害され、次男である重耳にも刺客が向けられるのだが重耳はとにかく逃げる。逃げて晋から離れよその国へ行き、逃亡生活を開始することになる。  重要なのは、この重耳という爺さん、しかも帰国して王になる予定もはっきりしない爺さんが諸国を放浪して歩きその国が…

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史記② 申生の話

 晋の献公(けんこう)の下には優秀な息子たちがいた。長男が申生(しんせい)、次男が重耳(ちょうじ)、三男が夷吾(いご)といったのだが、この三人はとりわけ優秀だった。しかし献公は、愛妃の驪姫(りき)との間にできた末子の奚斉(けいせい)を後継ぎとしたいと考えるようになるのである。今回ここで取り上げるのは申生の話。  まだ後継ぎを誰にするかがはっきりと決まって…

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史記① 管仲の話

 史記をいろいろ書こうと思います。といっても漫画が元だけど(笑)漫画で見出せるものを書いて、文字のものがそれより良くて見るところがあればそっちもやっていこうかなと。いろいろあったはずだけど、今この漫画一冊しかないという(笑)  1巻  ①管仲(かんちゅう)  管仲は斉の桓公に仕えた。  もともとは敵対しており、管仲は公子糾(きゅう)に仕えていた。公子小白(…

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孫子を読んで その4 「よく見る」話

 ➄よく見ること  「よく見る」ことがいかに困難なのかを孫子は説く。 戦争前には勝ち目がどの程度多いのか、少ないのかを見る。秤にかけてどっちに触れるのかをよく見ようとする。 戦争で重要なのは補給と兵站の難しさであり、それを維持することがいかに困難なのかを説く。華やかな戦争の裏、その状況を支える縁の下を見る。 しっかりと兵の手柄に報いて褒美をやることが勝って力を増すことだと見る。…

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孫子を読んで その3 持っている力を発揮させるという話

 前回のつづきである。  ④人の力というもの これは①ともかぶるような内容になるに違いないのだが、劉邦の下にいた武将はどんな人がいたか。  樊噲(はんかい)は肉屋だったし、蕭何(しょうか)は下役人、曹参(そうしん)や夏候嬰(かこうえい)はその下で働く役人。 そもそも劉邦は亭長(ていちょう、宿舎の長)上がりだった。そうした人間たちが不思議なことに天下を取ってしまう。そして劉…

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孫子を読んで その2 「物差し」で測り、把握することの話

 で、前回の内容を踏まえての孫子の個人的感想である。個人的な感想なので、歪んでいたり我田引水的なところがあったり、孫子を実際に読んでみたりする上で障害となって読み進めにくくなったりネタバレとなったりするところもあったりするかも知れませんが、そういう可能性がなきにしもあらずですので気になる方はご自分で一読してから見られることをお勧めします。  ①人というものの大切さ  …

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孫子を読んで 孫子てか兵法の妥当な位置について考えてみる

最近タクティクスオウガ書いてないですが、熱意切れではあってもネタ切れではないので笑 孫子を多分一週間くらいかけて徹底的にじっくり読み込んだ。恐らく本をこうした読み方すること自体あまりないことだなあと思いつつ。精読と速読を使いわけはしているつもりだが、本当に今回は熟読玩味という感じ。 「孫子は果たして役に立つのか立たないのか」恐らくこの質問に対する解答こそが待ち望まれているのが…

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タクティクスオウガ㉕虐殺の妥当性と正当性の検証 その2

 前回の内容は、Lルートは生存という最初の段階をなんでもいいから確保したい、そのためなら多少の犠牲はやむを得ないこと、そして最終的に「理想」を現実のものにできればいいという方向性だった。そしてCルートはそうした方向性ではなく、生存云々以前に理想を持って来ていること。 その結果としてCルートは最初から最後まで徹頭徹尾潔白でなくてはならないという一貫性と、そうして失われた現実感覚が浮き彫…

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タクティクスオウガ㉔ 虐殺の妥当性と正当性の検証

 バルマムッサの虐殺の選択肢、どちらを選んだかをいろいろな人に聞くと、最初は虐殺に反対したと答える人が大半だった。少なくとも私の身近では全員が最初反対していたし、私も反対の立場をとっていた。そこには特に考える要素がないわけではないが、いや虐殺なんてダメでしょう、そんな卑怯な行いをしちゃいけないでしょう、こういう場合は反対した方が普通正解でしょうという脊髄反射的なものが多くある、という…

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考え中。

 最近書けておりませんが、ネタ切れではないので(笑)フォルカスの続編を書き途中ですが、興味がよそに移ったと言うのが大きいのかなと。あと自分で読み返してみたらあーこれレベル2だな、レベル3だなと思えるものは自分でも面白い。でもレベル1ではなんかまとめただけ感があってですね。あんまりおもしろくなかったりして……(笑)まあ大学ではそういうレポート書くことも多かったですけども。レンガを一段目…

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タクティクスオウガ㉓ フォルカスの理屈を分析する

 デニム一行はアシュトンからタインマウスまで出てくる。しかしそれはヴァイスの策略であり、デニムはタインマウスを中心としたウォルスタ包囲網の中に陥れられることになる。  アシュトンまでの退路を断たれ、アルモリカへは当然行けない。そうなると必然的に高い確率でクリザローの方面に出てくるというヴァイスの計算が的中したことが、ガナッシュのセリフから読み解くことができる。  …

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タクティクスオウガ㉒ バルマムッサの論理とニバスの論理

 ここで考えていきたいのは、まずバルマムッサの虐殺を肯定する論理というのはニバスの行いを肯定する論理とかなり近いものではないかということだ。後はそこからの発展についていろいろ書いていくことにする。  ①5000人の同胞を殺害する。この収容所を全滅させることは、粛清をたびたび実施しているガルガスタンの行いと違和感がない。またウォルスタとガルガスタンの民族対立を踏まえれ…

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タクティクスオウガ㉑ Nルート考察

 虐殺反対ルートにおいて、デニムは生きるか死ぬかのギリギリに追い込まれることになる。このギリギリの淵において、デニムはその意志と思想がどこまでのものであるかを試されることになる。  そもそもが虐殺の犯人の嫌疑をかけられており、そのために懸賞金をかけられて毎日の生活にも怯えなくてはならない。 その状況でタインマウスの丘に助けを求めにいけばヴァイスの策略にはまってしまう。は…

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タクティクスオウガ⑳ オリアスの話

 ハボリムの選択肢で真の敵は「暗黒騎士団だけ」と答えた場合、思想云々は抜いて敵を単純に規定する者は三人になる。ハボリムはただバールゼフォンに対する復讐、デニムもバクラムと暗黒騎士団は悪いと言うし、その後登場するオリアスも悪いのは父である、ニバスであると見做すことになる。ハボリムには他にもいろいろ考えていることはあるにせよ、基本的には悪いやつが悪いという極めて簡単な図式ばかりが見て取れるこ…

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タクティクスオウガ⑲ (N)デニムは問題を考えた

 ハボリムは尋ねる。 「きみは暗黒騎士団と戦ったそうだね。  きみにとって真の敵はやつらなのかな?」 これはボード砦でデニムがセリエを助けるために、オズと戦って殺害したことを指している。  親の仇だとばかり思っていたが、プランシー神父はまだ生きていることが判明した。そして解放軍の意図、すなわち暗黒騎士団と交渉を始めようという意図とは反対に戦ってしまったこと、そしてその騎士のひとりを…

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タクティクスオウガ⑱ Nルートを進んだデニム

 Nルートにおいては、デニムはザエボスと戦っても特になにも言われたりはしない。LやCで散々言われたのがウソのように、ザエボスは「無念だ……」とだけ呟き死んでいく。  その代わり、デニムは解放軍の中では仲間内で散々に言われている。ヴァイス捜索に出かけたと思えばゲリラ救出に参加し、暗黒騎士団の一人を殺害する。一章で非干渉条約締結のための会談に参加しておきながら、そのうち…

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N(ニバス)ルートについて膨らましてみる

 ここではタクティクスオウガから少し離れて考えてみようかなと。  前回、ニバスルートではデニムも人々の生き方の「無化」を行っていると書いた。人々がその理想、思想、生き方とは全く別に配置されること、そしてそうしたもの一切が剥奪されること。ただ優秀な兵士として戦うこと。そうした流れに逆らったのがギルダスであると。ギルダスは死ぬ間際に記憶を取り戻し、デニムの安否を確認し、無事…

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タクティクスオウガ⑰ Nルート(ニバスルート)

 バルマムッサで虐殺に反対したデニムは、紆余曲折を経た後、バクラムの古都ライム侵攻とレオナールの説得から解放軍に戻ることを決意する。「本当の敵はバクラムなんだ……」というデニムは、自分にとっての真の敵の存在を改めて感じるのである。  しかし、それはあくまでデニム個人にとってのものでしかなく、その他の人間にとってはそうであるとは限らない。例えばアロセールなどはバルマムッサの真…

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タクティクスオウガ⑯-1 「どうして、てめぇがリーダーなんだッ!」

 「どうして、てめぇがリーダーなんだッ!」とヴァイスは言う。それずっと気にしていたのかという事に気付かされてはっとする瞬間である。 しかしヴァイスのいう事も最もである。なぜデニムがリーダーなのか。なぜヴァイスではないのか。物語の主人公だからと言ってしまえばまあそれまでではあるが(この話はここで終わるしかない……笑)、それではちょっとヴァイスが可哀想な気もする。そういうわけでなぜデニムがリ…

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タクティクスオウガ⑮ ヴァレリア解放戦線とセリエの思想

 ヴァレリア解放戦線が1章で行った行動は主にパレード襲撃事件と、古都ライムでの補給物資強奪事件である。パレード襲撃事件については暗黒騎士団に被害がない上に市民を巻き添えにしている時点で悪評を広め、大失敗だったというのは先に述べた。また、システィーナ主導での古都ライムでの物資強奪も「あのザマです」とシスティーナが言っているように、作戦失敗だった。  この次の行動は、仲間に「無謀…

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本日何も浮かびませんゆえ

もうちょいででるかなというやつがあと10個くらいありますが、残念ながら今日はまとまりそうにありません……笑 まあ20年くらい考えた末にこんなものですから、気長にやろうと開き直って思っております。しかしまあこうして考えることをしておりますと自由にというか好き勝手考えられることがいかに貴重かという話で。常識的に、とか常識的なら、とか言い出したらもうやらない方が余程賢い。そもそもやらないのが一番賢…

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